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詩)しばらくぶり 

98歳の義母を抱えている20年来の友人から「お互いの生存確認しよう」とメールがきた
一年ぶりのメール 台風接近で何回か予定が変わって結局銀座で会うことになった
会ってそうそうお腹出たねと言われたけど 僕が痩せてのはもうかなり前だよとかそんなことから会話が始まり 有楽町の銀座珈琲店銀座数寄屋店で分厚いタマゴの銀座オムレツサンドと銀座ナポリタンを頼んで まさか義母がこんなに長生きするとは思わなかったのよ というリアルから 僕もまあ まだ初心者だけど主夫してますよと87歳の母とのことを話し それにしても記憶力いいのよね なんでもよく見てて これはどうなってるの?って聞いて来るのよって彼女が言うので うちの母も記憶力いいよ よくあんな細かいことをと思うこととかよく覚えているよと言い そんなこんなで タマゴのいっぱい詰まったオムレツサンドを食べきれないからと一個もらい お互いの今を話した 彼女は夫とはだんだん話が合わなくなると言う だんだんということがなかなかしんどいと わたしね夫よりは長生きして死後離婚するの あっちの家とは縁を切って お墓も向こうの家の墓には入らない そういう話題になり 死後離婚って夫とは離婚しないんだよねとか しばらくこのことでお互いのことを話した

話したあと映画を見て 少しブラブラして 居酒屋で少しだけ飲んで別れた 楽しかったね 
また会おうね 
そう言って

また しばらく会えないとお互い思っていた
しばらくとはどのくらいだろう
しばらくで そのまま会わない 
記憶の端に いつもあるんだけれど
言えない思いは最後まで 
そのままにして

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高細玄一(げん)
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します