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ちょっとPopな哲学入門書 5選

『読まずに死ねない哲学名著50冊』平原 卓著 フォレスト出版/『J ポップで考える哲学』戸谷洋志 講談社文庫/『僕とツンデレとハイデガー ヴェルシオン・アドレサンス』堀田純司 講談社文庫/『シュレディンガーの哲学する猫』竹内薫+竹内さなみ 中公文庫/『武器になる哲学』山口 周 KADOKAWA

哲学なんてちゃんと習ったこともないし、サラリーマンやってた時も退職して第二の人生を送り始めたときにも救いの手を求めたこともない。まあ、怪しい新興宗教がなんでこんなに流行ってしまったのか考えれば、哲学がちゃんとものごとの道理や人生の悩みを少しでも少なくする方法や正義とはとか死とはとかをわかりやすく我々市民に教えてないからなんじゃないか、なんて考えている。天災や人災によるショックだけでなく日常的に人が生きずらいと思い悩むこんな時代にこそ役に立たなきゃ哲学なんて意味がない。

というわけで、わかりやすく楽しく実用的な哲学入門書です。結局、出てくるのはトマス・アクィナスだったりデカルト、スピノザ、カントとかニーチェ、ベルクソン、ヴィトゲンシュタイン、ハイデガーやサルトル、レヴィ=ストロース、フーコーなんかで、彼らの残した著書はやっぱり難しい。現在の僕的にはハンナ・アーレントにちょっと興味があるけれど。

『J ポップで考える哲学』の戸谷氏はハイデガーを研究したという国立大学出身の将棋棋士の糸谷哲郎八段と面白い対談をしていたが、僕はこの本をよんで乃木坂46とかRADWIMPSとか東京事変を聴くようになった。(椎名林檎さんってすごい) 『僕とツンデレとハイデガー ヴェルシオン・アドレサンス』のVersion Adolescenceの意味がこの本のどこにもないのだけれど、青年期の?子供と大人の間?とか?何か哲学に関連して意味があるのだろう。誰か教えてください。で、中扉のコミック風のJKのイラストに戸惑いつつわかりやすい大学の講義?という設定になっている。

『シュレディンガーの哲学する猫』は面白かった。「シュレディンガーの猫」とは、”1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが発表した物理学的実在の量子力学的記述が不完全であると説明するために用いた、猫を使った思考実験。”(Wikipediaより) このシュレ猫を相棒にレイチェル・カーソンやサン=テグジュペリ、廣松渉、小林秀雄をも取り入れている。これらの本のいいところは過去の偉大な哲学者の著作をテキストに解釈しようとしていないことだ。

最後の『武器になる哲学』。これはもうビジネス書だ。”無教養なビジネスパーソンは「危険な存在」である。”こんな恐ろしい言い方に”ビジネスパーソン”は弱い。この本の一番関心するところは書名と帯、見出しなどのコピー。そして50人の海外の哲学者の思想を仕事に役立つ解釈で紹介して社畜(失礼、言い過ぎだった)のハートを掴んでいる。

僕のように真面目に学問としての哲学を原書は無理でも分厚い著作物を読む気になれない(というか読めない)者にはちょうどいい。哲学だっていろいろ工夫して世代や職業を超えて広く親しんでもらいたいのだ。こういう本を読んで、世の中に不満と不安を持っている多くの人が、なんでこんなに自分につらくあたるのかとか、なんで自分だけ見捨てられていくのかとか、流行っている転職サイトの「もっと認められる会社がある」なんて言葉につられるような状況からすこしでも抜けられたらいいと思う。

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