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ファッション事情 in San Francisco
サンフランシスコのファッションって想像つきますか?アメリカの中ではそこそこ都会だし、西海岸で明るいイメージですよね?2年前、渡米するまで、私もそう思っていました。
でもサンフランシスコに私が思っているような(都会的な)ファッションはありませんでした。ガーン。
長く住んでる方から聞いた話では、70年代後半までは サンフランシスコはイケてたと。青い空と豊かな自然、刺激し合えるほどの人口密度(自然豊かな風土は他の州も同じだけど、人口密度が低ければ、お隣の人にもなかなか会わず、何を着ていても関係ないから、だって!)で、60年代中盤から世界的に流行したヒッピーファッションの中心地だったと過言ではない!と。
しかーし、今現在、サンフランシスコの市井はファッショナブルでは全くありません。モードは見当たりません。なぜなんだろう?(最初に言っておくと、私が住んでいる地域はラティーノ色が強めな地域で、チャイニーズもそこそこ多いです)
2年住んで何となくわかってきた理由を私なりに整理してみました。
①気候が良すぎる。
サンフランシコの良いところとして、一番に挙げられる特徴。ほとんど雨も降らなくて、大体10℃から20℃の気温。湿気を感じることもなく、大体晴れ。すごく寒くもなく、すごく暑い日は年に3日程度。なので部屋には冷房はデフォルト無しです。これが服装に与える影響とは、
一年中同じ格好ができる!
長袖Tと適当なボトム。これに上着があれば ほぼ大丈夫。ただ昼夜の気温差が激しく、夏でもかなり冷えることがあるので、8月でも薄いダウンを着てる人がかなりいます!同じ夏の日でも冬の日でも個人の感じ方によって、ダウンの人もTシャツの人もいるんです。
これがパリならば、昼夜の気温差がスカーフ一枚で事足りるくらいのものなので、巻物が上手くなる!と言う利点が生まれますが、サンフランシスコは夏でも容赦ない寒さが襲ってくるので巻物くらいでは間に合いません(ニュアンスやアレンジが生まれない)。
②車社会。
ほとんどの人が車を持ち、車で行動するので、外出先が自宅の延長になりがち。
私が通う語学学校に、明らかにパジャマで通う生徒がいます。パイル生地で、大きなチェックのセットアップ(笑)違う日には、膝の形に10センチは伸びたスウェットパンツ(明らかに部屋着)トップスは食べこぼしのついたカットソー。二度見どころか、授業中ずっと見てしまいました。
③自分肯定感が強い。
多様な人種、移民が多い土地柄もあり、一定の基準が生まれにくく、幼い頃から個性を伸ばす教育を受けているせいか、
自分は自分、思っていることははっきり言う、と言う姿勢が強く見られます。
授業の合間に長年アメリカに住んでいるメキシカンとお茶をしていていました。南米ではブラジル人がモデルになる人が多い、といった話題でした。するとメキシカンの一人がいきなり立ち上がり、
I like my body!私は私の身体が好きです。
と宣言。私たちは呆気にとられましたが、彼女はかなりボリュームがあるタイプだったので、多分、頭の中で、
スーパーモデルは素敵→だけど自分とは体型が違う→自分を否定されるかも→ううん、自分は自分、みんなそれぞれが素敵なはず
と秒速で考えた後の宣言だったと思います。ファッションのために体型をどうかしようという気持ちより 自分を中心に、自分を上手く活かそうとする考え方が主流です。なので 他人の嗜好に流されず。着心地の良い、自分の体型に楽な洋服を選びがちです。
④ナチュラル、カジュアルが定番、みんな自然派。
食も手をかけた食事より、オーガニックでナチュラルなものが好まれるサンフランシスコ。服装もナチュラルなもの、カジュアルなものがとても多いです。トップスやワンピースなどはコットンが好まれ、締め付けがなく、緩やかなシルエットが人気。
そして男性にも女性にも圧倒的に多いスタイルが カットソー+レギンス(もしくはストレッチジーンズ)
女性は一年中レギンス、夏も冬もレギンス、もしくはストレッチジーンズ。男性はストレッチジーンズもしくは太めのデニム、着こなしは必ず、腰パン(30年前から流行り続けてるらしい)。
私が観察、考察したこの4つの事に共通していることは、
自分が良ければそれで良い。
日本のようにはっきりとした四季があると(少なくても暦上の四季はある)その時期に合わせたファッションをと、気を使うことがあるでしょう。また、他人の視線も気になるでしょう。ですがサンフランシスコはそれが希薄です。いわゆるセレモニー(結婚式や葬式)のドレスコードもかなり緩いです。クラスメイトはアイロンを持ってない人も多いです。
つまりハレとケがないんですね。季節や外的な条件に寄り添うことより、自分の嗜好や気分を重要視します。それがサンフランシスコの住人が大事にしているナチュラル精神と理解しました。
若いクラスメイトの頬にキラキラと光るものを発見して、それが長い渦巻き状の産毛だと気づいた時の驚き!さすが自然派!!伸ばしっぱなし!
だけど楽を取りすぎるとファッションはどんどん遠ざかってしまいます
暗転
自然派で着飾らないサンフランシスコの方の中にも例外はあります。ファッションに拘っている、なんて言葉では括れない極まった人たち。
近所には男性と女性の侍が住んでいます。普通にバスに乗り、犬の散歩でも見かけます。ある日のスーパーのレジ待ちでは、ほぼ裸で身につけた下着についたタグを何とか内側に押し込めようとしている人(外見は男性)が。明らかに街並みに浮いているのに、誰も気に留めません。だって、ほら、自分は自分、人は人だから!
ファッションに限らず文化が育つには称賛、批判をしてくれる関心がないと厳しいということです。
年を経てくると、何を着て良いかわからないと、以前noteに書きました。対処法として、
定番ものだけを揃える、金髪にする、体を鍛え倒す、などなど連ねました。その一つに加えたいですね。
着る物に迷ったら、サンフランシスコに住む、という選択も。サンフランシスコは何もかもを受け入れてくれます。
ま、つまんないけどね。