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[解説と設問を発表]人種、学術研究と科学ジャーナリズム【英語で学ぶ大人の社会科】第75回 5/6(月・祝)20時@オンライン

「米ニュースメディア、学術研究、人種の関係性」について英語で議論。


2024年5月前半の「英語で学ぶ大人の社会科:世界の知性が語る現代社会」のワークショップのお知らせです。2024年5月6日(月・祝)夜20時@オンラインで開催するワークショップは、The LSE Impact Blogの記事「マイノリティの名前を持つ研究者は米国の科学ジャーナリズムから排除されている 」を使い、主流メディアが報じる学術研究とマイノリティの関係性について英語で議論します。このワークショップの解説と設問を発表します。

【ワークショップ】

先日、主流メディアが学術研究の成果をどのように報じているかについて議論しました。

主流メディアは学術研究をどう報じるべきか【英語で学ぶ大人の社会科】第74回 4/21(日)20時@オンライン|Global Agenda

欧米諸国における主流ニュースメディアは、研究成果を一般に広める上で重要な役割を果たしている、と言われています。ニュースメディアによる学術研究の紹介は、それを遂行した研究者の学術的権威を高め、誰が優れた研究を行っているか、という一般大衆の認識を形成することに寄与していると考えられているからです。

先回のワークショップでは言及しなかったのですが、米国の主流ニュースメディアで取り上げられる研究とそれを遂行した研究者名の報道には偏りがあります。多くの学術研究(とりわけサイエンス分野)はチームで行われることが多く、複数の著者が共同で論文を執筆しているのが一般的です。しかし、私たちは、記者・ライターがニュース記事のなかで、研究者の紹介の方法をどのように選択しているのか、ほとんど知りません。そして、サイエンス記事の中で記者たちが研究者についてどのように言及しているかという現状が、学界内で周縁化されたグループ(少数民族や女性)の研究者たちのキャリア並びにリーダーシップに与える潜在的な影響についても、私たちはあまり気がついていません。

今回、教材として取り上げる記事は、上記の課題に関する研究の調査結果の紹介です。米国の大学に籍を置く3名の外国出身の研究者が223,587の 科学ニュース記事を分析した結果、非英語圏の名前を持つ研究者たちは、記事内でその名前が報じられるのではなく、彼らの所属研究機関の名称にとって代られている可能性が高いことを発見した、というものです。サイエンス記事内の研究者名の言及率は、ヨーロッパ系の名前は英語圏の名前ほど頻繁ではなく、インド系と中東系の名前ではより言及率が下がり、東アジアとアフリカ系の名前は、とりわけ言及率が低いそうです。

学術研究はグローバル化し続けており、それゆえ、学術論文は国際語となった英語で発表されるのが標準となりつつあります。そして、引用数の多い論文が評価が高いとみなされる現代において、研究(者)がニュースメディアで紹介されることには大きな意味があります。英語の学術論文が非西洋諸国出身の著者によって生み出されることが多くなるにつれ、英語メディアが非英語名の学者をどのように扱うか、ということの重要性は増すばかりです。

あなたはこのテーマについて、どう思いますか?ご関心のある皆様の参加をお待ちしています。このワークショップの詳細は以下のとおりです。教材として、下記のLSEの英語記事を利用します。

日時: 2024年5月6日(月・祝)20時~21時30分

場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~

【教材】

Researchers with minority ethnic names are written out of US science journalism

チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。

【チケット】

人種、学術研究と科学ジャーナリズム【英語で学ぶ大人の社会科】第75回 5/6(月・祝)20時@オンライン

【銀行振込での申し込み】

振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。

このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去のワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。

【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会

【解説】

先回のワークショップで議論したように、ニュースメディアによる学術研究の紹介記事は増えています。主要なメディアが紙媒体だった過去と比べると、科学記事の増加には目を見張るものがあります。一方、どのような研究が主要なニュース・メディアで取り上げられるのかは、一般人にとっては、いわば「ブラック・ボックス」の状態です。

また、近年それ以上に問題とされているのが、研究者の属性(性別、人種、国籍など)によって、彼らの執筆した学術論文の引用の頻度に差が出るというものです。最近、論文引用頻度におけるジェンダー・ギャップの問題を調査・分析するための研究論文がいくつか発表されています。ずばり、女性研究者は、女性が多いとされている心理学などの研究分野(米国では大学の心理学研究者の3分の2が女性)でも、引用数が男性よりも少ないという報告がされています。社会学、動物学など、やはり女性が多いとされている分野でも、この傾向は確認されています。

特定の属性の研究者の論文が紹介されにくかったり、引用されなかったりするのは、アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)が原因ではないかと言われています。

ここから先の情報、設問はイベントへの申込者、サロン/メンバー/有料ニュースレター会員、note記事購入者に公開します。

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