La torta di limone (レモンのケーキ)
昨日は子供の一歳半記念だったので、レモンのケーキを焼いた。最近What'sappを始めた母にその写真を送ったら
「いつもそういうもの作ってるけど旦那さん太らない?」
というメールが返ってきた。孫への祝福の言葉も無かったことに加え、私のケーキの出来栄えに関する反応がそれのみでやはりちょっと嫌な気持ちになった。
やはり、というのはこれは彼女のお決まりの反応パターンなのである。安直な言葉で言ってしまえば、彼女は少し変なのである。私は表現の使い方が違うことを重々承知で、これを「たかが外れた言い草」と表現したい。
例えば、小学生の頃母の日に、母親にバレないように綺麗な和紙を文房具屋で買って(小学生が親にばれずに一人でお金を使うことは、今は知らないけど、私の子どもの時はとても苦労した)当時の私としては大作の小物入れを作ってプレゼントした。すると彼女は御礼も賞賛の言葉も言わずしばらく黙って
「お煎餅入れにでも使おうかね」とまるでおばあさんのように言ったのだ。私はてっきり「綺麗ねーありがとう」と言ってイヤリングでも入れて使ってくれると期待していたので実は大変なショックだった。それに子供ながら、”常識的にそこは喜ぶでしょー”って心の中で突っ込んでいた、大人になってからこの出来事を客観的にみれるようになった今も、そこは自分にとって例え実用的なものでなくても「嬉しい」ということを表現するのが普通だ、と思った。ましてや子供からのプレゼントなんだから。そういう親としての配慮、思いやり、常識、妥協、遠慮が母には一切無い。
大学生の時バイトで貯めたお金で、やはり母の日に何か高価なものを買ってあげたこともあるが、それもまた御礼も一言も言わずに
「こんなお金の無駄遣いして」と呆れ顔をし一蹴された。
私はこのような出来事に対して自分が傷ついたとは言いたくない。こういうことの繰り返しが私に何をもたらしたか、あるいはもたらさなかったか、自分では分析できない。しかし、もし私が子どもに同じことをしたら、と想像すると、恐ろしく見える。その積み重ねは確実に子供の性格形成に影響するように見えるし、私も罪悪感を感じる。私はそんなこと絶対にしないと誓うのだけれど、しかし私も彼女の娘である、もし無意識にそういうことを言い始めるかもと思うと鳥肌が立つ。(母親もたまに死んだ祖母が乗り移っているような時があった)
旦那の家族がイタリア人で良かったと思うことの一つに、彼らはとても褒め上手だということ。すぐSei un genio!(貴方天才じゃない?) Bravissimo!(Bravoの最上級。もう最上級出し惜しみしない)と何に関してもいうから、逆に特別感なくなっちゃうんだけど、それでも母のようなネガティブ思考よりかは、こちらの方が断然いい。イタリアで教育したいと思う理由の一つでもある。
今年の母の日が今日だということをすっかり忘れていた。この連日家の中に籠っている生活で花屋も通ってないし、テレビも無いと来たら、曜日感覚はかろうじてあっても数多ある日本の祝日は全て思い出せない。
「今日が母の日だって忘れてたよ。今度何か送ります」と母にメールしたら
「私は何も要りません。お金を無駄に使わないように」と返ってきた。やっぱりこのお決まりの文句。もう何も感じない。
しかしその後に
「みんなが元気ならそれで充分」と追加のメッセージが届いた。
※レシピ
<La torta di limone(レモンケーキ)> Siciliana
ー材料ー (直径30cm型)
●生地
薄力粉 300g, 卵 4個、砂糖 200g、レモン2個、オレンジ2個、牛乳 大さじ1杯、ベーキングパウダー 小さじ3杯
●クリーム
レモン果汁 200g(2−3個)、砂糖150g、牛乳 100g、片栗粉 大さじ4杯
1. クリームの材料は全部小鍋の中で混ぜて、鍋に火をかけながらクリーム状になるまで混ぜる。
2. レモンとオレンジの果汁を絞り、レモンの皮は好きな形(ハートやアーチ など)にむき、オレンジの皮は擦る。
3.生地作り。卵と砂糖を白っぽくなるまで泡立て器で混ぜ、果汁と擦った皮、牛乳を混ぜる。その後ヘラで薄力粉とベーキングパウダーを丁寧に混ぜる
4.200度で30分、180度で15分焼く
5.生地の真ん中を切って2段にし、中にクリームを塗って、残りを生地の上から全体にかける。
6.レモンの葉っぱや皮で表面を飾って出来上がり。
子供によってはちょっと苦かったり、好きだったり。うちの子はレモン味大好き。こんな暑い日には爽やか。