見出し画像

海外の大学で学ぶ意義 N74

 コロナ後には海外へ留学をする人口が世界的に大幅に減ってしまう懸念がある(地元の新聞記事で騒がれていた)。そんなこともあり海外留学をした(といってももう15年ほど前だが)経験者として応援のメッセージを込めて書いてみたい。

 そもそも日本の大学(学部)で学んだか?という質問にしっかり学んだと回答できる大人はほとんどいない。理科系は実験などもあり夜遅くまで勉強した人はいるが人文系や社会科学系の多くは大学が(崩壊していると私は思っているが)自由なのであまり勉強する機会がない。最近は変わったのかもしれないが、20年以上前の大学生の多くは勉強をするのはテスト前だけであとはバイトやサークルに明け暮れていた。しかしこれこそ自慢だが、私の学部は社会科学系にも関わらずハードに勉強させるところで大学の思い出はとにかく勉強しか残っていない。  

 にも関わらず、海外の大学院で経験したのは今までの人生で学んだこと以上の勉強量だった。これは大学院に限らず、海外の学部に行った人も大学では死ぬほど勉強したと言っているので海外の大学は総じて勉強させられるところだと思う。  

 しかしながら、日本人として生きる以上、学部に関しては日本の大学を卒業することを私は勧めたい。海外で永久に暮らす覚悟の人は海外の方が良いが、日本で暮らし、日本の会社に勤める希望があれば日本の大学を出ておいた方が良い。何を勉強するわけでもないのだが、日本人の感覚を身につけるためとしか言いようがない。大人になって大学時代何をした?どこの大学卒業か?みたいな些細な話でとても疎外感を味わうだけだが、海外の学部を卒業した人の努力に対するリターンの少なさを聞いていると、そう感じる(彼らは皆口を揃えてリターンが少ないと言う)。  

 この少なさとは大学で学んだことが直接仕事に活かせないと言うことだと私は理解している。20代半ばの頃にとても男気がある海外大学卒業の方と一緒に広報関連の仕事をしたのだが、その方は大学の専攻が広報だった。それを極めたく職を転々としたのだが広報への理解度が日本企業は低く就職先も、広報専業会社に就職してクライアント先に行っても苦労をしていると言っていた。  

 日本の会社はメンバーシップ型なので、実は大学で勉強されては困るのだ。企業個々の独自のやり方があるので会社に入ってから学んで欲しい事情がある。また下手に専門的な知識を振りかざされて仕事にケチをつけられても困る内部事情もある(大手有名企業であってもそれほど専門的なことをしていなかったりする)。ピュアで従順な学生が好まれるのだ。理系が勉強している理由は流石に予備知識が必要であり、技術自体は世界で共通化されているからと個人的に結論付けている。  

 それでも海外留学を勧める意図と結論は、もしその日本企業の実情を知った上で専門性を身につける覚悟がある人には、死ぬほど勉強するけれどもとても人生は有意義になるだろう。  

 とはいえ、私の時代でも社費留学でMBAを卒業した人の半分以上は卒業後数年後に退職をしている。理由はやはり学んだことが活かせないからが多かった。しかし良くも悪くも日本の企業の実態を知っていることが仕事の優位性になり、通り一遍等の理屈だけではなく、寝技的な技術も使いながら上手にキャリアを築いている人が多い。  

 最後にもう一つ良かったことをいえば、体系的に学問を教えるために継続的に学ぶ術を身につけていることだ。これについては別途書きたいと思う。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?