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7インチ盤専門店雑記702「松下里美」
松下里美さんの「いろんな涙」、大好きな曲でした。歌の上手さも折り紙つきですが、バックの演奏が非常にタイトで洋楽中心の自分でもとりあえず彼女の2nd CD「くもりのち晴れ」は買いましたよ。調べてみたら1990年12月リリースだそうです。もう少し前から名前は目にするようになっておりました。
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1988年デビューとか書かれておりますが、事務所が渡辺美里さんと同じところなのに、初ステージはプリプリのオープニング・アクトですと。期待の新人度合いが伝わります。デビュー曲は「16 - Sixteen」、テレポートTBS6という夕方のニュース番組のテーマソングのタイアップを取り付けます。この時点でまだ16歳の高校生だったわけです。若いのに凄いなぁという印象でしたね。2ndシングル「Myself」も筑紫哲也NEWS23のCM曲に使われていたということですが、この曲は知りませんでした。
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まあ何はともあれ、問題の3rdシングル「いろんな涙」ですよ。勢いもありますし、演奏も上手い、上手い。こりゃ直ぐに大物になるなと思っていたんですけどね。その後あまり名前は目にしませんでした。実は最近ちょっとしたことで、彼女がかつしかFMのパーソナリティをやっていらっしゃることを知り、懐かしさも手伝って、聴いてみたりしております。今は「松下サトミ」と表記するんですね。やっぱりあの声なら、シンガーとしてヒットがどうでも、声のお仕事に就くべきでしょう。まあこの後も、アニメの「ふしぎの海のナディア」のテーマ曲だったり、テレ東さんの「TVチャンピオン」のエンディングとかもやってましたけどね。
時代が時代なんですけどね、1980年代後半って、邦楽で女性ヴォーカルのいいのがいっぱいあったんですよ。Show-Yaとプリンセス・プリンセスはもう別格かもしれませんが、バービー・ボーイズとかパーソンズとかは好きでしたねぇ。小比類巻かほるさんや渡辺美里さんも一部のヒット曲は好きでした。
時代の空気感が猛烈にポジティブだったので、やはり元気になれる曲がウケました。もうポジティブもポジティブ、素顔が見えるアイドルなんかも売れていたかもしれませんが、時流に乗っていた一群がいましたね。中村あゆみさんや白井貴子さんもそのクチかなぁ。イカ天出身のバンドブームと時代が重なることもあって、邦楽の魅力が凄いことになっておりましたかねぇ。…そう、ホンの少し遅れて出てきたのが松下里美さんとか、久宝留理子さん、「天使の休息」の久松史奈さんとか…。あとリンドバーグとか…、聴いたなぁ…。
結局お店で流すBGMとかでもなく、ひたすら懐かしいだけなんですけどね。時代が時代だけにアナログはないと思い込んでいたのですが、この曲の7インチ盤が存在していたんですね。もちろん見本盤です。もうアナログでの一般発売はなかったのではと思います。どういう用途で見本盤がプレスされたかなんですが、プリプリもバービーも今井さんとかも、極少数ながら7インチ盤が存在するんです。当然猛烈なお値段で流通しております。当時では考えられなかった状況ですが、やはり女性ヴォーカルなどはアナログで聴きたいではありませんか。アナログがなければ短冊型8cmCDの世界になるわけですが、その移行期の実にニッチな世界の話題でした。最近8cmCDもものによって高値をつけておりますから、1989年90年というのはコレクター泣かせの時代ということになりますかね。