7インチ盤専門店雑記473「クリフォード・ブラウン」
最近またクリフォード・ブラウンをよく聴いています。実にスムーズでやたらとタイム感のいい人といった印象のトランぺッターですが、本当に天才だったんでしょうね。ある意味、マイルスよりも上手いなと思っています。スムーズ過ぎて、緊張感がマイルスほどないかもしれませんから、その分聴き流してしまいがちです。同じアルバムを繰り返し聴くことが多いのはその辺が理由でしょうか。
最近よく聴いているのは、「スタディ・イン・ブラウン」、…これはジャズを聴き始めた頃から好きでしたから、一時ジャズにハマった原因の一枚です。そしてヘッダー写真の「モア・スタディ・イン・ブラウン」、1980年代前半に児山紀芳氏が発掘したと言われる未発表音源集ですが、どうしてこれが未発表だったのかと驚かされる良質な録音ばかりです。マックス・ローチとソニー・ロリンズもいい演奏をしているんですけどね。お蔵入りする理由が今もって判りません。
クリフォード・ブラウンは流石にオリジナル盤をアナログで聴こうとすると予算が見合わないのですが、「モア・スタディ・イン・ブラウン」は80年代の盤なので状態もよく、リーズナブルなものが多く出回っておりますから、これだけは買っておきました。「スタディ・イン・ブラウン」はご寄贈いただいた中に入っておりまして、ちょいと売り物というわけには行かないのですが、有り難いことに両方ともアナログで堪能できます。…そしてこんなところで書くわけで、当然ながら良質の録音を楽しめます。
もう一枚、「ストックホルム・スイートニン」というアルバムも最近よく聴いております。アート・ファーマーと二人の名義になっておりますが、その実クインシー・ジョーンズの初期音源としても認知されているようです。これ、1953年のライオネル・ハンプトン楽団のツアー・メンバーによる、お小遣い稼ぎセッションですよね。いろいろなタイトルで世に出ている音源の一つですね。
ただこの盤、笑ってしまうのですが、下手な手書きスタイルのタイトルが間違っているんです。手元にある盤は「Stockholm Sweetin」になっておりますが、ライナーやレーベルなどは「Stockholm Sweetnin'」となっております。
…でも甘くするという意味のスイートニンは「Sweetening」ですよね。クインシー・ジョーンズが書いた曲のタイトル「Stockholm Sweetnin'」が悪いというか、訛みたいなものなんでしょうか…。実はこの単語をウェブで検索すると、この曲関連の情報しか出てきません。さらに画像検索すると、途中で修正したようで、「Stockholm Sweetnin」になっている画像が見つかります。
クインシーの手書き文字を模した題字のつもりだったんですかね…、デザイナーさんがやらかしたんですかね?…ということはこれ初期盤ですかね?…再発のときに間違ったとは思えませんしね。…どうしてこういうの見つけちゃうんだろ。…あ、中身は楽器間のバランスがイマイチですが、トランペットだけはよく聴こえますから問題ありません。歴史的にも一聴の価値はあります。