【読書記録】十二国記 丕緒の鳥
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今回は十二国記シリーズの短編集である。どれもこれまで読んできた話と同じ時代を別の視点から見た話で、苦しい時代を生きる人達を描いている。
感想
丕緒の鳥
タイトルにもなっている作品。伝統的に祝いの席で行われる儀式に使う陶鵲を準備する主人公が、徐々に儀式の意義について疑問を抱く。自身の考えを王に伝えようと試行錯誤するも、失敗に終わる。しばらく陶鵲の作成から自身を遠ざけていたものの、新王の登極に伴い儀式が行われるため、しぶしぶ作成に取り掛かる……。
この人には報われてほしいなと思いながら読み進めた。というか、景王ならわかってくれるんじゃないか、もう一度諦めずに頑張ってくれ、という気持ちで見守っていた。報われてよかった。
この射儀、是非ともこの目で見てみたいものである。
何を書いても後付けっぽくなってしまい大したことが書けない。
落照の獄
この作品はずっと暗澹たる思いで読んだ。どうやっても救われないことがこの世にはあるということを見せつけられた。この作品はよく知る慶国や雁国の話ではなく、柳国の話だったので、この後どうなったのかが気になるところである。
(これを読んだときは柳国についての記憶が一切なかったのだが、書いている今、そういえば過去柳の話が多少あった気がすると思い探してみると、風の万理 黎明の空ですこし出てきていたので今読み返している。こちらでもちょうど柳国は傾き始めたころだった。)
果たしてこれから柳国はどうなるのか……。
青条の蘭
これもまた報われてほしいと思いながら読んだ話。読み始めたころ、どの国が舞台なのかが分からなかったが、それで話の理解に影響があるわけではないので気にしないでいた。あえてどの国かわからないような書き方だったのか、地名を知っていれば分かったのか……。十二国記の地名や人名は難しくて覚えるのに難儀する。役職名なのか名前なのかもわからないし……。
それはさておき、この話は三人の男たちが、誰にも理解されない国の危機を必死になって未然に防ぐという個人的にかなり好きな話であった。(今回の短編4編の中で1番好きと言おうとしたが、丕緒の鳥と優劣つけがたかった。)木が減ると水が蓄えられず川が洪水し、根がないので支えを失い山が崩れる、といった災害に多少の心得があったからかもしれない。山から獣が下りてくるというのは知らなかったが。
何はともあれ、皆が助け合い無事届けることができ、それを受けた王がその危機を理解してくれる人で、本当によかった。
風信
今回の短編4編の中で唯一、読み始めてすぐには結末が分からないというか、目標がないというか、よくわからないなと思いながら読み進めた。
序盤のシーンはなかなか強烈で、一瞬で舞台と時代が分かるのも上手い。
最後に「よくわからない、外の世界から目をそらしている」と思っていた人達の仕事の結果、明るい未来の報せを聞くことができたのはよかった。これからも頑張って生きてほしい。
おわりに
Q. どうして丕緒の鳥しかあらすじ書いてないの?
A. 丕緒の鳥のあらすじ書き始めて途中で面倒くさくなったから。
今回は短編集で王や麒麟たちの話とは少し離れていたので、そちらの続きを読むのが楽しみです。前の話読んだの結構前だけど覚えているだろうか……。
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