タカジン

10年勤めた会社を辞めて、無職生活を満喫中。 #読書 #音楽 #サウナ #経済 #…

タカジン

10年勤めた会社を辞めて、無職生活を満喫中。 #読書 #音楽 #サウナ #経済 #陰謀論

最近の記事

ケン・グリムウッド『リプレイ』

ジャーナリストとして働くジェフは、43歳の秋に突然死んだ。 気付くとジェフは見覚えのある学生寮にいた。なんと彼は、18歳の頃の自分に戻ってしまったのだった。 前世の記憶と知識をキープしたまま二度目の人生をリプレイするジェフだったが、それは途方もない長旅の始まりに過ぎなかった...。 . . . 以下、一部ネタバレ 初版は1986年で、もう40年近くも前の小説。 いわゆるタイムリープもので、映画で言うと『バタフライ・エフェクト』みたいなヤツ。 主人公はより良い生涯を送る

    • 桐野夏生『日没』

      小説家=マッツ夢井のもとに一通の手紙が届いた。 差出人は「総務省文化局・文化文芸倫理向上委員会」(通称ブンリン)という政府機関。 マッツは彼女の書いた小説の内容に問題があるとして、読者から提訴されていた。 ブンリンは事情聴取を行いたい旨の手紙を一度マッツに送っていたのだが、彼女はそれをスルー。 業を煮やした先方が送ってきた二度目の手紙は、出頭を要請する召喚状だったのだ。 渋々出頭先に向かったマッツは、必死の弁明も虚しく、断崖に聳える海辺の療養所に収容される。 「規

      • 中年ニート、心の叫び(仮)

        3月末に仕事を辞めて、丸7ヶ月が経過しようとしている。厳密に言うと、有休の関係で実にもう8ヶ月以上働いていない。 どうだ、羨ましいだろ(言うてる場合か)。 これから何をしたいのか、何をすべきなのか。 元気があれば何でもできるような気がする反面(猪木かよ)、何もできないような気もしている。 本音を言えば、働かないでそこそこ食べたい。 . . 会社を辞めたばかりの頃、当分の間はプー太郎に専念できる、好きな事だけして悠々自適に暮らして行ける、ルンッ、と心躍っていた。 真っ昼

        • 映画『ヴィーガンズ・ハム』

          精肉店を営む夫婦。売上はイマイチで、夫婦生活も破綻寸前。 そんな二人のお店が、突如ヴィーガンの過激派グループに襲われた。 ヤツらに対して怒りを募らせる夫婦は、ある日店を襲った犯人の一人と偶然町で遭遇すると、衝動的にそいつを車で轢き殺してしまう。 夫は死体をバレずに遺棄すべく、各パーツごとに細かく切り分け、冷蔵庫に保存して就寝する。 翌朝彼が目を覚ますと、なんと妻がその肉を店で販売してるじゃあーりませんか。 しかもコレがまさかまさかの大ヒット! 店の再建には「ヴィー

        ケン・グリムウッド『リプレイ』

          泡坂妻夫『生者と死者』

          袋とじのまま読むと15ページ弱の短編で、袋とじを切って読むと200ページ程の長編に変わる、まさに空前絶後、唯一無二のキテレツ小説。 短編は自然と長編に溶け込み、両者の内容には全く矛盾がないとかビビる。 しかも短編と長編で登場人物の性別が入れ替わるし、さらに驚いたのは、筆者のあとがきまで本編に食い込んでくるというトリプルアクセル以上の高難度。 元のアイデアは狩久(かりきゅう)という大正生まれの作家によるものらしいが、実に7年の時を経てそれを形にした筆者の力量、忍耐力には舌

          泡坂妻夫『生者と死者』

          映画『aftersun』

          ごく稀に、鑑賞後しばらく内容が頭から離れなくなる特別な映画に出会うんだけど、本作がまさにそれだった。 . . . 物語は、31歳の誕生日を迎えようとしているソフィが、11歳の時に父親と行ったトルコ旅行のホームビデオを観ながら当時を回想するという、至ってシンプルかつ地味な内容。 キラキラした夏の思い出の端々に、どこか不穏な雰囲気が漂ってるんすよね。なのでいつか何か起きるんじゃないかしらって警戒しながら観るんだけど、実際は何も起きないんす。 が、次第にコレは「起きない」じゃな

          映画『aftersun』

          映画『SAW X』

          シリーズ10作目、時系列的にはパート1と2の間に位置する内容。 ジグソーことジョン・クレイマーが、デスゲームをクリアした後継者のアマンダ(注射針のプールに投げ込まれたりした人)に、彼のヤベー仕事を教え込んでる時期っすね。 . . . 末期癌に蝕まれて余命数ヶ月のジョンは、患者の集会で出会った男に、ある画期的な癌治療の話を聞き、遥々メキシコへ。 無事に手術を終えたジョンだったが、なんとそれは巧妙に仕組まれた詐欺だった。 騙された事に気付いた彼は、すぐさま詐欺を働いた一味を

          映画『SAW X』

          井上夢人『プラスティック』

          本屋大賞「超発掘本!」部門を受賞して、いまメチャ話題になってるヤツ。 これ、お世辞抜きに面白すぎた。 発掘した人、マジでグッジョブだわ。 なんと初版は1994年なんだね〜。実に30年も前。 物語のキーが「フロッピーディスク」と「ワープロ」なんて、平成すぎてとってもノスタルジック(でも内容は全然古臭くないし、むしろ今っぽい)。 で本作は、ある平凡な主婦が不慣れなワープロで日記を書く場面から始まる。 日記って極めてプライベートなモノじゃないすか。 が、後で発見された一

          井上夢人『プラスティック』

          『ナイフをひねれば』

          私立探偵ダニエル・ホーソーンからの依頼を受けた作家のアンソニー・ホロヴィッツは、渋々ではあったものの彼との契約を履行し、ホーソーンにまつわる三冊の実録小説を書き上げた。 そんなホロヴィッツに、またしてもホーソーンから執筆の打診。 が、ホロヴィッツはあっさりと断りを入れる。 いまだ心を開かないホーソーンに対する不信感は拭い切れてないし、三度に渡る同行取材中には危険な目にも遭い、二度も病院に搬送された。もうウンザリだった。 そんな中、ホロヴィッツが脚本を手掛けた舞台『マイ

          『ナイフをひねれば』

          異常【アノマリー】

          メチャクチャ面白かった...! ユニークな登場人物たち(殺し屋、作家、ミュージシャン、弁護士etc...)の日常を丁寧に描く第一章。 彼らには同じ飛行機に乗り合わせた過去があり、たったそれだけの理由で訳もわからず国家機関から聴取を受けるハメになる。 と、ここまではミステリー要素満載の群像劇といった趣き。 が、中盤から一転。予想不能の超カオティックな展開に突入していく。 この先盛大なネタバレ。もし読みたいと思ってる方はご注意。 . . . . . 実は問題の起きる可能

          異常【アノマリー】

          映画『サウンド・オブ・フリーダム』

          児童売買の闇に切り込んで、まさに全米を泣かせた本作は、なんと実話を基に作られている。 実在する米捜査官のティム・バラードは、一世一代のおとり捜査によって、非道な業者の一斉摘発と子供たちの大量救出を目論むんすな。 で、すったもんだの末、彼はさらに過酷なミッションに挑むんですよ。 アクション映画としても十分楽しめるんだけど、最後の最後に実際の映像がチョロっと挿入されるんすよね。 それ観た瞬間、一気に鳥肌立って、涙がブワッ〜と溢れてきた。 あの緊迫感、説得力たるや。 も

          映画『サウンド・オブ・フリーダム』

          映画『プラットフォーム2』

          人間の本性と現代社会の本質が凝縮した、究極の縦社会サバイバル。 謎の縦長空間に浮かぶ建物に収容された人々。 階層は333(!)もあり、各階層の定員は2名。つまり全員が生きていれば666人が収容されている事になる。 一日一回、テーブルに乗せられた大量の食べ物が上階から降りてくる。 基本的には人数分の食事が用意されてるんだが、中には調子こいて食べ過ぎるヤツもいる。 そうすると下の階まで食事が行き渡らないのよ。 自分がどの階層になるのかは、月に一度(月末)のランダムなシ

          映画『プラットフォーム2』

          『殺しへのライン』

          文芸フェスに招かれたホーソーンとホロヴィッツの二人は、奇妙な連続殺人事件に遭遇する。 早速手掛かりを探るホーソーンだったが、一癖も二癖もある容疑者たちによって、彼の捜査は撹乱されていく。 しかもその中には、ホーソーンが職を退くキッカケを作った因縁の男の姿もあり...。 . . . つーコトで、〈ホーソーン×ホロヴィッツ〉シリーズの第3弾『殺しへのライン』。 ホーソーンは、ある事件を機に警察を退職した元刑事。 その後は探偵として警察に独自のパイプを持っている謎多き中年。

          『殺しへのライン』

          映画『箱男』

          鬼才、安部公房の代表作が遂に映像化。 監督は伝説のバイオレンス・アクション=『狂い咲きサンダーロード』を手がけた石井岳龍(当時の名前は石井聰亙)。 小説はそれなりに難解というか(そこは安部公房なんで)、一度読んだだけじゃ理解しきれなかったんすよね。 そんな自分の想像力が及ばない部分を、映像で補ってくれたような感触。 映画監督ってホント凄い。 途中クローネンバーグのボディホラー的な要素も感じられて戦慄した。 で、結局箱男は誰なんだい?って部分に焦点を当てるとするなら、

          映画『箱男』

          Netflix『極悪女王』

          昭和生まれの人は、ほとんどプロレスを観て育ってんじゃないかなぁ。 今みたいに色んな娯楽なかったし、しょっちゅうテレビで流れてたからね。 ちなみにワタシは新日派で長州力推しだったが、後に出現した闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)も超好きだった。 何度かG1クライマックスで彼らの勇姿を拝めたのは良い思い出。 女子プロもよく観てたなぁ。 一番熱中してたのは獄門党(ブル中野、アジャコング他)が活躍していた90年代初頭。 推しはキューティー鈴木だった。 (※キューテ

          Netflix『極悪女王』

          映画『憐れみの3章』

          三遍のオムニバスから成る本作は、『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』に続く、ヨルゴス・ランティモス×エマ・ストーンによるビザール・ファンタジー第3弾。 原題は『Kind of kindness』。 親切の種類?みたいな意味なのかなぁ。 ただそこは鬼才ヨルゴス・ランティモス。 当然ストレートに表現するハズも無く。 エログロ映像や胸クソ表現が満載。どこが親切やねん、ていう。 その上たまにブラックなユーモア&直球のギャグをぶちかましてくる。そこにシビれる、憧れるゥ

          映画『憐れみの3章』