認知症の土地持ち貧乏と相続@弁護士
土地持ち貧乏とは、文字通り、土地だけはたくさんあるけど現金はない人のことを言う。
土地持ち貧乏の人が亡くなり、相続が発生した場合、財産を相続した被相続人には、多額の相続税を支払うことになる。すなわち、その一家としては、相続で資産を失うことになる。
土地持ち貧乏の人が亡くなった場合、節税の余地はあまりない。土地の評価を下げることや特例を使って納税を少なくすることくらいになるだろう。そこで、生前のうちに、少しずつ相続税対策を行うことが必要になる。
しかし、土地持ち貧乏が、高齢で、既に認知症になっていた場合には、悲惨である。不動産を売るにも、現金を贈与するにも、お金を引き出すにも、本人の意思能力が必要になるが、これがないのである。すなわち、意思能力のない状態で締結した賃貸事業の請負契約や融資契約は全て無効になる。
土地持ち貧乏で、認知症を煩っている場合は、相続税対策の道がほぼ断たれてしまうのである。
したがって、①親が土地はたくさん持っているが、②現金がない、③親が高齢になってきている家庭では、早急に、生前対策はした方が良いだろう。
具体的には、まず資産を全てを洗い出し、資産表を作成して、近場の税理士及び弁護士に相談し、相続が発生した場合の相続税を試算してもらうと良いだろう。そうすれば、将来、負うことになる相続税を把握することができ、かかる相続税の節税対策を、税理士及び弁護士に依頼することで、生前対策を行うことができる。
日々業務をし、相続事案等を処理しているが、つくづく、人は、自分の資産を他人に教えたがらない傾向にあると感じる。
しかし、将来の相続税対策という観点からは、勇気をもって専門家に相談すれば、好転することは間違いないと言える。