マガジンのカバー画像

創作怪談

9
ここで語られる怪談は、全て創作ですのであしからず。
運営しているクリエイター

#怖い話

創作怪談 「絆の理由」

 これは、とあるアパレルショップで働いている立花さんという女性から聞かせて貰った話。立花さんが働いているお店では、呪いの試着室と呼ばれる試着室があるそうです。呪いの試着室は、普通に売り場の中に設置されており、お客さんは何も知らずにその試着室を使用しているとの事。どういう事か聞いてみると、話は立花さんがまだ新人だった頃の7年前に遡る。

 かつてこのショップで働いていた女性スタッフが、閉店後の店内で

もっとみる

創作怪談 「夜のドライブ」

 これは、上田さんという男性から聞かせて貰った話。上田さんは1人でドライブに行くのが趣味なんだそうです。特に目的地は決めず、気の赴くまま車を走らせる。たまたま見かけた店に入ってご飯を食べ、公園を見つけると軽く散歩しつつ休憩する。そんな休日のドライブが楽しみの1つだった。

 これは、2023年の10月の話。繁忙期も終わり、仕事も落ち着いてきたため、3日続けて有給を取ることにした。有給の初日に早速ド

もっとみる

創作怪談 「悪魔除け」

 これは、原口さんという40代の男性から聞かせてもらった話。原口さんは、若い頃はヤンチャをしていたそうで、悪い付き合いが多かった。しかし、そんな原口さんにも守りたい女性が出来て、結婚後は悪い付き合いを断ち切る様に地方へ移り住んだそうです。地方と言ってもど田舎という訳ではなく、街の中心部はそれなりに栄えていて生活に不便は無かった。結婚して3年後には子宝にも恵まれ、充実した日々を過ごしていた。

 原

もっとみる

創作怪談 「電気のついた台所」

 これは、生垣さんという男性から聞かせて貰った話。生垣さんは、40歳になった現在も実家暮らしをしており、地元の居酒屋で働いているそうです。いつも帰宅時間は午前2時頃。車の通りもほぼなく、明かりも少ない。町は静まり返っている。そんな中を1人歩いて帰るのが好きなんだそうです。

 これは、8年前の6月。仕事を終え、いつもの帰り道を歩く。時間は、午前1時30分頃だった。住宅街に入ると違和感を覚えた。いつ

もっとみる

創作怪談 「フケはらい」

 これは、不動産会社に勤めている横田さんという男性の話。横田さんにはかつて霊感があったと言う。これは生まれ持った物ではないらしい。本人いわく「うつされた」らしい。

 話は、横田さんが高校生だった12年前に遡る。高校時代の横田さんは、部活には所属せず、週4でコンビニのアルバイトをしていたそうです。複合ビルの中にあるコンビニだったため、お客さんが少ない日は無い。横田さんがシフトに入っていた18時から

もっとみる

創作怪談 「永遠の兄」

 これは、藤田さんという男性から聞かせて貰った話。

 この話の主人公は藤田さんのお兄さんだ。藤田さんのお兄さんは、ある時からオカルト本をよく読むようになったという。特に“死後の世界”をテーマにした本を熟読していたそうです。そんなお兄さんだが、オカルトが好きな訳でもなく、死後の世界を信じていた訳でもない。むしろ、オカルトや心霊の類いは毛嫌いしていたという。藤田さんの家族も、お兄さんのオカルト嫌いを

もっとみる

創作怪談 「七夕」

 七夕の日、短冊に願いを書いた。

『霊感を手に入れて、死んだ爺ちゃんに会いたい』
笹に飾ろうとした瞬間
「心配しなくても見守ってるぞ」
耳元で声が聞こえた。辺りを見回しても誰も居なかった。

 それ以来、毎年七夕の日には、短冊にあの時と同じ事を書く様になった。
「心配しなくても見守ってるぞ」
あの声を聞く為に。爺ちゃんが近くに居る事を確認する為に。
 

創作怪談 「日めくりカレンダー」

創作怪談 「日めくりカレンダー」

「俺、ソウルメイトの弟になったんだ」

 友人の山本君はそんな不思議な事を言って来ました。

 彼には、2ヶ月前に知り合ったばかりの同い年の青井さんという友人が居るそうです。山本君がバーで1人で飲んでいると、青井さんが話し掛けて来て、それが切っ掛けで仲良くなった。山本君は元々人付き合いが苦手で、人との距離を縮めるのに凄く時間がかかる。私も、彼から“友達認定”して貰うまで相当時間が掛かりました。しか

もっとみる