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特定技能の基本方針変更を閣議決定 具体的変更内容を解説!

方針変更を閣議決定

日本政府は3月29日、特定技能の在留資格に関する制度の運用基本方針を一部変更する閣議決定を行いました。
この変更は、国内での外国人技能労働者の受け入れ体制をさらに充実させることを目的としています。
政府のこの決定は、日本が直面する人手不足の問題に対応し、多文化共生社会を実現するための重要な一歩を示しています。


ここでは、特に特定技能所属機関の責務にスポットを当て、その影響と意味合いを解析します。
まずは、基本方針を変更するにあたってどんな理由があったかについて説明しましょう。
日本政府が特定技能の在留資格に関する制度の基本方針を変更した背景には、複数の重要な要因が存在します。
主に、以下の点が変更の必要性を高めていました。

1. 人手不足の深刻化

日本は、少子高齢化が進行する中で、労働力不足が社会全体に深刻な影響を与えています。
特に、建設、介護、農業、飲食業などの分野では、国内での人材確保が困難になっており、経済活動に支障をきたすほどです。
外国人技能労働者の受け入れ拡大は、これらの産業を支え、日本経済の持続的な成長を促進する上で欠かせない施策となっています。

2. 国際社会との競争激化

優秀な人材を巡る国際競争が激化しています。
技能労働者を含む外国人人材の受け入れは、国際競争力の強化だけでなく、多様性の導入による新たなイノベーションの創出にも寄与します。
日本が世界の舞台で競争力を維持し、さらなる発展を遂げるためには、外国人人材の受け入れ体制の強化が不可欠です。

3. 社会統合の推進

多文化共生社会の実現に向けては、単に外国人労働者を受け入れるだけでは不十分です。
外国人労働者が日本社会において安定して生活し、活躍できる環境を整備することが重要です。
外国人労働者と地域社会との良好な関係構築、適切なサポート体制の確立、そして相互理解の促進は、持続可能な社会統合を達成するために必要な措置です。

4. 政策の適正化と効果的な運用

制度の運用においては、外国人技能労働者及び受け入れ企業双方にとって公平で理解しやすいルールの明確化が求められています。
また、不正利用の防止や労働条件の改善など、運用上の課題に対処するための見直しが必要になってきました。

これらの背景を踏まえ、日本政府は特定技能の在留資格に関する制度の基本方針を見直しました。
より実情に即した、柔軟で効果的な外国人労働者受け入れの枠組みの構築を目指しています。

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特定技能所属機関の責務

今回の基本方針一部変更では、特定技能所属機関における責務が明確に記されました。
それでは、具体的にどのような責務が課せられるのか見ていきましょう。

法令遵守の徹底

政府は、特定技能所属機関に対し、出入国管理関係法令、労働関係法令、社会保険関係法令における厳格な遵守を求めています。
外国人技能労働者が日本で働く上で適正な待遇を受けられるようにするためです。

適正な運用の確保

政府はまた、特定技能所属機関が制度の意義を深く理解し、その精神に沿った運用を行うことを求めています。
これには、外国人労働者が日本での生活と仕事において直面する可能性のある障壁を低減させる取り組みが含まれます。

共生社会の実現への寄与

さらに、特定技能所属機関は、外国人と地域社会との共生を推進するため、外国人労働者が社会に溶け込みやすい環境を作るための責務を負います。
これは単に法律を守るだけではなく、積極的に外国人労働者の社会参加を促進する姿勢が求められることを意味します。


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1号特定技能外国人支援の具体的内容

次に、1号特定技能外国人支援の具体的内容について説明します。
1号特定技能外国人支援とは、日本で特定技能の在留資格を持つ外国人労働者(1号特定技能外国人)を対象とした、包括的な支援体系です。
外国人労働者が日本での生活と労働において直面する可能性のある課題を軽減し、彼らの安定的かつ円滑な在留を支援することを目的としています。
ではその具体的内容について確認しましょう。

日本政府は、特定技能1号外国人労働者の日本での滞在と就労を支援するために包括的な支援体系を整備しています。
この支援体系は、特定技能所属機関や登録支援機関によって実施され、外国人労働者が日本での新生活をスムーズに始められるよう、また、仕事や社会生活において安定して活動できるように設計されています。

支援の実施主体

1号特定技能外国人支援は、特定技能所属機関または登録支援機関が担当します。
これらの機関は、外国人労働者と地域社会の共生を促進しつつ、1号特定技能外国人支援計画に従って支援活動を行います。

支援の内容

支援プログラムは、外国人労働者のニーズを広範囲にわたってカバーしており、以下のようなサポートが含まれます

  1. 入国前の生活ガイダンス: 労働者が日本の生活、文化、法律について理解を深められるよう、母国語での事前ガイダンスを提供します。

  2. 入国時のサポート: 空港での出迎えや、帰国時の見送りを含みます。

  3. 住宅の確保支援: 保証人となることやその他の住宅確保のための支援を行います。

  4. 在留中の生活オリエンテーション: 銀行口座の開設や携帯電話契約など、日常生活に必要な手続きのサポートを提供します。

  5. 日本語学習の支援: 職場で必要とされる日本語能力の向上を目指します。

  6. 相談・苦情対応: 日常生活や職場での問題に関する相談や苦情に対応します。

  7. 行政手続のサポート: 在留資格の更新など、必要な行政手続きに関する情報提供と支援を行います。

  8. 交流促進: 外国人労働者と日本人との交流を促進するための支援をします。

  9. 雇用契約解除時のサポート: 雇用契約が解除された際に、他の機関との新たな雇用契約を結ぶための支援を行います。

キャリアサポートと在留活動の確保

さらに、特定技能所属機関や登録支援機関は、1号特定技能外国人が転職する際にハローワークのサービスを利用できるように支援します。
これにより、労働者が自身の希望条件、技能水準、日本語能力に合った仕事を見つけられるようになります。
ここでは、支援機関が1号特定技能外国人の希望条件や能力を十分把握した上で適切に職業相談・紹介をすることが求められます。

実施状況の報告と監督

特定技能所属機関は、支援の実施状況を出入国在留管理庁に報告することが求められます。
これによって、制度の透明性が確保され、必要に応じて改善措置が講じられることになります。

支援体制の構築

法務省、厚生労働省、外務省その他の関係行政機関は連携して、1号特定技能外国人が本制度の意義に沿った活動を適切に行い、円滑な社会生活を送ることができるよう支援体制を構築します。
また、問題が発生した際には、特定技能所属機関や登録支援機関が直接、関連する行政機関に連絡を取り、情報提供を行うことが可能です。
これは、迅速な問題解決と外国人労働者の保護を目的としています。

このように、1号特定技能外国人支援は、外国人労働者が日本での生活と仕事を始めるための包括的な支援を提供することで、彼らの成功と地域社会との共生を目指しています。


まとめ

日本政府による特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の一部変更は、外国人労働者が日本での生活と職業において直面する挑戦を緩和し、彼らの成功と地域社会との調和の促進を目的としています。
この変更により、特定技能所属機関及び登録支援機関の役割が強化され、より具体的かつ包括的な支援が提供されることになります。
入国前の準備から、日本での生活サポート、職業訓練、さらには転職支援に至るまで、外国人労働者をサポートする体制が整いつつあります。

この方針変更は、日本の多文化共生社会実現に向けた大きな一歩であり、外国人労働者と日本国民との相互理解と尊重に基づく共生の推進に貢献します。
外国人労働者の受け入れ拡大と適切なサポートの提供は、日本が直面する人手不足の問題を緩和し、国際競争力を高める上で不可欠です。

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参考文献:出入国在留管理庁(2024)「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」, <https://www.moj.go.jp/isa/content/001416434.pdf> 2024年4月1日アクセス.


監修:センターポイント協同組合


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