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【読書記録】十二国記 魔性の子

最近新しいブックカバーを入手し、久しぶりに本を読んでいるとTwitterでつぶやいたところ、とあるフォロワーから十二国記を勧められた。家には山のように未読本が積んである……と思いきや意外と見つからなかったので、勧められるまま十二国記を読むことにした。

書店で十二国記が置かれている棚の前までたとりついたところで、どれがシリーズ一作目かわからないことに気が付いた。とりあえず棚の一番左に陳列されていた本を手に取ると、帯に「エピソード0」と書かれていた。

さて、ここで新たな問題が生じた。エピソード0は最初に読むべきか、あるいは別に読むべきタイミングがあるのか……。スマホで検索して見つけたブログには、「全巻読むと決めてかかるのであれば魔性の子から」と書かれており、少々悩んだがオススメしてくれた友人を信じ、魔性の子を購入した。

そういうわけでエピソード0である魔性の子を読み終えたので、現時点での感想を書き残しておこうと思う。(魔性の子から入るのは「貴重なサンプル」と言われたので。)

全体的な感想(ネタバレなし)

なかなか衝撃的な内容だった。感想を書こうと思ってnoteのアカウントまで作ったのに何と書くべきか言葉が見つからない!

人間関係や何やらがものすごく現実的で、その間に挟まる「この世のものではない存在」がとても異様だった。現代日本が舞台のファンタジーなんてこの世にはありふれているのに、なぜかこの作品は「ファンタジーだしこういう存在がいてもおかしくない」とは思えなかった。それくらい「現実的」だったのかもしれない。

感想(ネタバレあり)

以下ネタバレあり印象に残ったシーンの詳細な感想。











岩木が死ぬシーン。「この作品始まったな」と思った。おそらくここで本を閉じて続きを読むのをやめた人がたくさんいるのではなかろうか。書店で見たブログに「ジャンルも違うホラータッチの作品で毛色がかなり違う」「ファンタジー好きな読者の心を遠慮なく切り裂きにかかってくる」などと書かれていたのも納得である。

それまでにあった祟りの描写は、せいぜい数人が加害者の事故だったのに、「自分たちが同級生を殺してしまった」という衝撃たるや。いやまあ、この岩木の件も「事故」ということになってはいるのだが。このあと高里を吊るし上げるのもさもありなん。


この世のものでは無い謎の生命体であふれかえる夜の学校。うじゃうじゃいろんなのがいるのがあまりに現実味がなくて少し笑ってしまった。いったいどういう状況だったのか。みんなで「タイキ」でも探していたのだろうか。
ラストシーンでも浜に色んな生き物が集まっているが、こちらは「帰る」とある上、この時点ではかなり現実からかけ離れていたので、そんなに沢山潜んでいたのかとゾッとするような呆れるような感じ。


最後に、人間である広瀬と麒麟である高里との対比。高里はあまりにも「いい子」で、叩かれても怒りを感じず、聖人というか浮世離れした印象を受ける。それは彼が人間ではなかったからだった。それに対して広瀬は自分の醜い部分と対峙させられた。そして高里にも向き合わせようとしたが……却って自分が「人間である」と突きつけられただけであった。
人はあまりに卑しく汚い。それを心に心に留めておきたいと思った。

おわりに

シリーズの1作品という印象のせいかもしれないが、この作品はまだまだこれから面白くなるという予感がしている。本編とどのような関係があるのか、高里……もとい泰麒のその後(あるいは「神隠し」にあっていた1年)を垣間見ることができるのか。続きが非常に楽しみである。

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