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【ゲーム】テキストアドベンチャーゲーム『午前五時にピアノを弾く』で忘れていた思い出を探しに行こう。
忘れ物をお探しですか?
お預かりした忘れ物は
こちらで間違いないですか?
『ナツノカナタ』というADVゲームを制作した「Kazuhide Oka」氏の新作ADVゲームだ。1~2時間ほどで全エンディングを読み切れる短編アドベンチャーゲームなので、少しでも興味があるのなら、上のSteamリンクページですぐにゲームをダウンロードして余計な情報を入れずにプレイするのをオススメします。無料なのでね。
午前五時、霧の中を彷徨うゲームパート
山の中に佇む木造りの一軒家に住む少女は、朝の濃い霧がかかった山道を散歩するのが好きだった。けれど、なぜ好きなのか分からない自分が嫌いでもあった。
本作は、少女が散歩をする5時から8時までの間がテキスト形式のローグライトゲームとして展開します。
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毎ターン2つの選択肢から選ぶと、時間が進む代わりに4つのパラメーターのどれかが増加する。この4つのパラメーターのいずれかが上限の10に達するとゲームオーバーになるので、良い感じにパラメーターを調整して8時を迎える必要があります。
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使い切りの回復アイテムで、渇きの数値を減少してくれる。
なんとなくシビアな管理を求められそうなシステムですが、そこそこの頻度でお助けアイテム(3個まで所持可能)を拾えて、パラメーターを上昇幅を抑えてくれます。効果はシンプルな使い捨ての回復アイテムや、条件や確率でパラメーターの上昇をマイナスしてくれるものまで多種多様。そのためゲーム部分はそこまで難しくはない、と思います。
少女はあまり気に留めてないが、霧の中ではかなり不思議なことが起こる。紅茶の温泉や、あるはずの無い海。火山を登ったり、巨人と遭遇したり。パラメーターに「狂気」の項目があるとおり、正気を失いかねない字面のイベントが多々ある。
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それでも少女はあまり意に介さず散歩を続ける。画面で状況を把握しているプレイヤーとの認識の差異と、心を落ち着かせるピアノのBGMがなんともアンバランスで、それがしだいに心地良くなっていくのだから面白い。
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ちなみに、ゲームオーバー時の演出はグロテスクな終わり方ではなく、少女がいつの間にか家に戻って寝ている場面ところからやり直しになるだけなので安心?してほしい。
少女は壮年の男と出会い、好きの理由を思い出す
ゲームパートで朝8時を迎えるとシナリオが進み、少女の境遇が少しずつ明らかになる。近いうちに山を下りたところに引っ越すこと。今いる家を手放すのが嫌なこと。家での思い出を忘れてしまう恐怖。
少女は暗澹たる気持ちで霧の中を散歩していたある日、壮年の男と出会う。
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男には記憶が無かった。突然現れた男に本来なら警戒するべきなのだが、その落ち着いた立ち振る舞いに少女は不思議と心を許し、自分の身の上を話すようになる。
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朝の短い時間、男との交流の時間によって少女の過去が、なぜ自分は霧が好きなのか、物語の核心に迫ることになる。
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(小ネタバレ注意な感想)
どんな思い出も、時間の経過とともに忘れてしまう。自分も小さい頃を思い出すのは苦労する…というか数えるほどしか思い出せない。人間は良くも悪くも忘れてしまう生き物で、思い出したくない記憶を消してくれる代わりに、楽しかった思い出も消してしまう。
けど、たとえ忘れてしまっても、自分の中に残り続けて少しずつ自分を変える。そうであると信じたくなる美しい物語が、このゲームの大好きなところだ。
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ノベルゲームの良いところですね。
エンディングも、タイトルの意味を回収するのがとても美しくて好きです。すごく綺麗な物語の着地点。
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エンディング2,3は「結局、あのおじさんは今どうしてるの?」という疑問に答えるエンディングで、さらにエンディング1でたどり着いた答えを昇華するかたちになっているのがまた泣けました。
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散歩中に見つけたアイテムが条件というのが良い。
忘れていたものを、偶然思い出すように現れる演出としてゲーム部分が使われている。
ぜひともサントラ販売を…、もしくはポストカードをつくってほしい。部屋に飾りたい。
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