タカジン

10年勤めた会社を辞めて、無職生活を満喫中。 #読書 #音楽 #サウナ #経済 #陰謀論

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最近の記事

星を継ぐもの

いわゆるハードSFの代表作。 ちなみにwikiによると「ハードSF」とは、「科学技術、とくに既知の天文学・物理学・科学・数学・工学などの正確で論理的で厳密な描写と、これらの科学知識に裏付けられた理論上可能なアイデアが中心となっている」SF作品とのこと。 本書で言うと、「約5万年前に死んだと見られる人間の遺骸のようなモノが月面で発見された」って部分はもちろんファンタジーなんだけど、それ以外の部分については、限りなく事実に基づいたストーリーになってるっつーワケです。 専門用

    • この悲しみをどうすりゃいいの

      寒いのが苦手なんです。 ただでさえ出不精なのに、冬は余計に家から出たくない。 これから3月の上旬くらいまで続く憂鬱な日々。 人間も冬眠が出来たらいいのに。 そんな心境なので、今回の内容はスゴくナーバスというか、極めてデリケートな内容になっている事をあらかじめお断りしておきます。 . . . 「お腹が痛くなってから大を我慢できる時間」が、年齢を重ねるごとに短くなっているような気がします。 いや、「気がします」というか、確実に短くなっています。 若い頃は脳が「もう限

      • 海外版コックリさん?映画『トーク・トゥ・ミー』

        オモシロ半分で「90秒憑依チャレンジ」を繰り返す子供たちを襲った悲劇。 . . . いやー、メチャクチャ面白い。 さすがはアリ・アスター、ジョーダン・ピール、さらにはサム・ライミからスピルバーグまでが絶賛しただけありますな。 要はコックリさんを中途半端に終わらせちゃったせいで悪霊に呪われる、みたいな話。 まず霊が子供を欺くやり方が、様々なエクソシスト系映画のマナーを遵守してて感心する。 子供はあらゆる面で未熟なので、そりゃあっという間に憑依されるわな。 つーかティー

        • 岸本佐知子『ねにもつタイプ』

          好きな書評家の方がオススメしていたエッセイ本。 著者の岸本さんは、界隈では知らない人のいない日本が誇る翻訳家。 なんでも中学生の時、英語の絵本を訳して先生に褒められたことが翻訳への興味に繋がったらしい。 その後、上智大学文学部英文科を卒業し、大手企業を経て翻訳家として独立したとのこと。 はっきり言って、エリートやん。 一方ワタシは中学の頃「This is a pen」と「ハンプティダンプティ」くらいしか知らなかった(アホか)。 なんならいまだに「ハンプティダンプテ

          佐々木チワワ『「ぴえん」という病』

          ホストに貢ぐ女の気持ちが理解できない。 純粋に推しを応援する意味の消費なら、アーティストのライブに行ってグッズを買う行為と大して変わらないのかな、とは思う。 が、ホストの場合は言うまでもなく、かかる金額がライブやグッズとは比べモノにならない。 真っ当に働いて得た給料でホストクラブ通いを続けるのは困難。 ましてや推しの一番になるなんて、夢のまた夢。 つーコトで、ホストにハマる女の多くは風俗や援助交際で自分の身体を売り、手っ取り早く大金を得ようとする。 要は好きになっ

          佐々木チワワ『「ぴえん」という病』

          今村昌弘『兇人邸の殺人』

          閉ざされた空間=クローズド・サークルで発生する連続殺人を、天才令嬢=剣崎比留子が名推理によって解決してゆく人気シリーズの第三弾。 〈ゾンビパニック×クローズド・サークル〉な一作目もヤバかったが(それでいて面白かった)、今作はそれ以上にぶっとんでる。 雑に表現するなら〈ストレンジャー・シングス×クローズド・サークル〉。 もはや全米が泣くレベルのモンスターSF&サバイバルスリラーっすよ。是非ネトフリで映像化していただきたい(一作目は色んな意味で残念な映画だったので)。 そ

          今村昌弘『兇人邸の殺人』

          映画『破墓』(パミョ)

          韓国産、墓掘りホラー。 顔面に経文が書かれた女の子のビジュアルがマジでイカし(イカれ)てる。 それだけで絶対観たいと思ったもんな(『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクも出てるし)。 彼女はいわゆる霊媒師。 同じく霊力を備えたイケメンの弟子とともに、怪奇現象に悩まされている人々を助けて生計を立てている。 ある日そんな彼らに新規の依頼。 「跡継ぎが代々謎の病気に罹る。原因を探って欲しい」 すぐに先祖の墓が原因と気付いた2人。早速、風水師と葬儀屋を伴って、問題の墓を掘り

          映画『破墓』(パミョ)

          ケン・グリムウッド『リプレイ』

          ジャーナリストとして働くジェフは、43歳の秋に突然死んだ。 気付くとジェフは見覚えのある学生寮にいた。なんと彼は、18歳の頃の自分に戻ってしまったのだった。 前世の記憶と知識をキープしたまま二度目の人生をリプレイするジェフだったが、それは途方もない長旅の始まりに過ぎなかった...。 . . . 以下、一部ネタバレ 初版は1986年で、もう40年近くも前の小説。 いわゆるタイムリープもので、映画で言うと『バタフライ・エフェクト』みたいなヤツ。 主人公はより良い生涯を送る

          ケン・グリムウッド『リプレイ』

          桐野夏生『日没』

          小説家=マッツ夢井のもとに一通の手紙が届いた。 差出人は「総務省文化局・文化文芸倫理向上委員会」(通称ブンリン)という政府機関。 マッツは彼女の書いた小説の内容に問題があるとして、読者から提訴されていた。 ブンリンは事情聴取を行いたい旨の手紙を一度マッツに送っていたのだが、彼女はそれをスルー。 業を煮やした先方が送ってきた二度目の手紙は、出頭を要請する召喚状だったのだ。 渋々出頭先に向かったマッツは、必死の弁明も虚しく、断崖に聳える海辺の療養所に収容される。 「規

          桐野夏生『日没』

          中年ニート、心の叫び(仮)

          3月末に仕事を辞めて、丸7ヶ月が経過しようとしている。厳密に言うと、有休の関係で実にもう8ヶ月以上働いていない。 どうだ、羨ましいだろ(言うてる場合か)。 これから何をしたいのか、何をすべきなのか。 元気があれば何でもできるような気がする反面(猪木かよ)、何もできないような気もしている。 本音を言えば、働かないでそこそこ食べたい。 . . 会社を辞めたばかりの頃、当分の間はプー太郎に専念できる、好きな事だけして悠々自適に暮らして行ける、ルンッ、と心躍っていた。 真っ昼

          中年ニート、心の叫び(仮)

          映画『ヴィーガンズ・ハム』

          精肉店を営む夫婦。売上はイマイチで、夫婦生活も破綻寸前。 そんな二人のお店が、突如ヴィーガンの過激派グループに襲われた。 ヤツらに対して怒りを募らせる夫婦は、ある日店を襲った犯人の一人と偶然町で遭遇すると、衝動的にそいつを車で轢き殺してしまう。 夫は死体をバレずに遺棄すべく、各パーツごとに細かく切り分け、冷蔵庫に保存して就寝する。 翌朝彼が目を覚ますと、なんと妻がその肉を店で販売してるじゃあーりませんか。 しかもコレがまさかまさかの大ヒット! 店の再建には「ヴィー

          映画『ヴィーガンズ・ハム』

          泡坂妻夫『生者と死者』

          袋とじのまま読むと15ページ弱の短編で、袋とじを切って読むと200ページ程の長編に変わる、まさに空前絶後、唯一無二のキテレツ小説。 短編は自然と長編に溶け込み、両者の内容には全く矛盾がないとかビビる。 しかも短編と長編で登場人物の性別が入れ替わるし、さらに驚いたのは、筆者のあとがきまで本編に食い込んでくるというトリプルアクセル以上の高難度。 元のアイデアは狩久(かりきゅう)という大正生まれの作家によるものらしいが、実に7年の時を経てそれを形にした筆者の力量、忍耐力には舌

          泡坂妻夫『生者と死者』

          映画『aftersun』

          ごく稀に、鑑賞後しばらく内容が頭から離れなくなる特別な映画に出会うんだけど、本作がまさにそれだった。 . . . 物語は、31歳の誕生日を迎えようとしているソフィが、11歳の時に父親と行ったトルコ旅行のホームビデオを観ながら当時を回想するという、至ってシンプルかつ地味な内容。 キラキラした夏の思い出の端々に、どこか不穏な雰囲気が漂ってるんすよね。なのでいつか何か起きるんじゃないかしらって警戒しながら観るんだけど、実際は何も起きないんす。 が、次第にコレは「起きない」じゃな

          映画『aftersun』

          映画『SAW X』

          シリーズ10作目、時系列的にはパート1と2の間に位置する内容。 ジグソーことジョン・クレイマーが、デスゲームをクリアした後継者のアマンダ(注射針のプールに投げ込まれたりした人)に、彼のヤベー仕事を教え込んでる時期っすね。 . . . 末期癌に蝕まれて余命数ヶ月のジョンは、患者の集会で出会った男に、ある画期的な癌治療の話を聞き、遥々メキシコへ。 無事に手術を終えたジョンだったが、なんとそれは巧妙に仕組まれた詐欺だった。 騙された事に気付いた彼は、すぐさま詐欺を働いた一味を

          映画『SAW X』

          井上夢人『プラスティック』

          本屋大賞「超発掘本!」部門を受賞して、いまメチャ話題になってるヤツ。 これ、お世辞抜きに面白すぎた。 発掘した人、マジでグッジョブだわ。 なんと初版は1994年なんだね〜。実に30年も前。 物語のキーが「フロッピーディスク」と「ワープロ」なんて、平成すぎてとってもノスタルジック(でも内容は全然古臭くないし、むしろ今っぽい)。 で本作は、ある平凡な主婦が不慣れなワープロで日記を書く場面から始まる。 日記って極めてプライベートなモノじゃないすか。 が、後で発見された一

          井上夢人『プラスティック』

          『ナイフをひねれば』

          私立探偵ダニエル・ホーソーンからの依頼を受けた作家のアンソニー・ホロヴィッツは、渋々ではあったものの彼との契約を履行し、ホーソーンにまつわる三冊の実録小説を書き上げた。 そんなホロヴィッツに、またしてもホーソーンから執筆の打診。 が、ホロヴィッツはあっさりと断りを入れる。 いまだ心を開かないホーソーンに対する不信感は拭い切れてないし、三度に渡る同行取材中には危険な目にも遭い、二度も病院に搬送された。もうウンザリだった。 そんな中、ホロヴィッツが脚本を手掛けた舞台『マイ

          『ナイフをひねれば』