7インチ盤専門店雑記337「B面の愉悦1:U2「Endless Deep」」
先日「I Will Follow」について書いたとき、ちょいと正確ではなかったなという部分がありまして、アルバム「War」とシングル「New Years Day」がヒットしてからはヒット連発と申しましたが、必ずしも全部売れたわけではありませんよね。「War」からは3枚シングルカットされ、セカンド・シングル「Two Hearts Beat As One」はアイルランドのチャートでは2位まで行きますが、ビルボードでは100位以内にも入りませんでした。サード・シングル「Sunday Bloody Sunday」は意外にもアイルランドでも、英国でも米国でも売れませんでした。ちょいと政治色が濃すぎましたかね。
「Two Hearts〜」はB面がアルバム未収録の「Endless Deep」という曲でして、それだけでも入手する価値はあると思いますけどね。…「New Years Day」のB面「Treasure」もアルバム未収録でしたっけね…。実は「Sunday Bloody Sunday」のB面も「Endless Deep」なんです。こういったアルバム未収録曲が存在するということを探って行くだけでも、B面探索は面白いと思います。まあ、2008年頃の「War」リマスターCDのボーナス盤にはどちらも収録されているんですけどね…。
「Two Hearts~」は1983年3月21日リリースですが、「New Years Day」は同年1月10日リリース、結構売れていたのに2カ月後に次のシングルをリリースしちゃいますかね。これ、お写真でもお分かりのように来日記念盤ということになっておりますが、日本だけの事情ではありません。ワールドワイドにリリースされています。ちょいとそこが不思議だったりします。自分の記憶では、ラジオでも「Sunday Bloody Sunday」の方が人気でよくかかっていたように思うのですが、もう40年前のことですから、記憶もいい加減かもしれません。でもアルバム「War」はアタマ3曲だよなと周囲の人間全員が口を揃えていたことはハッキリ憶えています。一方で「Seconds」や「The Refugee」もシングル向きだったと思いますが、シングル盤に絡んでおりません。U2に関しては意外に妥当な曲をシングル・カットしてくるバンドという認識なんですけどね。アルバム「War」に関しては、どうも違う人間が決めたことのように思えていけません。
まあそんなことをあれこれ考えながら、「Endless Deep」を聴くと、…これがねぇ、「War」のテイストではないんですよ。まずヴォーカルレスですから。強いて言えば、次作「The Unforgettable Fire」や次々作「The Joshua Tree」のプロデューサーの2人、ブライアン・イーノやダニエル・ラノワあたりのテイストなんです。しかも「何だこれ?」と聴くたびに思ってしまうほど高音質の鳴りなんです。どこかプログレ的でもあり、全くニューウェーヴではないなといった印象です。なんでコレ、B面に入れたんですかね?ただのポップなロックバンドじゃないぞと言いたかったんですかね…。
政治的なことも含め、メッセージ色が濃い連中ですから、好き嫌いは割れると思いますが、ディグし甲斐のあるバンドです。