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日記

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日記とか色々を。
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#日記

閉じこめたい

年末の終電間際、大阪市を横切る3車線の道路に、車は一台もいませんでした。静まった都会は不気味だし、優しさの名残がシュワシュワと蒸発しています。ゆく宛のないため息は、巨大な物流倉庫へと運ばれてゆきました。そこで機械によりアマゾンのダンボールに詰められ、ウクライナへと旅立ちました。僕たちは人間です。最近3日に一回は確認します。確認が大事です。僕たちの思考や感情を、科学的知見から何かの信号だとかなんとか

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ありがとう

白い息が逃げていく。去年の怪我を思い出す。僕が買ったもの、君が残したものが、風化したり踊ったり風に揺れたり、たまに電源がフッと入ったりする。茶色い目の、手袋をした子どもたちが、ずっとバイバイを言い合って、いつまでも言い合って、夕暮れが鬼の大群で埋め尽くされるまで、いつまでもそれは続いて。僕は恥ずかしくて、いつでも恥ずかしくて、他の人格に頼って、そいつが出しゃばったりして悔しくなる。そして世界はこの

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白い暴動

パーティーは終わっていた。飾り付けや食べ残しがそのままの会場に、僕はのそのそとやってきた。どんな音楽が流れていたのか、少し気になった。テレビはつけっぱなしだし、吸い殻もゴミも落ちている。電飾がカラフルに点滅しているが、電池が切れかかっている。アルファベット型にふくらんだ風船を並べて、果たしてなんのパーティーだったのかを推理してみる。僕は傘をささなかった。異様に喉が渇いて、世界がきれいだった頃を思い

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懺悔のようなもの

誰の役にも立っていないまま、35年が経ちました。それでも僕を誇りに思う人がいました。それが僕にはむず痒くも、嬉しかった。

インターネットでレコードを買うも、簡単すぎて所有欲が満たされるだけで、虚しさは蓄積します。やはり汗かいて、たどり着いたレコード屋で発掘してこそ、針が拾う音があるってなもんです。たくさんのレコードに囲まれて何ヵ月も陳列され、発酵しないと発生しない音を聴きたいです。

レコード屋

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薄っぺらい文章

夏が来たが、常に脱水症状気味な毎日を送っています。オホーツク海に飛び込んで、流氷に挟まれてみたいです。

小さいトゲが刺さったまんまの、初期オルタナティブロックのような危ういバランス感覚が僕を支配しています。意識の下の、本能の下の、細胞分裂の下、最果ての宇宙に到達したみたいです。君は悲しいですか。ちゃんと星になれましたか。言葉ごときが音階を並べても、ホコリまみれです。まだ、お皿に料理が半分くらい残

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立入禁止

年老いて思い出す夏は冷房の効いた部屋からの眺めかもしれない。

朝はワイドショーを観て、夕闇には動かない星を観て、夜中には言葉が欲しくて映画を観る。ぐっすり眠れるしっくりくる言葉が。

僕の仕事もこの数ヶ月だんだん減ってきて、いよいよ手詰まりになってきて、とりあえず会社には行くけど無理矢理与えられた業務とも呼べないような雑務をそれとなくこなして、缶コーヒーの摂取量だけが右肩上がりで増えていく日々、

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ニューヨーク イズ コールド

風が透き通っている。午前4時の田舎の空気を分けてもらったような、窓のあいた快速電車にて。

いつも些細なことで、秋の気配に感づくようで、例えば冷えた郵便受けの取っ手や、優しくきめ細かく結露したコップや、洗顔の水温に無理してる自分や、麦わら帽子が似合ってた人の命日や。

季節はゆっくり剥がれ落ちていきます。
剥がれた夏を集める詩人がいます。
10月はしれっとやって来た。僕は服を買いに行けないまま、思

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ターミナル

体の隅々に疲労とストレスを行き渡らせないと、眠れなくなってしまいました。24時間営業の、マクドナルドの光る看板を目指して、朝なのか夜なのかわからない闇をさ迷う人造人間がいます。そのすぐ横を原付バイクが通りすぎて行きます。

心では、電源を切りたいのに、元気な体が歯痒いです。この世界は、本当は、僕らでは認識できないキラキラしたなにかに、包まれていてほしいです。本当は。

新しい家や、お洒落なお店は温

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ドントルックバック

ある晴れた日に、僕はバイクを走らせた。
西へ西へと、僕は行き、嬉しいことに、太陽もついてきやがった。

バイカー達は思い思いの防寒でもって道にやってきた。その日は、少し暑いようだった。律儀に左車線を守る僕を嘲笑うように、すり抜けていくキカイダー達。信号待ちのたんびに眺めながら、それでも西へ西へと向かい続けた。

僕の車体はコバルトブルー、陽光を吸収しガソリン代わりにし、泡立て器みたいな振動を両手に

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カリー

朝は病院、いつもの処方箋。
薬局でコーヒーを飲みながら順番を待つ。無料なのだ。
駐車場の警備員はタバコを吸っている。
吐き出た煙が俺の未来を曇らす。

駅と駅を結ぶ並木道を歩いてみる。
知らない店が増えている。
君がそのどこかで買い物をしている姿を想像している。商品を真剣に選んだり、店員に話し掛けられたり、レジの前で財布を慌てて出したり。

一人で吸う空気と、共有する空気の温もりを噛み締めて。空気

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ポツン

星が漂うかじられた夜の海で君は優しい。
僕を心の底から罵ってくれて君は優しい。
遠くで回る観覧車は空を綿菓子にしたよ。
近付いた分だけ離れていく法則を、壊したいよ。

不協和音が心地いいのは、誰のせいだろう。
一人で歩く歩道は広く、向風も直撃しやがる、
行き交うみんなはカップに入ったコーヒーかなにかを持っていて、代わりに僕はといえば排気ガスの混じった冷気を吸い込み、病み上がりの軋む体をくの字に曲げ

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団子

労働者のため息が雨を降らす早朝の電車、スピッツを聴きながら出勤する。俺もその労働者の1人なもんで、嘘だらけの世の中において1本のダーツとして、誰かに投げられどこかに刺さって死ぬんだろうなと、今日も自ら望んで収容所へと向かう。労働で得られる金で、お前たちに細やかな反抗をしてやる。いつしか諦めて「もうこのままこの会社に養ってもらおう。」とか思わない為に。

新しいものと古いものが同居する街で、自分だけ

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暴れる残像

大事な日に限って寝坊してしまうのは本能的には行きたくないからだろう。というわけで大事な日に寝坊してしまいました。朝日が透き通ってる。

こないだ、10月1日にVelvet crushの来日ライブに行きました。梅田クラブクアトロは前にもTeenage Fanclubで行ったことあった。30分前に会場に着いてTシャツを買った。Mサイズを買った。買ってすぐ「Mでよいのか?」と不安になった。あ、あとステッ

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思いつくままに

めんどくさい奴と付き合うと、体の奥の丸太が削られていく。少し涼しくなったからって調子に乗ってはいけない、と肝に命じる。嫌なことは忘れよう。それでも絡んできたらツラいけど。いつでもレトロを愛し、真実をぼやかそう。

寝る前にベッドルームポップ、シューゲイザー、ローファイ系のYouTubeを掘り下げて、聴きながら寝る。たまらないよね。優しい偶像って感じで、音の情報量は少なくても何重にも包まれた、さ迷う

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