予定のない休日にはフォンを引く。
どこかに出かける予定がない休日。こういう時は、目を離せない料理をするのが好きだ。酵母からのパンを焼くのも良いし、季節のジャムや、保存食を作るのも楽しい。その中で私が一番好きなものはフォンを引くことだ。冷凍庫には常にフォンドボーとフォンドヴォライユはストックしている。(今回の投稿は鶏が少しグロいので苦手な人は薄目でお願いします)
フォンを引くのは、時間がかかる作業なので、朝起きた時から準備に入る。今回はフォンドヴォライユ(チキンのフォン)
丸鶏があったので今回は内臓抜いて、丸で引いた。
材料は
鶏、もみじ、首などでも 1、5キロ 手羽先もいいね。
にんじん 1本
セロリ 2本 本当は葉がついてるとこが良い、でも食べちゃった。
玉ねぎ 大一個、家にあるのが大きかった。
ネギの青いとこ2本
ニンニク 一個 横半分に切って包丁で潰しておく。
タイムとローリエ まあ大体で大丈夫。
家の鍋が小さいので、気の毒だが、解剖した。お腹開いて、骨の下の内臓を綺麗に掃除する、黄色い脂肪は極力取る。
玉ねぎは皮を剥いて、横に半分、セロリとネギの青いとことタイムとローリエは凧糸で結んでブーケガルニを作っておく、
沸騰したお湯が入ってる鍋に鶏を入れて、5分ほど茹でる、お湯が白濁したら、茹でこぼし、取れてなかった内臓や脂肪をさらに掃除する。
お湯は全て捨てて、鍋底に、鶏を悪い例えで言うと土葬のように組んで、その上に野菜、ハーブを入れて、水を鍋いっぱいまで注ぐ。
火にかけて強火で90℃まで持っていく。
90℃に到達したら、火を弱め、中火くらいで沸かさないように、できるだけ90℃あたりを保つ。
アクはこまめに取る。ここからひたすらこの状態をキープ。世話をしていく時間。
なんの予定もない休日という中に、実はなんもやりたくない休日が含まれている時がある。出かけたくもない、誰かに会いたいわけでもない、そんな時、私は大抵心に何か問題を抱えている。
こういう時にフォンを引きたくなるのだ。
約10時間、鍋のスープが半分ぐらいになるまで、沸かさずアク取り、丁寧にスープを仕込んでいくと、まず心が落ち着き、無心になってくる。やることがいっぱいあるからねー。心に引っかかっている黒い雲より、目の前のアク取りの方が重要になってくるのが不思議。
良い香りがして来て、無色だったスープの色が少しずつ濃い色に移る。玉ねぎは半透明、にんじんは触ってみると指が入るくらい柔らかい。
目安は10時間、鍋の水位が約半分になったら、丁寧にザルで濾して
輝く黄金色のスープが現れた時には達成感でいっぱい。さあ、これで何を作ろうか、に気持ちは動いている。
考え事で休日を終えるより、とにかく何かに取り組んで思考を停止させる、一度堂々巡りから離れてみる、そして手の込んだフォンが夕方に仕上がっている。
上がったフォンは優しい味なので、なんのベースにも使える。バターチキンカレーやクスクス、キューブのチキンを使うより、ずっと繊細で奥深い味になる。
そしていつもより丁寧な夕飯を作り終える頃には、『今考えなくても良いかな、もう少し頑張ろう』に変わり、明日にコマを進められる。
何にもすることがない休日、なんもしたくない休日、フォンを引けば潮目が変わることもあるよ。
おまけ。冷蔵庫にフォンのストックがある時は玉ねぎの飴色炒めにも近い効果が。