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詩)わたしの空洞

深さを知る
暗い空
うたを歌えない苦しみ
血をはく空洞

わたしなんて
嫌われ者でございます
こうあるのか こうありたいのか
そんな自分がもう一人いて

真夜中
わたしはひとり
怯えて
すべり堕ちる

わたしはわたしを知っている
なにものでもなく
なにかになることもなく
ほんとうはただ 静かに在りたい

批評も美しいほめことばも
暗喩も比喩も
意味も無貴味さえも
何も要らない

わたしは漂流し
何処にも辿り着かず
跳ぶこともなく
ただ眠り続ける

空洞のなかで
歌唄いが歌う
一本のろうそくの下
詩は響き始める

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高細玄一(げん)
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します