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7インチ盤専門店雑記836「シーズ・ア・レインボー」
21世紀になってからは、某CMの影響でローリング・ストーンズの最も好きな曲が変わってしまいました。他でもない5色のiMacのCMで、ローリング・ストーンズの「シーズ・ア・レインボー」がヘヴィ・ローテーションで流さたからです。子どもの頃から知っていた曲ですが、あのCMで好きであることを気づかされました。iMacがクルクル回っているCMの映像自体は、さほど好きなものでもありませんでしたけどねぇ…。
ニッキー・ホプキンスが弾くあのイントロのピアノ、あの音が凄く好きな音なんですよ。「ストーンズじゃないじゃん」と言われそうですが、ストーンズってキーボードの使い方が上手いですよねぇ。「愚か者の涙」のイントロも好きでした…。
話は逸れますが、1984年にリリースされたアップル・コンピュータの初代マッキントッシュのCMは、リドリー・スコット監督が制作したものでした。ジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984」を引用し、新たな時代の幕開けを感じさせる映像とともに、「On January 24th, Apple Computer will introduce Macintosh. And you'll see why 1984 won't be like "1984."」と謳うわけです。しかもこの年はロサンゼルス・オリンピックの年ですから、妙なアスリート・ライクな女性が登場するわけで、…時代背景を知るからこそ面白いものでもありますが、今となってはちょいと笑える一作だと思います。…でも好きなんですよねぇ、この辺の話題というか、時代の符合のようなものを取り入れた作品やCMとか。
さて、「シーズ・ア・レインボー」ですが1967年12月にリリースされ、ビルボードでは25位まで行った中ヒットです。アルバム「サタニック・マジェスティーズ」収録ですから、思い切りサイケな時代です。そのテイストはオルゴールのようなサウンドを目指したというピアノの音や再生速度を変えたコーラスなどに散見されます。如何にもこの時代の音ですが、アップル・コンピュータはどうしてこの曲にしたんでしょうね…。
意図したものではありませんが、この曲等を録音したのはロンドンのオリンピック・スタジオだったそうで、そういったキーワードが妙なシンクロニシティを感じさせます。ちなみにストリングスの編曲は、後にレッド・ツェッペリンに加入するジョン・ポール・ジョーンズが担当しています。ジミー・ペイジにしろ、ジョン・ポール・ジョーンズにしろ、結構ローリング・ストーンズのレコーディングに関わっていますよね。
さて、この曲の7インチ・シングルですが、日本では人気曲なのか、結構玉数が多い気がします。ただし、56~57年前の盤ですから、状態のいいものは少ないです。妙なリアリティを伴った鳴りで時々聴きたくなる曲なのですが、どうしてもサーフェス・ノイズ多めです。でもそれが時代を感じさせるのか、この曲に合っているような気もしており、都合よくとらえております。B面は「2000光年のかなたに 2000 Light Years From Home」、この曲にとってはノイズ多めは迷惑な話ですね。