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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : 時と場所を選ばず正論を吐く嫌われ者

年末年始のお休みが半分以上過ぎ去ってしまい、片付けたいことがまだまだ山ほどあることに焦りつつ、片付けと称して読みかけの本を読みまくっているわけですが、悲しいかな、妙にイライラしています。クラフト・エヴィング商会の吉田篤弘さんの本は読み進むのが勿体なくなってしまうほど愛おしく、年齢も近いせいか、妙な懐かしさやあるある感を浴びるように味わっております。とにかく4冊読了。あと4冊ほどあるのですが、一旦置いておいて、他の読みかけの本を片付けてしまいました。

とにかく早川書房の2冊にちょいと振り回されてしまいました。まずは山本巧次著「阪堺電車177号の追憶」。この文庫本、表紙絵を2020年4月から6月まで、ジンジャーの壁面を飾っていただいた佐久間真人さんが描いています。夏ごろ一度斜め読みで読んだものの、もう一度読みたいと思い、店には置かず自宅で何度かトライしていたものです。結局12月30日から再度一気に斜め読みし、関西の人の優しさや面倒くささに苦笑いしつつも、「いい本だぁ!」と思ったわけです。

結局のところ、普段から自分自身に対して感じている、「時と場所を選ばず正論を吐く嫌われ者」というキャラが、この本を読んだことで、案外このままでもいいのではないかという自己肯定に繋がってしまい、何となくもやもやとした気分で新年を迎えてしまいました。普段は滅多につけないテレビがついていたのは「孤独のグルメ」をやっていたからですが、いろいろな作業をしながら、テレビを観ながら、結局アタマの中は「時と場所を選ばず正論を吐く嫌われ者」というフレーズに支配されておりました。…今年はこのキャラを前面に出して行こうかな…。

さて、もう一冊。アンナ・シャーマン著「追憶の東京」、これがちょいとあきまへんでした。もの凄い知性、日本文化に対する理解の深さには敬意を表しますとも。その点は本当にもの凄いレベルです。ただし、この人、やさしくない。他人を見る目が全然やさしくないんです。破壊と再生を繰り返してきたこの町が好きというようなことを書いていても、この町の人間はあまりお好きではないようです。

忘れられようとしている歴史、歴史遺構などに関しての聞き取りの中で、歴史と向き合わない現代人に対する非難が随所に出てきますが、はっきり言って、あなたの国の爆撃機が爆弾の雨を降らせた町で語るべきことではない。その点だけは全否定します。異邦人だから見える部分ってあると思うんです。忙しい現代の日本人が忘れている部分、それを指摘してくれるのは結構ですが、どうにもねぇ…、ご飯のお茶碗にお煮つけを盛って、日本食の美味しさを語られているような違和感が拭えません。同じ異邦人の視点でも、早稲田のモラスキー先生の文章には愛がある。だけど、この人の文章にはない。全然滋味豊な紀行文などではない。2021年の1冊目は失敗でした。

結局機嫌を直すような意味合いで、吉田篤弘さんの5冊目、「木挽町月光夜咄」をがつがつ読んでいます。ともあれ、しばらくはこの人の文章で心の棘を抜いて大人しく過ごしたいと思います。ああああ、もう、…猫動画でも観て寝ようかな…。

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