一人暮らしの4年間を振り返って
これは4年前、一人暮らしを始める準備をしていた時のこと。
新居に荷物が少しずつ運ばれてきた。
親と一緒に家電を見に行って買うものを決め、1日にいくつもの家電が届くように配送日を指定した。
私は電気もガスも水道も通っていない家に、暑い中一人で家電の到着を待っていた。
一部屋(1K)しかないこのアパート。新築だから綺麗だが、果たして私はこんなところに住めるのかと、不思議に思った。
引越し業者は使わず、自分でものを揃え、運搬した。
こんなんで生活できるのかと思いつつ始まった一人暮らし。でも、自分が住みたい場所で、やってみたかった一人暮らしをする。期待も大きかった。
最初の一週間、コンビニでご飯を買う生活になってしまい、不安を覚えたのは記憶に新しい。
もうダメなんじゃないか、自炊なんかしないんじゃないかと思った。
でも、とりあえず目玉焼きを作ってみたら楽しくて、そこから自炊を始めた。案外面白いし、できるじゃんと思った。もちろん失敗も沢山した。あれがないこれがないと慌てたこともあった。
最初の頃はクックパッドで調べていろいろ作ってたけど、半年もしないうちにいつも同じものを作るようになっていった。
お弁当を作ってた時期もあった。忙しくなくなれば、また作りたい。
生活はといえば、欲しいものは何でも手に入れた。
20万円分の服を買って帰ったこともあった。
楽器(ベース)を買い、習ってた時期もあった。周辺探索という名目でやった周囲の散歩も、結局最初だけだった。
自転車も買ったけど、ほとんど乗らなかった。
実家に帰ってこいとよく言われたけど、全然帰らなかった。
たまに実家に帰った日には、親から沢山のお土産を持たされてまたアパートに戻った。
誰の目もないから1日寝ててもいい。プレイボールから一球も見逃さず野球中継を見ていてもいい。
髭脱毛も始めた。美容院にも凝った。
名古屋にも旅行した。なかなか親がいると行けない病院も行った。
コロナになった時も、一人で苦しんだ。
時には、涙を流すこともあった。
そして時間の経過とともに、少しずつ、部屋に年季が入っていった。
新築当初の写真を見ると、やはり綺麗だなと思う。
そんなこんなで4年が経過した。
この期間は、周りの目もなく、やりたいことは本当に何でもやっていたのだと思う。
住みたい場所で、やりたいことだけをやってきた。
本当に夢のような4年間だった。
ただ、そんな中でもいつも気がかりだったことがある。「このまま一人で生きていって、死んでいくのではないか」ということだ。
週末は、寝る前に寂しくなった。
片想いも何人にしたか分からない。
いずれも実を結ばず、婚活を始めた。
パーティーにも行った。結婚相談所にも行った。
今、部屋の中には段ボールがぎっしり詰まっている。明日、ついにこの部屋を離れる。一人暮らしを終える。
なんの実感もないし、何ならこれからもずっとここで生活するような感じである。
そして、もう当日は感傷に浸ってはいられず、バタバタしながら部屋を出るのだろう。
残務処理があるため、何回かはこちらに戻るが、もう生活するわけではない。
愛着のある地だが、今後ここで生活することはないだろうと思う。いつだって別れは一瞬なんだ。
ここ4年間の自分に言いたい。
本当の幸せは、その場にあったんだよと。
住みたい場所に住んで、欲しいものは何でも買って、やりたいことは何でもやって。
その時の自分は気がついていなかったんだ。
自分のお金で家賃を払い、光熱費を払う。節分には一人で恵方巻きを買って食べる...。
すべて自分で決めて、自分一人でやる。
こんな幸せない。
今回、結婚が決まって、同時に一人暮らしも終える。
今、本当に身をもって実感している。
自分、この4年間が一番楽しかったんだと。
もう一人暮らし開始当初の名残はほとんどない。初期の頃とはテーブルの場所も変わっている、朝家を出る時間も変わっている...。
そういえば、一人暮らしを始めたのはコロナ流行前だったな。
本当はずっとこっちに住んでいたい。
よく複数でいた方が苦労も半分だともいうが、そんなことはない。一人で何でもやった方が楽に決まってる。
でも、そうもいかなかった。このまま一人では生きていくのは嫌だと思ったんだ。
むしろこれからは苦労は倍になるだろう。
それでも、自分で決めたんだ。
この4年間、とにかく多くの経験をした。
自分はどういう人間なのかも分かってきた。
いろいろなことが詰まったこの期間を生かして、また次のステージに進んで行こうと思う。
いま部屋の中にあるものは、基本的に全て転居先に引き継がれる。
また引き続きよろしくね。
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