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日報を始めたら、テレワークに上手くマッチしたというnoteです。

今日は「テレワークにおける日報の活用法」というテーマで書いていこうと思います。

皆さんの会社では日報を書いていますか?

そうです。
あの古めかしいオワコンと化した日報です。

人によっては「日報」というワードを聞いただけで、衝動的に嫌悪感を感じる人もいるのではないでしょうか。それくらいに「日報」は嫌われています。

旧態依然のマネジメントスタイルでの日報には、強制感や、やらされ感、義務感、無意味感、虚脱感など、ネガティブな印象を持たれている方も多くいると思います。

今日はそんな「日報」を有効に活用しようという話しです。
因みに弊社では日報を全員が書いています。

しかも、100%強制です。(笑)

2月の中旬から「日報」をスタートさせたのですが、スタッフからの評判も概ね良いのではと思っています。全てのスタッフが日報を書いていますが、多くのスタッフが仲間の日報を読んでいると感じます。

理由は、「日報」に価値があるからです。

今日は、glassy株式会社でどんな目的で「日報」を始め、どんな運用方法をし、どんな効果があったかを書いていこうと思います。

前置きが長くてすみません。

今回のコロナ禍の影響で早いところで3月前後から、多くの企業で4月からテレワークが始まったと思われます。緊急事態宣言解除後、どれ位の人数がオフィスワークに戻るのかは未知数ですが、大手を中心にある一定の市民権を得そうな流れです。

テレワークのメリット・デメリット

テレワークにはメリット・デメリットが企業側、働く側の双方にあります。メリットしかなければとっくにテレワークになっているはずです。粗くまとめるとこんな感じでしょうか。

●働く側のメリット
・ワークライフバランスがとりやすい
・満員電車での通勤をしなくていい
・子育て、介護などを両立がしやすい
・人によっては生産性が高まる
●企業側のメリット
・生産性の向上(まだ未知数)
・通勤手当の削減(ハイブリッド勤務だと意味なし)
・オフィス賃貸の削減(ハイブリッド勤務だとほぼ意味なし)
・優秀な人材の定着と確保(特に30代以降の子育て世代)
●働く側のデメリット
・長時間労働をし易い環境(管理が難しい)
・一人で仕事をしている孤独感(メンタル問題)
・人によって自宅での働く環境に差がある(生産性低下)
・会社の情報へアクセスしづらい(情報格差が広がる)
・成果主義によるストレス(今後増えそう)
●企業側のデメリット
・組織全体としての生産性の低下
・組織としての一体感の低下
・チームワークの希薄化
・帰属意識(ロイヤリティ)の低下

こんな感じでしょうか。
基本オフラインを前提にした組織運営だったため、そのギャップから様々な溝が生まれてきそうです。しかし、オフとオンを組み合わせることを前提にした組織運営に変えていくことで多くのデメリットは解消できると考えています。

特に緊急避難的に始まったテレワークだけに、オンラインでのコミュニケーション設計がしっかりと出来ていなかった企業も多かったと思います。

この場合、企業側で情報発信を強化しないと、働く側は会社の状況を知らず、疑心暗鬼になりがちです。また、仲間の仕事の状況を知ることも難しくなります。リアルでも隣の島のメンバーの仕事がよく分からないなんてことは普通にあるものです。

それでもリアルを前提にしたワークスタイルでは、目や耳から入ってくる大量の情報と、ふとすれ違った時や、ランチ時など、インフォーマルな情報交換をする仕組みが自然と組み込まれていました。

現在のテレワークに移行した状況では、意図的に情報共有の仕組みを再設計しなければ、スタッフ同士の情報共有は中々進まないものです。

そこで有効に機能するのが「日報」です。

これまで毛嫌いしてきた方も多いかと思いますが、オワコン化した日報を上手く活用することで情報共有はもちろん、インフォーマルで行われたセレンディピティな気付きや学びを再現する効果もあると思っています。

glassyでの日報とは?

●運用方法
・プラットフォーム:slackの日報ch
・発信回数:1日1回
・発信者:全員

日報のプラットフォームではslackを使用しています。slack内に日報chを作り、そこに各スタッフが投稿していく運用です。

以前は、グループ会社の方で日報専用アプリなどを利用していたこともありますが、コミュニケーションのプラットフォームが分散するのは得策ではないというのが結論です。現在はほぼ全ての情報をslackに集約しています。

●日報の目的

正直ここが一番大事なのですが、glassyではテレワークのために日報を導入していたわけではありませんし、いわゆる業務日報のような報告を目的とした日報は機能しないというのが僕の結論です。書いてある情報に価値がないことが多いのです。

なので、glassyの日報で業務報告的は一切上がってきません。

日報の目的は、人材育成です。

長くなってしまうので省略して書くと、glassyが日報を書く狙いは以下の3つの基礎スキルを高めるためです。

・言語化能力
・論理思考能力
・メタ認知能力

僕は現代のビジネスマンの基礎スキルは上記の3つだと考えています。この3つさえあれば、変化の激しい時代にも適応できる個人が育ち、結果として組織も強くアップデートしていけると考えています。

なので、glassyの日報は自分の為だけに書くのが原則です。

誰かに読んでもらうために書くわけではありません。当然、誰かが読んでくれることを想定して書いているのですが、日報の宛先は常に自分です。日報を導入するときに、目的が一番大事なので気を付けたいところです。

因みに、僕はこの日報を全社導入するにあたり、東京、名古屋、大阪の全てのオフィスでスタッフに直接「日報」を導入する意味や意義を伝えました。

また、その時の説明会(30分ほど)の音声を録音し、社員限定で聴くことができる音声版社内報「stand.fm」(ラジオ名:G-Voice)で公開しています。

今後、入社するスタッフもその音声を聴くことで、glassyが日報を書く目的を伝えることが可能になっています。 


●日報との向き合い方

毎日書いていく日報なので、日報との向き合い方を事前にセットすることが大切です。向き合い方をセットしていないと、ただの強制感や、義務感だけが残り、日報を書くこと自体が楽しくならないからです。

僕がスタッフに伝えているポイントは3つです。

1.自分を内省する時間をもつこと
日報を書く前には内省をする時間を持ってほしいということです。短くてもいいので内省する時間を持つことが毎日を豊かにしていきます。この感覚は直ぐに理解されませんが・・・。なので、いきなり日報を書き始めるのではなく、一拍置いて振り返ってみるのが大切です。

2.気づきや学びにフォーカスする
内省するときのポイントもある程度ガイドしています。1日の業務を通じて気付いたこと、学んだことを中心に内省するのが大切です。よく成長実感が湧かないとの声をSNS等で拝見しますが、人は必ず成長します。繰り返し日報を書いていくと、日常の解像度が高まり、自らの僅かな成長も感じ取れるようになります。

3.短く、簡潔に書く
テキストの長さは継続的な運用をするためには非常に大切です。要は長いと続かないのです。日報を書く1回1回の負荷が高いとストレスにしかなりません。glassyでは日報の推奨ワード数を300文字にしています。そして、MAX500文字以内というルールがあります。

これは絶対ではないですし、文字数は誰も数えていませんが「気楽に書いてね」というメッセージです。

テクニカルな話しをすると、短く、簡潔に書くにはスキルが必要です。結論の分からない文章を延々読ませられるのは誰にとってもシンドイものです。書くことも、読むことも、持続できる仕組みを事前に設計するのが重要です。

glassyでは毎日必ず日報を書くことを決めていますが、どうしても書けない日は1行でも、たったの一言でも良しとしています。理由は、日報はあくまでも自分の為に書いているからです。

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●日報の効果

日報の効果は当然ですが、日報の目的を果たせているかに尽きます。日報の目的はビジネスの3つの基礎スキルを高めていくことにあります。まだまだ効果が出せたと言えるまでにはなっていませんが、手ごたえは感じています。

そもそも日報を書くには、

・日々の微細な変化に気づくメタ認知能力
・気づきを学びへ構造化する論理思考力
・学びを短く、簡潔に伝える言語化力

が必要です。

逆説的に言えば、日報の質が高まるということは3つの基礎スキルが向上していると考えていいと思っています。まだ、人によるバラツキはありますが、日常の解像度は高まってきていると考えています。


●日報の副次的効果

日報は自分宛ての短い手紙なのですが、別の副次的な効果も期待していました。それは他者の気付きや、学びの促進です。

誰かの日報を読むことで、自分自身の新しい気付きや、学びを得るチャンスが高まります。自分自身のメタ認知能力を高めることは大事ですが、他者の気付きや学びに触れることはその能力を高めるために特に有用だと考えています。

そもそも第3者の新しい知見はメタ化された情報そのものだからです。

全員が日報で気付きや学びをシェアし、お互いに読みあうことで気付きと学びが掛け算になっていくことを期待しています。


●日報はインフォーマルコミュニケーション

当初は想定していなかった副次的効果が2つありました。
1つ目は、日報のやりとり自体がインフォーマルコミュニケーションになっているということです。

glassyの日報は「自分宛ての短い手紙」です。

当然ですが、少し内省された、心の内側からの声がテキストになっています。日報の前提はその日の気付きや学びのシェアですが「今日は大変だった」とか、「上手くできなかった。でも、何故なのか今は言葉にできない」とか、その時の感情もテキストに乗ってきます

いわばスタッフ一人ひとりの機微が伝わる「短い物語」になっているのです。

だから、全てのスタッフにおいて日報は書くことも、読むことも「価値」があるものになっているのだと思います。

「●●さんんは、今こんな状況なんだな~」
「へぇ~凄い!私も頑張らなくちゃ!」
「こんな一面があるなんて面白い!」
「なんか元気なさそう。声かけてみようかな」

とかとか・・・。

短い自分宛ての手紙は、他者からすると行間や背景を想起させる不思議な力を持っているのだと感じています。これはリアルコミュニケーションで感じていた「顔が元気ないな」とか、たまの立ち話での発見に近い感覚があります。

デジタルコミュニケーションの中でも、インフォーマルコミュニケーションは実現できる手ごたえを明確に感じています。

●日報で1日のピリオドを打つ

そして2つ目は、明確に仕事の終わりをつけ易いということです。
テレワークをしていると、仕事の始まりと終わりを明確につけるのが難しいです。これはプライベートなオフタイムから地続きで仕事タイムに入り、仕事が終了した地続きでまたオフタイムに入っていくからです。

オフィスワークだと物理的な移動というアクションで明確なオンとオフの区切りをつけ易いのですが、テレワークでは意図的にオンとオフの区切りをつけることが大切になってきます。

glassyでは一日の終わりに日報を書くことになっているので、日報を書くことで仕事のオンオフの区切りをつけ易くなっているのではと感じています。


今後、多くの企業でテレワークが進むと、半年から1年位の間に様々な社内コミュニケーションの問題が発生すると考えています。企業やチーム、そして個人は適切な改善を実施し適応していかなければなりません。

デジタルコミュニケーションが前提となる「withコロナ時代のインナーブランディング」では、これまでのオフラインの施策を上手くアップデートしてデジタルに組み込むことで、働くスタッフ一人ひとりがよりエンパワーされると考えています。


いかがでしょうか?

オワコン化した日報ですが、試してみる価値はあると思っています。

(終)

*追記
日報開始から丸1年が経過しました。成果は上々です。現在の運用を正確に記述するため少しだけ修正しました。 (修正日:2021/03/11)

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工藤太一/印刷会社二代目/glassy株式会社代表取締役
こんにちは。最後までお読み頂きましてありがとうございます。このnoteは僕のつたない経営や、インナーブランディングを行う中でのつまづきや失敗からの学びです。少しでも何か皆様のお役に立てたら嬉しいです。サポートはより良い会社づくりのための社員に配るお菓子代に使わせていただきます!