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ジュニアアスリートメディカルサポート通信Vo.17 〜ジュニアアスリートを目指すために小学生のうちに知っておきたい事〜
ジュニアアスリートメディカルサポート代表の宮田大揮です。我々は、小中学生のアスリートをサポートして5年ほどが経ちました。2024年7月から、クローズされていたサポート体制をウェブ上にオープンしました。具体的には、医学の力をジュニアアスリートの能力を最大限引き出すためにフルコミットする形で使っていこうというのがコンセプトで、アジアから世界に誇れる選手を様々なスポーツで輩出することを目的としています。
第17回は「ジュニアアスリートを目指すために小学生の知っておきたい事」を取り上げたいと思います。このメディカルサポート通信も17回になりましたが、序章をお伝えしている形になりますので、詳しい内容に興味がある方はHPよりご連絡いただければ幸いです。
今回は、我々の施設の取り組みの一部をご紹介したいと思います。小学生高学年~中学生にかけてご相談を頂くことが多いですが、この時期はまず相談頂いた子どもの成長のタイミングが今どのフェーズにあるのか?を可能な限り正確に把握することから始めていきます。同時にどのような選手や大人になっていきたいか?どんな夢を持っているのか?を伺い、それに必要な医学的なサポートをご提案していきます。まずはカウンセリングで今までの成長記録を教えてもらい、現在の成長速度での予測身長を推定します。また、レントゲンにて骨年齢(成長が年齢相応なのかどうか?)、骨端線の状況(骨端線が閉じていればすでに身長が伸びる時期は過ぎていますし、確認できれば、骨の成長は期待できます)を確認します。また、採血にて成長段階の評価や二次性徴につながるホルモンの値をチェックして、成長につながる状態なのか?を評価しています。
これら検査により、①現状での予測最終身長 ②現在が二次性徴前なのか?二次性徴の最中なのか?最終段階なのか?を推定 ③目標に対して身長や筋力など必要なものを逆算し、目標身長が予測最終身長よりも高くないといけない場合に医学的なバックアップが可能なのか?をお伝えします。
予測最終身長が、本人やご両親の目標としているところにあるのか?もし、目標よりも低い場合にはそれをより高い目標に再設定可能かどうか?については、成長ホルモンの分泌状況や骨端線の状態、なにより二次性徴に入っていて、エストラジオールがどの程度分泌されているのか?などが重要になってきます。合わせて、筋力についても筋トレを開始する適正なタイミングについてもお伝えしております。以前もnoteで伝えておりますが、小学生のうちから筋トレをやってはいけないということはなく、ウェイトを使用しない筋トレであれば、体幹トレーニングも含めて問題ありません。唯一、背椎に負担のかかりすぎるウェイトを使用したトレーニングは控えてもらうようにお伝えするケースはあります。
では、なぜこのような採血など費用をかけてまでお子さんの成長に関する「現在地の評価」が必要なのでしょうか?
日本では、今でも「身長は必ず伸びるから待っていればよい」という考えの方が多く、小学生の時点で大きいお子さんの場合は特に「現在地の評価」を軽視している印象です。しかし、よく言われる早熟というお子さんほど(小学生で高身長であるのに中学生でそれほど伸びずに身長が抜かれてしまう)、しっかりと評価して二次性徴のタイミングを見逃さないようにして、ぎりぎりまでしっかり伸ばし切る医学的なバックアップが必要です。また、早熟と言われている子供たちは、同学年の子と同じトレーニングではなく、筋力トレーニングなどが早くから効果が出やすい特徴もあるため、異なったトレーニングを行う必要も出てくるため、「現在地の評価」はとても重要です。
逆に、小学生で身長が低いがスポーツを頑張っている子の場合で、高校生になってグンと伸びるようなお子さんの場合も、二次性徴に入る前までにどれだけ大きくなっておくか?で最終身長が変わってきます。二次性徴に入るまでに医学的サポートを最大限行っていくことがこの場合は必要ですし、そのような経過をとるお子さんは筋力トレーニングをしても早熟の子たちよりも筋トレの効果がでにくいという特徴があるので、筋肉のボリュームを付けるトレーニングではなく、インナーマッスルを鍛え体幹の力をつけるようなトレーニングに重きを置いたほうがよいと考えています。
このようにジュニアアスリートは自分の現在地をしっかり把握しておくことで、正しいトレーニングを行うことができ、かつ最終身長も予測値を大きく上回ることができる可能性があります。年齢でトレーニング内容が決められるのではなく、ホルモンや成長段階に合わせてトレーニング内容を調整する必要があるため、我々はジュニアアスリートであれば、小学生のうちに最低でも1回は「現在地の評価」を行うべきだと考えています。
このようなことに医学的にフォローすることは日本の保険診療ではできませんので、小児科などで相談することができない側面もあり、我々は2024年7月からジュニアアスリートメディカルサポートとして一般向けにオープンいたしました。ご興味のある方はぜひとも下記サイトもご覧ください。