忙しくて子どもとの時間を持てない…。この罪悪感、どうしたらいい?
先日、こんなご相談がありました。
「息子は、園でいろいろな体験をして、この1年ですごい成長をしました。私はフルタイムで働いていますが、母親として、絵本も満足に読んでやれず、一緒に公園やお砂場、水遊びなどもしてやれず、申し訳ない気持ちです。母親がすべきことを何もできてないんです」
と涙を浮かべられました。
こうした悩みをよくいただきます。
「でも、お子さんの成長を感じるのですね?」
と伺うと、
「はい。園のおかげでいろいろなことができるようになっています。私は教えてないのでびっくりするばかりです」
とおっしゃるので、
「お子さんにとっていちばんいい形を作ってあげられている、ということですよね。それはお母さんの力ですよ」
と伝えると不思議そうな顔をされながらも、少し安心した様子でした。
子どもを成長させるのはお母さんであるべきだ、という意識がまだまだ根底にあって、お母さん自身を苦しめているようです。
よくあるシーンから見てみましょう。
■自分を責めない。子どもと周りを信じる
ミーちゃんがとても素敵な成長を遂げていることを感じますね。きっと園で、先生が絵本を楽しそうに、時には声色を変えたりして読んでくれるのをみて、できるようになったのでしょう。
お友だち同士で、読み合いっこをして、得意になったのかもしれませんね。
お母さんが何でも体験させて、子どもを育てなければならない、という思い込みはそろそろやめましょう。
園やお友だち、おじいちゃん、おばあちゃん、地域の方たちと関わる中で、いろいろなことを学んで子どもは育っていきます。その成長をそのまま自分の喜びにしてしまいましょう。
自分を責める必要は全くありません。
■他人ではなく、親だけができるたった1つのこと
お母さんは、子どもの成長をそのまま受け止めましたね。
サトくんが「絵本読んで」と言った時、まず「うん、その絵本いいよね」とサトくんのチョイスを認めました。料理をしていてすぐに読んでもらえなくても、まずは認められたことでサトくんは満足し、ママの忙しさも受けとめられるようになります。
そして、「ミーちゃんが読んであげる」と言った時、「ありがとう。ママも聞いてていい?」とミーちゃんを頼りにしたことで、ミーちゃんもやる気になりました。
お母さんは、ミーちゃんが絵本を読めるのかどうか疑わしかったかもしれませんが、「サトくんに読んであげたい」と言うミーちゃんの想いを認めることで、成長を見て感じることができました。
お母さんが全部やらなくても大丈夫です。子どもは、日々すごい勢いで成長しています。
親にできることは、子どもがやりたいことを否定せずに、認めることだけです。
考えてみたら、「忙しい中イライラしながら絵本を読むこと」より「ニコニコしながら子どもを認めること」の方が、親子で楽です。
勝手に、自分で「母親がすべきこと」だとプレッシャーをかけていることがたくさんあるのかもしれません。
たとえば、
「元気にご挨拶できるように、しつけないといけない」
「絵本は最低でも100冊、読んであげないといけない」
「愛情たっぷりのお弁当を、作らないといけない」
などなど。
これ、お母さんじゃないとできないことでしょうか。
子どもを信じ、園を信じ、子どもに関わってくれている人を信じ、任せていいと思います。
繰り返しますが、お母さんがすべきことはたった1つ。
子どもを認める言葉をかけることです。
みんなで子どもを育てていきましょう。
マンガ:とげとげ。
執筆:天野ひかり
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして 講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げた「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事、一般社団 法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)などがある。
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