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うつ病による休職者の復職支援について : 双極性障害を見逃さないために(押さえておきたい!心身医学の臨床の知34)

近年うつ病を始めとした精神疾患による休職者数の増加が大きな問題となっている。

厚生労働省が実施した平成19年の労働者健康状態調査によると、過去一年間でメンタルヘルスの理由によって連続一か月以上休業、もしくは退職した労働者がいる事業者の割合は7.6パーセントとしている。
また、公立学校の教員の場合に限れば、平成21年度のデータによると、精神疾患による休職者数は5458人で全在職者数の0.6パーセントにのぼり、病気休職者全体の63.3パーセントを占め、全体数割合ともに増加傾向が続いている。

精神疾患による休職者の疾患別割合として、うつ病が他の統合失調症やアルコール依存症などの精神疾患に比べて最も多く、2004年で精神疾患による休職者数のうちうつ病疾患が60パーセントを占めている。
また、多くの精神疾患における休職者数の割合はさほど変化がない一方で、うつ病による休職者数は2000年から5倍もの増加を見せている。
このような実態があるということは、精神疾患の中でも特にうつ病による休職者数への対策が産業精神保健分野における大きな課題となっている。

この背景を踏まえた上で、うつ病による休職者に対する復興支援の実際と今後の課題について説明をしている。

近年はうつ病を理由とした休職者の職場復帰に向けたリワークプログラムや集団認知行動療法などの様々な取り組みが広がりつつある段階で、現段階では医療機関や全国の地域障害者職業センターなどでも行われている。
ここで重要になってくるのが「難治性うつ」であり、これはリワークプログラムや集団認知行動療法などを経て職場復帰が可能になったとしても、再発・再休職を繰り返すことである。
今回の論文ではこの難治性うつの特徴を5点あげた上で、そのなかでも双極性障害の患者に対して特化したプログラムが必要だと主張している。双極性障害の患者は少しでもうつ状態の改善の兆しが見えると、必要以上に無理をして軽躁状態に転じて過活動となり、無意識のうちに疲労がたまることで再びうつ状態が再熱してしまうという悪循環を繰り返す特徴がある。
このように、双極性障害は大きくわけるとうつ病ではあるが、症状を理解すると大きく違っていることがわかる。そのため現在既存するうつ病患者に対するリワークプログラムだけでは不十分であり、双極性障害に対する適切なプログラムを新たに作る必要性がある。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/51/11/51_KJ00007562916/_pdf/-char/ja

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ニュートン
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