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7インチ盤専門店雑記714=備忘録的サブカル近現代史考 019:南京豆売り

ハバナ出身のモイセス・シモンが1927年に作曲とありますから、随分古い曲ですね。1930年頃からザビア・クガ―トやペレス・プラードなど、いろいろなアーティストが演奏して43年にはミリオンセラーになったとか。日本ではザ・ピーナッツが最初かと思いきや、戦前からエノケン喜劇などで歌われていたと言いますから、随分昔から親しまれた曲なんですね。キューバのソンというラテン音楽の一つで、サルサの原型となった音楽がありまして、そのソンの最初の世界的なヒット曲ということです。マンボやチャチャチャもソンが起源なんだとか。

さて、そのザ・ピーナッツの「南京豆売り」は、1959年4月に「可愛い花」でレコード・デビューしたときのB面曲でした。如何せんザ・ピーナッツですから、英語表記が「The Peanuts Vender」というこの曲がテーマソングとして扱われ、初期はテレビ番組等でも歌われたということです。ところが、後年はあまり歌われなくなってしまったんだとか。ヒット曲がいっぱいある人たちですから、しかたないという気もしますが、全曲集CDにも収録されていないんですと。何でなんですかね?嫌いだったのでしょうか。

ザ・ピーナッツは1975年4月に最終公演を行って、その年にお姉さんの伊藤エミさんは沢田研二と結婚しましたが、後に離婚してしまいます。愛知県出身、中日ドラゴンズ・ファン、しかし愛車はプリンス・グロリア・デラックス。トヨタは嫌われましたか…。目の横にほくろのがあるのがエミさん。

…実は備忘録的に書いておりますが、何故かというと、ここのところ何度もお問合せをいただくんですよ。何でなんですかね?昔から「モスラの歌」はあるかというお問い合わせは多かったんです。でもそれだけではなく、ザ・ピーナッツはありますか?と言われます。以前にオークションで手にいれた盤が10枚ほどありまして、状態は悪くないのですが、後期中心、有名曲・人気曲はありませんという回答になります。唯一、デビュー曲「可愛い花」はありますよとなります。これはシドニー・ベシェのカヴァーですね。

正直なところ、私が生まれる直前にデビューしておりますから、子どもの頃によく耳にしたとは思いますが、あまりよく知りません。詳しくありません。でもザ・ヒットパレードやシャボン玉ホリデーによく出ていたのは憶えています。とにかく歌が上手い人たちという印象でした。初期は洋楽カヴァー中心の和製ポップスだったということもよく憶えています。

ここのところ、サブカル近現代史関連で古い音源も聴くようになって、懐かしいなとは思いつつも、好きとか嫌いという感覚も持てないままいたんです。歌は上手いなと思いつつ、日本語的発声の英語が少々気になるし、ちょいと演歌が入っている歌い回しも気になります。でも和声含め、タイミングが合いすぎなほどよく合っています。やはり上手いですね。

デビュー盤(ヘッダー写真の7インチ盤はキング・アンコール・シリーズです)を聴くにつけ、「「可愛い花」より「南京豆売り」の方がいいじゃん」と思うんですよ。…極々個人的な感想ですけど、デビュー時点からもの凄い人気だったということは分かっておりますが、プロダクションとかマネジメントがもっと上手くやっていれば、もっともっと売れたのではないか、などと思ってしまうんですけどね。

キング・クリムゾンの「エピタフ」を歌っていたり、沢田研二が作った曲を歌っていたり、いろいろ面白いので背景を調べたりはするのですが、何だか一貫性がないんですよ。和製ポップス中心に歌っていた時期に「祇園小唄」や「深川くずし」みたいなお座敷小唄系も歌っておりますしね。バタ臭い売り方をしたいのか否かすらよく分からないんです。70年代に入ると「東京の女」(沢田研二作)「大阪の女」「サンフランシスコの女」「リオの女」と続けて「~の女」というタイトルをシングルにしているんですけど、どうも関連なさそうだし、加瀬邦彦の曲を続けて歌っている時期があったり、まあブレまくっておりますな…。EPの組み方もそうなんですけど、取り巻きがよくなかったのかなと、少々気の毒になってしまったりするんです。

あー、ちなみにエノケンの「南京豆売り」の音源もYouTUbeにありましたから、リンクを貼っておきます。インパクトはこちらの方が大きいかもしれませんね。

さらにちなみに、カミサンによると、ザ・ピーナッツといえば「恋のバカンス」なんだそうです。…有名曲ですね。さすがに私も知っておりました。聴いてしまうと、猛烈に記憶野を刺激されてしまい、脳ミソが大変なことになっております。ついでに「恋のフーガ」まで聴いてしまって、もう悶絶しております。

そして、「嗚呼、聴かなければよかった」と思ったのが「ウナ・セラ・ディ東京」でした。…これ大嫌いだったんです。こういうのが嫌いで洋楽の方に行ったようにすら思う曲でした。そんな記憶が一気に蘇ってきてしまいましたよ…。

いやはや、カミさんと一緒にお店で聴いていたのですが、夢中になり過ぎて終バスをのがしてしまいましたよ。…トホホ。

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