【ゴリラに会いに】上野動物園探訪記
引き続きゴリラブーム真っ最中の私である。
毎日毎日動画を観ながら、ゴリラかっこいい🤎ゴリラかわいい🤎ゴリラやんちゃ🤎くらいしかくらいしか言わなくなった気持ち悪い私を夫はどう思っているのか。
さらには無理やりゴリラ動画を観せたりして夫には本当に迷惑をかけていたのだが、ある日奇跡が起きた。
めったに自分からお出かけしようなどと言わない夫が、
「……ゴリラ……見に行くか?」
と、ちょっと恥ずかしそうに言ってきたではないか。
これを奇跡と言わずして何と言おう。
夫に私のゴリラ愛が通じたのだ。
そんなこんなで、夫の気が変わらないうちに一緒に上野動物園へ向かう。
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上野に行くと、ちょいちょい子供の頃を思い出す。
上野動物園といえば、やはりジャイアントパンダの思い出だろう。
家族で見に行ったランラン・カンカン、いったい何時間待って見たのだったか。やっとのことパンダ舎の前まで来たならば、「立ち止まらないでください」とどんどん流される。子供を肩車したお父さんがいっぱいいた記憶しかないが、それもそのはず、なんとかチラ見したパンダは背中を向けてぴくりともせずに熟睡していた。
正味30秒。
当時上野のパンダといえばもう今とは比べ物にならないくらいのフィーバーだったわけなのである。
帰りにパンダのぬいぐるみを買ってもらい駅へと向かう途中、傷痍軍人を見たのも子供には強烈な経験だった。軍服を着た手や足がないおじさんたちがハーモニカやアコーディオンを奏でている光景が、とても異様に映ったものだった。おじさんの前にはお金を入れる箱が置いてあった。
1970年代の話である。
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さて、これだけ毎日毎日ゴリラ動画を観ていたら、ゴリラたちは憧れのロックミュージシャンみたいなものである。その憧れのミュージシャンの生ライブを観に行くのだから、いやでもテンションは上がる。
いよいよゴリラたちがステージへ。
見ようと思ったらもう窓の周りは人でいっぱいだ。
外国人が多い。
広々とした運動場で過ごすゴリラたちはガラス窓越しに見ることができる。
大きめの窓2つと小さい窓がいくつかあるが、ゴリラが見えるところにはもうびっちりと観客がとりついている。
隙間からなんとか覗くと、おばさんゴリラ・トトに背負われたアイドルチビゴリラ・スモモ登場!いっせいに観客がざわめく。
「わ~見て見て~赤ちゃんいるよ~~~」
「カワイイ~」
「カワイイ~」
さすがの人気アイドル・スモモ。その愛くるしさに一同メロメロだ。
隣の親子が窓をのぞき込んで語り合う。
「ちっちゃいね~お母さんといっしょにいるよ~」
それは違うぞお母さん!スモモを背負っているのは母親のモモコじゃなくてトトっていう面倒見のいいおばさんゴリラなんだよ!スモモはトトにすごく懐いているんだよ!
YouTubeで得たにわか知識を披露したくてたまらん私は心の中で勝手に解説。
飽きちゃった夫をほっといて延々とゴリラを眺める私。
(ここからはいつものえ的ポンコツ写真になります。)
上野動物園の「ゴリラ・トラの住む森」は1996年完成。
その前のゴリラ舎は手狭なコンクリートの運動場だった記憶だ。なぜ昔はコンクリートだったのか、察するに掃除がしやすかったのだろう。水でジャーッと流せばいいのだから。土と緑のグラウンドはゴリラたちにとってはいい環境だが、飼育員さんたちには大変なことで、頭が下がる。
あとは京都市動物園の動画などを観て思うことだが、上野にもゴリラたちがもっと高いところに上ったり、ぶら下がったりできる遊具があればいいのになあと感じる。ゴリラたちがもっと活発に運動できるし、彼らが高いところにいた方が観客にとっても見やすいだろう。
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ゴリラのところで夫をだいぶ待たせたのち西園に向かう。
上野動物園といえばモノレール。
だがしかし……
モノレール廃止にちょっとしんみりしながら、歩いて西園へ。
いそっぷ橋から下を眺めると、パンダの入り口に行列ができている。そうだ、パンダは40分待ちだった……。シャオシャオ、レイレイの双子パンダの誕生で人気沸騰のパンダ。そんなに並ぶわけにもいかないので、パンダ観覧は早々にあきらめて他の動物を見て回る。
ひととおり動物を見て回り、私と夫はトイレに入ったあと東園に戻ることにした。トイレを出て道なりに歩いていると、警備員さんが「奥にいますのでどうぞご覧ください」と客に呼び掛けている。
え、何が?何がいるの?
ちょっと待って!? あれパンダじゃね!?
柵の向こうに完全に熟睡中で尻しか見えないパンダらしき動物がいる。
まさかパンダを見られるなどとは夢にも思わなかった私と夫は慌てた。トイレの出口がパラレルワールドにつながっていて、並ばずにパンダの列に紛れ込んでしまったのだろうか!?
急いで通り過ぎようとするともう1頭のパンダがピクリとも動かずに横になっている。もしかしたらぬいぐるみなのかもしれないという疑惑がチラつきながらも、パンダ見れちゃったよ……ごめん、並んでた人ごめん……となる私と夫。
「楽しかったなあ」と満足げな夫とともに動物園を後にする。
夫はお出かけを渋るわりには人一倍お出かけを楽しんじゃうタイプである。
ありがとう上野動物園。
またいつか上野動物園。
ゴリラたちが、そしてすべての動物たちが幸せに暮らせることを祈りつつ。