業績悪化を捉えた際の対応
■業態悪化を捉えた際の対応
□予想損失額の算出
貸出金等の与信額と、担保等の保全額を把握する。
与信額から保全額(=担保等の時価評価額から先順位債権額を差し引いた額)を差し引いた額が、予想損失額となる。
予想損失額=与信額-保全額
保全額=担保等の時価評価額-先順位債権額
□保全強化
予想損失額の算出に基づき、融資先の状況に応じて、保全強化を図る。
前提として、業態悪化時の保全強化については融資先の協力が得られにくいこともあり、融資実行時に十分な保全がなされていることが重要となる。
□追加担保の取得
新規物件の差入れや既存担保の極度額の増額を図る。
□保証協会の利用
新規借入に対しては、保証協会の保証制度を活用する。
※新規貸出は保証協会保証付で取り扱えるが、既存貸出に対して、後から保証協会の保証を付けることはできない。
□手形割引の条件変更
割引手形の振出人を優良先に限定する。
□返済条件の変更
一括返済の貸出しに約定返済条件を付ける等の措置によって、貸出金の早期回収を図る。他の金融機関に先んじた折衝が必要となる。
※約定返済とは、本来は契約時点で取り決める返済予定のことだが、借入期間の途中に一部返済しなければならない条件のことも約定返済という。
□融資方法の変更
無担保の手形貸付や証書貸付がある場合、手形割引へのシフトを図る。
□約定書の点検
約定書に不備があった場合、融資先が倒産しても、金融機関は債権者としての権利を主張できず、返済を受けられなくなるおそれがある。
そこで、再度、取引約定書や各種担保差入証を点検し書類の受入れ漏れや印鑑相違、内容の不備等がないことを確認する必要あり。
□手形の形式点検
割引手形や商業手形担保について、振出日や裏書の連続等の要件を点検する。
□担保外関連資産の調査
融資先、代表者、保証人、関連会社名義の、担保として取得していない次のような資産について調査する。
売却処分、換金等による現金化が期待できるものがあれば、売却処分、換金等による返済を交渉する。
※具体的には、預金、債券、株式、不動産、差入保証金、売掛債権、商品、設備、ゴルフ会員権など
【参考書籍】
「融資業務超入門第2版」https://a.r10.to/hkBgaq
「融資業務180基礎知識第3版」https://a.r10.to/hDDin9
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