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#6 遺伝子検査の専門家が考える、業界の今とこれから
皆さんこんにちは、株式会社グリスタの斎藤です。
遺伝子検査は「次世代ヘルスケア」の文脈で取り上げられるのをよく見かけるようになりました。今回は私の視点から見た、遺伝子検査市場の現状について、そして今後についてもお話したいと思います。
大手シンクタンクなどのヘルスケア市場の動向レポートや経済記事を見てみると、 概ね共通して、
「個人の遺伝子情報や習慣、既往歴など様々な情報を利活用した個別化医療や予防・健康管理が行われる時代になる・パラダイムシフトが進む」
というような趣旨で言われています。
先行しているがん治療などの分野では、この動向はすでに顕著になっていますが、ヘルスケアに置き換えてみると「自分の目的や状態に合わせて最適化されたプログラムで食や運動に取り組む」と言い換えることができます。
当然、画一的なプログラムより効果や行動変容につながることは明白です。
私も一人のユーザーとして健康に対して悩みや目的があったとして(例えばボディメイクしたいとして)、もしこんなプログラムが提供されるサービスがあったら惹きつけられることは間違いありません。
そして遺伝子研究が進んできたことにより、個別化ヘルスケアの精度も大きく上がってきていています。
例えば怪我や筋肉、体脂肪などに体質としてどう影響しやすいかということが分かると、それも加味したうえでドクターや管理栄養士、トレーナーといった専門指導者は指導方針をより個別化させて組み立てることが出来るようになりました。これはトップアスリートの指導で広まってきているだけでなく、一部のヘルスケア関連の専門指導者では活用がすでに進んできています。
ただこれだけでは、まだまだ当たり前になるほどの広がりではありません。
これから個別化ヘルスケアの中で遺伝子情報の活用は広がりを見せていくという段階です。
よく遺伝子検査については「一気に広まりそうですよね」とか、「ブームが来そうですよね」と言われることが多いです。
でも私はそうはならないと考えていますし、上述したような経済レポートでも次世代ヘルスケアと紹介されてパラダイムシフトが起きるとは言われていますが、ブームや流行というとらえ方はされていません。
少し話が脱線しますが、パラダイムシフトとブームの違いは何でしょうか?
新しく当たり前になるということ=パラダイムシフトが起きるということは、すなわち新しい文化として根付いていく、ということ。ブームや流行は一過性のものが多く、ほとんどは文化として根付くことはありません。
文化になって根付いた例では、古くは産業革命、近年だとインターネットのようなものが事例に挙げられますが、これらは科学技術の進展が引き起こしたパラダイムシフトです。コロナによって生活様式や価値観が大きく変化したのもそれに入るかもしれません。
インターネットでいえば、1990年代では50%を切っていた普及率が、現在では100%に近くまで徐々に浸透してきています。
一方で流行やブームというと、記憶に新しいのはタピオカやマリトッツォブームなどが挙げられるかと思います。
これらは一過性のもので、その伸び率や浸透率などの軸で見ようともしないはずです。
このように、文化になっていくときは一過性のブームのようなイメージでの爆発的な普及はあまり期待できない反面、インターネットのように使いこなす側の事業者やユーザーが少しずつ増えていくことにより研鑽が進み、次第に広まっていくことがイメージしやすいかと思います。
では遺伝子検査はというと、インターネットでいうところの1990年中盤~後半頃の黎明期と同じような状態なのではないかなと感じています。
まだまだホームページを作れる制作事業者が少なく、それに伴いネットユーザーもそこまで多くない状況に似ています。
遺伝子検査から得られる体質情報は、上述したようにヘルスケアの専門知識を有した専門家が利活用することで初めて個別化ヘルスケアとして意味を成します。この情報を使いこなせる専門家がまだまだ少なく、それに伴って個別化ヘルスケアそのものも浸透していない状況です。
それでもこの数年でその専門家の数は相当増えてきていますし、その逆で使いこなせず諦めた事業者さんも多くいらっしゃいます。
もっと言うと、DTC遺伝子検査のように個別化ヘルスケアとはズレた使われ方が先行していて、誤解されて広まっているという日本独特の状況もあり、日本ではまだこれから本格的な浸透が始まっていく段階です。
我々は、今後起こりうる遺伝子検査市場のパラダイムシフトに向けて、少しでも専門事業者の方々が、安心・安全に遺伝子検査を利活用していただける環境を提供していきたいと思っています。
本日は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
株式会社グリスタは、日本唯一の遺伝子情報を活用した業務用個別化ヘルスケアサービス「IDENSIL(イデンシル)」を960社以上のヘルスケア事業者様(パーソナルジム、スポーツドクター・トレーナー・指導者、管理栄養士、エステなど)に提供しています。
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1979年生まれ/和歌山県出身/工学修士 学生時代は竜巻のメカニズムを研究。2010年バレーボール個人指導スクール設立をきっかけに、個人の体質によるパフォーマンス影響に着目。2015年より遺伝子業界へ。2018年、日本で初めて専門事業者の指導やヘルスケアソリューションを個別化することに特化した業務用遺伝子分析サービス「IDENSIL」を開発・リリース。 内閣官房が進めるレジリエンスジャパン推進協議会のWG委員選出や自治体との連携、日本を代表するトップアスリートの指導者への遺伝子情報提供を通じ、ヘルスケアから美容まで幅広い個別化に携わっている。