見出し画像

【柳井 正×佐藤可士和 対談】世界一を目指すユニクロのクリエイティブの裏側

⭐️ユニクロの快進撃の裏にはこんな
ストーリーがありました。

(Yahoo newsより貴重な対談をシェア)

ニューヨークにユニクロが世界初のグロ
ーバル旗艦店をオープンしたのは2006年。
そこからの快進撃の陰には、最初に出会
ってから15年間毎週早朝から始まる、ふ
たりのOne to Oneの時間があった。

「可士和さん、ユニクロの世界戦略をやってもらえませんか?」

初対面でファーストリテイリング代表取締
役会長兼社長の柳井正氏が発した言葉がす
べての始まりだったーー。
柳井:そもそも僕はクリエイターという職業
を信用していないんです。
名乗っている人の95%にはクリエイトする力
がない。
つまり自分でものがつくれない人が多い。
そんな僕に、ある知人が「佐藤可士和という
クリエイターがいるので、ぜひ会ってみてく
れ」と言ってきた。
でも僕はずっと断っていたんです。
そうしたら、その人が「NHKの『プロフ
ェッショナル 仕事の流儀』という番組
で、可士和さんが取り上げられるから
見てくれ」と重ねて言うもんで、じゃあ
と見たところ「おお、これはすごい」と。
佐藤:放送されてすぐにアポイント
の連絡をいただきましたね。
番組の放送が2006年の1月31日で、
顔合わせが実現したのが、忘れも
しない2月17日。
あの柳井さんが、わざわざ西麻布
(当時)にある僕のオフィスまで
来てくださいました。
僕は、声には出しませんでしたが
「わ! 本物の柳井 正だ!」という驚き
でした(笑)。
柳井:今はどういうものをつくって
いるんですか? と聞いたら、ドコモ
の携帯電話「FOMA N702iD」を見せ
てくれた。
そのデザインの完成度と(ボタンや
画面に使われる)素晴らしいフォン
トを見た瞬間、可士和さんはクリエ
イターとして本物だと思ったのを覚
えています。
ちょうどその1週間ぐらい前に、ニュ
ーヨークのソーホーに1200坪の物件
を契約したばかりでした。
さあ、誰かいいクリエイターと組んで
、世界最初の旗艦店をオープンさせな
きゃいけないと考えていて。
それを念頭においたうえで会いに行った
んです。
佐藤:正直、柳井さんから会いたいと
いうご連絡をいただいて、嬉しい反面、
戸惑いもありました。
ユニクロの日本国内のコマーシャルを
頼まれるのかなあ。
でも、広告だけでは現状の課題を解決
できないだろう。
いい結果が出せないのではないかと、
ちょっと腰が引けていました。
そうしたらニューヨークのソーホーの
グローバル旗艦店、つくれますか?
じゃあ、ユニクロのグローバルブランド
戦略はやってくれますか? と、
あまりにも予想外のご依頼でした。

ユニクロの世界戦略が、可士和とユニクロの転換期

柳井:可士和さん、あの時わりとすんな
りOKしてくれましたよね。
あとで“しまった!”と思ったはずでしょう
けど(笑)。
佐藤:思い切り悦子(SAMURAIのマネー
ジャーで佐藤の妻)にビックリされまし
たよ。
スケジュールを考えて受けたの? と。
柳井:なにせその年の暮にオープンです
から。あまりにも時間がない。
でも僕はたぶん引き受けてくれるだろう
と思いました。
なぜなら日本代表として、ニューヨーク
に行き、ユニクロ初の世界最大店舗をつ
くるって、クリエイターとしたらなかな
かないチャンスですよね。
でも実際はどう思いました?
佐藤:いやあ、まず僕の手がけた携帯電
話を見て、世界戦略のクリエイティブデ
ィレクションをご依頼くださったことに
痺れましたよ。
ソーホーの話を聞いて「すごいですね、
ユニクロはそんなことやるんですか?
いいと思います。やりましょう!」と言っ
たら「オープンは年内です」と(笑)。
しかも柳井さん、携帯電話を持たない方
なのに、その場でFOMAの赤のモデルを
「これ、買いますから」と購入手配をし
て帰っていきましたよね。
柳井:いまだに携帯は持ちません。
だからコレクションとして買いました。
今、可士和さんのサインを入れてオーク
ションに出したら高値がつくかな(笑)。
実際に可士和さんとの仕事がスタートし
て思ったのが、可士和さんは整理ができ
る人だということ。
このブランドの強みは何か、弱みは何か。
世界でポジションを取るためには、何を
やったらいいのかということを、きっち
り整理してくれる。クリエイターは、こ
ういう風に理解力がある人じゃないと
ダメ。
そしてクリエイター自身にも、いいクラ
イアントが必要です。
なぜならクライアントがいろんな質問を
して、それに答える。
その切磋琢磨のなかでいい仕事が生まれ
てくるのですから。
自分で言うのもなんですが、可士和さん
とユニクロは、いいクリエイターとクラ
イアントであったのではないかなと思う
んです。そしてユニクロの世界戦略が、
可士和さんとユニクロの転換期でもあっ
たと思います。
佐藤:仕事を始めるタイミング自体が奇
跡でした。
テレビ番組が放送され、その後お会いし
て仕事が始まり、ニューヨークのお店が
オープン。
柳井さんとお会いするのが1ヵ月でも遅
かったら絶対に無理な仕事でした。
柳井:オープンが間に合ったのも奇跡で
すよね。最後まで工事をやっていたから、
みんな埃(ほこり)まみれでした(笑)。
佐藤:お店がオープンする3秒前まで、棚
にセーターを並べていましたからね。
その時からもう15年経ちましたか。
柳井:そうですね。可士和さんは俯瞰す
る目と、細部に入っていく目と手を持っ
ている人であり、クリエイティブディレ
クターのなかでも、美大を出ていてアー
トディレクター出身なので、カッコいい
ことが好きですよね。
我々のビジネスは、ある意味どちらがカ
ッコいいか、その競争です。
人が服を着ることには、その人自身を表
現する意味もあるから、服のポジション
はとても大切。我々のブランディングは
服のポジションを確立するという作業です。
佐藤:そういったことを考えるために、
柳井さんとは15年間欠かさず、毎週早朝
から始まる30分のOne to Oneのミーティ
ングを重ねてきました。
そこからUT、ビックロ、ユニクロパーク
などのアイデアが山のように生まれた。
また対話を通してわかったのは、柳井さ
んは「服とは何か」という本質をものす
ごく深いレベルで考え続けていること。
そして、社会に対してユニクロは何をす
るべきなのかを経営者として考える姿勢。
そういうことを、むしろこちらが15年間
勉強させてもらっている気持ちです。
柳井:そう言ってくれるのなら、僕も可
士和さんからクライアント料をもらいた
いぐらい(笑)。
佐藤:お支払いします(笑)。

柳井 正氏は新たな一面を引き出す名手

柳井:そもそも経営とクリエイティブは
一緒じゃないとダメ。僕もクリエイティ
ブとは何かを、可士和さんから勉強させ
てもらっていますよ。
考えてみたら、マネジメントとクリエイ
ティブは同じようなものですよね。
佐藤:確かにそうですね。僕は何度も柳
井さんが大きな判断をされるところを横
で見せていただいたし、進んでいた案件
を「いや、こっちのほうがいい」のひと
言で大胆に方向変換させるのも見せてい
ただいた。
でもそこには必ずブレがなく、ダイナミ
ックで、スピーディー。
そして何よりよい結果が出るんです。
柳井さんに言われて特に印象的だったの
が、’07年11月のロンドン店オープニング
の時のことです。
いきなり「今までは全部デザインしても
らっていたけど、明日から自分で手を動
かすのはいっさいやめてください」って
言われて。
それまで2年間くらいは、ロゴをはじめ、
フォントのデザインからパッケージ、
紙袋、レシート等のアプリケーション、
そして立ち上げの広告キャンペーンまで
、ほとんどの部分をSAMURAIでデザイン
していました。
柳井:ふふふ。
佐藤:「もっと本格的にプロデュースし
てもらわないと、業務量が爆発的に増え
るから」と。確かにそれはそうだけど、
少しは僕がデザインしたほうがいいんじ
ゃないですか? と言ったら「ダメ」って。
柳井:あはは。
佐藤:なんでですか? と聞いたら「触る
と目が鈍るから」と。
正直、うまく人をプロデュースして柳井
さんが納得できるクオリティまで持って
いけるか自信がなかったんですが、やっ
たら意外と向いていて。
実際、自分が触らないとものすごくドラ
イに判断できることがわかったんです。
これ、僕が柳井さんに引きだしてもらっ
た新たな一面でした。
「ダメ」っていう言葉で(笑)。
柳井:僕と可士和さんが組んだら、今は
世界中の才能が使える。
「うちと組んで何かやりませんか?」と
聞いたら、ほとんどの人や会社は応えて
くれるはず。
もちろん、僕自身は相手にもウィンにな
る提案しかしませんし、一緒に仕事をし
たらウィンウィンの関係になれる相手に
しか声はかけないと思います。
佐藤:柳井さんの提案はいつもすごくは
っきりしていますよね。
うちはこうしたいし、あなたのところは
こうなる。
本当にシンプルだから、お互いのウィン
ウィンがわかります。
そして柳井さんは口にしたことを確実に
実行されていく。
ニューヨークにグローバル旗艦店をオー
プンするところからお手伝いし、ロンド
ン、パリ、上海、そして東京に戻す。
世界中の一番いい所に店をつくるのを5
年ぐらいかけてやるから、しばらくやっ
てくださいと言われ、そのとおりに
なった。
最初にお会いした時から「世界一を目指
す」とおっしゃっていて、ついに最近そ
れが見えてきて、僕は本当にすごいなと
思っています。
柳井:売上も4000億円だったのが、今や
約2兆円になったからね。
でもコロナがきたから、2020年はマイナ
スです。
一方、世界がリセットされるなかで、
ファーストリテイリングの会社の仕組み
や服に対する考え方、店、全部いいポジ
ションにきていると思っています。
積み重ねてきたものがようやく理解され、
皆さん原点に戻り「自分の生活とは何か」
「会社で仕事をする意味とは何か」など
、いろいろなことを考えると思います。
コロナと共存し、対峙しながら生きて
いく。
僕もどういう世界に向かうのかと考えて
います。
佐藤:今、ユニクロが掲げている“Life
Wear”という概念も、5年くらい柳井さん
と話し合いながらまとめましたね。
「ユニクロはファッションじゃない、
スポーツじゃない、ただのカジュアルウ
ェアじゃないんです」とおっしゃるから
「じゃあ、なんですか?」
「だからそれを可士和さんが考えるんで
すよ」と(笑)。
「例えばなんですか?」
「だから可士和さんが考えるんですよ」
と、その繰り返し。
柳井:あはは。
佐藤:まるで禅問答ですよ。
でも答えが出ないことを延々考え続けて
いれば出るということも経験できました。
柳井:ひとつの言葉で伝えられない限り、
人の記憶には残りません。
我々が“LifeWear”という言葉をつくったこ
とで、それがユニクロのブランド哲学とし
て、あらゆる形で表現していけるようになった。
佐藤:そうですね。概念に言葉という形
を与えることで、初めてコミュニケーシ
ョンが可能になり、“LifeWear”というビ
ジョンを構築していこうと方針が定まりました。


ビジネスにおいて、行動力&直感力は
とても大事ですね!
メルカリでも、ユニクロの商品は人気
があるそうです。

ユニクロが飛躍し続けているのは、
互いにリスペクトしあえる強力なビジネス
パートナーと出会えたからなんですね?

(私も沢山の人たちを「色で幸せ&笑顔」に
なって頂くためにこんなビジネスパートナ
ーに出会いたいです♪)

最後までお読み下さりありがとうございました。 内容が気に入って頂けましたら、サポートをお願いします♪ 頂いたサポートは、今後も書き続けていく意欲&新たな活動費、加えて他のnote仲間たちの素敵な記事購入費とさせて頂きます♪