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7インチ盤専門店雑記391「マックス・ローチ」

お客様との話の流れで、マックス・ローチのドラムスが聴きたくて、クリフォード・ブラウンあたりを聴いていたのですが、何だか違うんです。求めていたプレイ・スタイルの音源に出会えないんです。…というか、クリフォード・ブラウンの音源はどうしてもトランペットの音色を追ってしまって、ドラムスに耳が行かないだけみたいな気もしますけどね。

何か他にはなかったかいなと考えて、まず出てきたのがデューク・エリントンの「マネー・ジャングル」、大好きなアルバムです。ミンガスとのトリオですが、これはいいですね。以前にも書きましたが、ビッグバンドのリーダーがやるスモール・コンボでのプレイが面白いんです。楽器の演奏者に徹しているのか、他の楽器とのバランスなどを重視しているのか、などといったことを考えながら聴いていると、また違った楽しみ方ができたりするもので、一時期ハマっておりました。そんな興味本位で聴き始め、大好きになった盤です。

それはさておき、マックス・ローチのプレイですが、やはり「We Insist!」を聴けばいいのでは、ということに落ち着きまして探したところ、「…そうか、売れちゃったっけ!」というやつでして、アカンと思った瞬間、「待てよ、何かヘンなのがあるな…」となりまして、ヘッダー写真の「MAX」と書かれたアルバム、「これも「We Insist!」でしたっけ」となったわけです。そう、これ、「We Insist!」なんです。このジャケットではマックス・ローチの「Freedom Now Suite」というアルバムっぽいですよね。でも「We Insist!」のジャケを見ても、「Freedom Now Suite」という文言は入っているんですよね。

ミニチュア・ジャケットみたいな7インチ盤を見てもお分かりのように、ちゃんと入ってますね。アビー・リンカーンのヴォーカルとブッカー・リトルのトランペットを擁した、人種差別反対の強烈な意思表示レコです。名盤と言いたいところですが、これの価値とか聴き方がよく分かりません。歴史的名盤なのは確かでしょう。でもいいなと思えたことがありません…。この盤を聴くと、理解できない自分が情けなくて、どうにも申し訳なくなってしまいます。まあ、「ブッカー・リトル、うめぇ!」みたいなのはあるんですけどね…。ただこの別ジャケ、人種差別問題を扱った「We Insist!」の中身を表しているとは言えません。オリジナルのジャケの方が圧倒的にいいですよね。「We Insist!」というタイトルすら書いてないのはいかがなものか…。

お客様と話していたのは、マックス・ローチのプレイ・スタイルに関して、「最も早い時期からビバップのスタイルで演奏していたドラマー」と言われる意味が分からないという部分だったのですが、…やっぱり分かりませんね。全然分かりません。…なんでだろー。嗚呼マックス・ローチ、…遠い存在。ただ、もっと古い音源じゃないと意味がないという諦めもありましてねぇ。時期的に微妙なんですよね。

マックス・ローチって、リーダー・アルバムも凄い数録音している凄いドラマーであるということは分かります。1952年にチャールズ・ミンガスと一緒にDebut Recordsを立ち上げて、黒人さんとしては珍しく、早くからレーベル・オーナーになったということで、意識高い系でもあるわけですが、ミンガスの相方ドラマーといえばダニー・リッチモンドなわけで、ミンガスの方から辿ることはできませんし、その辺が後追いで聴いている自分のような素人には謎なんですよ。結局クリフォード・ブラウンあたりで考えるしかないんですよね。

あ、ちなみに、「We Insist!」のミニチュア7インチ盤、中身は「Driva' Man」と「Freedom Day」、すなわちアルバムの冒頭2曲です。

…マイノリティの苦労が理解できないわけではないのですが、まったくもって島国根性が強すぎていけませんね。

ちなみに、「We Insist!」1960年12月の録音でして、自分の生まれた年です。実は1960年録音のレコードは少々拘りを持って聴いておりまして、これもそんな一枚なんです。…分からないなりにも繰り返し聴いて、時代の音として自分の感覚に刷り込んでおります。

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