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7インチ盤専門店雑記238「見本盤」

音がいいと言われる見本盤、アナログの世界ではスタンパーのジェネレーションが若いということに一応の価値があるので、リリース時に先行して作られる見本盤=音がいいということになりますな。まあ一応は理解しているつもりです。でも実をいうとあまり好きではない。そもそも貸出し的な無償の配布物ですからね。普通に売られていたものの中でマトが若いものが好ましいという気もしますな。しかもだいたい書き込みがあったり、テープの痕跡があることが多いので、スリーヴの状態はよろしくないですからね。まあ、それでも音のいい盤が必要なとき、見本盤であれば音がいいかもという程度で、重宝してはおりますな。

ざっと探してみたらあるある…

「ビゲスト・パート・オブ・ミー」アンブロージア

まあ、アンブロージアはどのみち音がいいバンドですけど、個人的にはファースト・アルバムがよ過ぎて、そのあとは惰性で聴いていたようなものでしたけど、この辺のヒット曲はさすがにいいなあと思いますね。ここではついついベースを聴いてしまいます。全体的には、なんか甘過ぎる気もしなくはない。そして思うに、バラードは意外にレコード盤の音のよさが判断し難いですね。ノラ・ジョーンズみたいにヴォーカルの鳴りを聴きたければ話しは別ですが、この曲はヴォーカルがどうのというものでもなし、…しかしデヴィッド・パックくん、貫禄出てますな。

「シー・シー・ロック・スター」ビル・ワイマン

ストーンズのベーシストがソロで何をやるかなんてそんなに興味があるものでもないのですが、この曲、80年代初頭のソロに収録され、シングルカットされたものですが、時代の音というか、エレクトロ・ポップのような何とも言えない音なんです。まあこの曲をいい音で聴きたいという欲求が世界中のどこにあるかなんですけどね…。まあ、ご本人曰く「コックニー・フレンチ」という、わざと訛っているようなフランス語で歌っているあたりが面白いので、嫌いではないんですけどね。後のリズム・キングスは大好きなんですけどねぇ、あれみたいなものを求めると肩透かしをくらいます。

「ホーム・タウン」ジョー・ジャクソン

ジョー・ジャクソンのこれなんか、もの凄くいい音で鳴ります。これは見本盤でなくてもいい音で鳴りそうですけどね。この人の場合、ムラはありますが、ものによってもの凄くクオリティの高いことをやっているので、要注意です。これはスルーしてしまうのは勿体ない一曲です。ちなみに、A&M、袋もレーベルも見本盤専用デザインですから、これはこれでいいなという気もします。

「衝撃のファースト・タイム」フォリナー

そして、フォリナーのデビュー・シングル。これは衝撃的ですが、そのまえにこの曲の最大の魅力と考える(アルバム・ヴァージョンの)イントロが収録されていないので、もう音が出てきた瞬間に愕然としてしまいますから、アウト!!大して長い曲じゃないのに、何で編集する必要があるんですかね。

やっぱり、「70年代のものより、80年代の盤は無難にいい音で鳴るなあ」とか「80年代の音ってありますよね」などといったことを考えつつ、「そういえば88年頃になれば見本盤しかないか」と思い、その時期のシングルを探してみたところ、ありましたよ。「Sanyo Heat Beat '89 イメージ・ソング」とか書かれておりますが、誰もが知る大ヒット曲「バッド・メディシン」。嫌というほど聴かされましたね。そう言いたくなるほど、流れてました。

…でも、これ、驚いたことに、見本盤じゃないですね。この時期にレコ屋では絶対に手に入らないだろうから、ファン・クラブの方がオーダーしたか、サンヨーの関係者に配られたものか、…こんなブツが存在するとは。

「バッド・メディシン」ボン・ジョヴィ

あ、もちろん、いい音で鳴りますよ。もう時期的にヘボい音の盤を探す方が難しい頃ですから。…それにしても、時代の音!!ですね。


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