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7インチ盤専門店雑記903「Walking In Memphis」
えー、シェール姐さんの「Walking In Memphis」が大好きでして、先日のイベントでもご紹介しました。曲も好きならMVもいいですね。諸般の事情からご紹介出来ていない音源がまだまだありまして、イベントも終わりが見えてきたかと思うとその辺が気になってしまいます。要は1990年代の、アナログレコードで聴くことを原則的に諦めている辺りです。
イベントではこの曲の作者、マーク・コーンの紹介も兼ねておりました。元はBlind Boys Of Alabama絡みの音源にあたっていて、このマーク・コーンの唯一のヒット曲と言われる名曲に辿り着きました。1991年リリースのデビュー・アルバムの冒頭を飾る曲です。私と同学年ですから随分遅いデビュー盤です。個人的にはブルースやジャズの沼にハマりまくっていた時期ですから、スルーしておりました。こちらも大好きでしてね。時間が限られるイベントでオリジナルとカヴァーの両方をしっかりかけるのは例外的な扱いです。
どちらもモノクロの映像が印象的な、高く評価すべきMVと思います。当然ながら、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマとの共演音源をはじめとした最近の音源もちょいがけでご紹介しつつ、随分悩みながら準備したトーク内容を展開したわけです。
ただし、今回は引退を宣言したところでやめさせてもらえないような空気感に満ちた中での語りですから、シェールの化け物レベルで衰えに抗う様に触れつつ、年齢を重ねることの意味合いなどを展開しながら語るプレイリストとなっておりました。結局曲の良さに押されてという感じで、あまり具体的には語れませんでしたが特に問題ありますまい。
シェールは女優として大活躍した80年代を経て、1995年にアルバム「It's A Man's World」をリリースしました。「Walking In Memphis」はその冒頭を飾る曲です。声のハリはあるものの高音がキツくなったかという印象のヴォーカルでして、Pro Toolsのお世話になったかという気もします。まあこの時代以降の音源はもうPro Tools抜きで録音するなど考えられないでしょう。…使い方ですね。
そして1998年には、逆手に取ったかのようなヴォーカル・エフェクトがバリバリの「Believe」を大ヒットさせます。シェール・エフェクトとまで呼ばれたものですが、私は快哉を叫ぶとまでは申しませんが、よくぞやってくれたと思いましたね。だって言い方が正しいかどうか分かりませんが、1946年生まれの方ですから、50歳過ぎてますからねぇ…。メイクが凄いことになっているので、「Believe」のMVは評しようもないのですが、「Walking In Memphis」は49歳、少々高音が出なくなっても当り前、見た目に関してはホントに凄いではないですかね。ヒットしちゃうわけで、イタいとか言われるものでもないでしょう。
このMV、4億回再生とかですね。「頑張らないと…」という直截的なものでなくても、元気は貰えますよね。正直なところ、私自身が若く見られる方で、年齢を告げると大抵驚かれる人間です。…その分誰もいたわってくれない弊害もありましてね。特に心臓疾患は見た目では分からないことが多く、具合が悪いと言っても本気で心配されることがまずありません。拗ねているわけでもありませんが、自分自身を元気づける曲が必要と思うことが多々あるわけです。この辺の曲は、そんなことを考えるときによく脳内再生されているものなのです。