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7インチ盤専門店雑記114「歌は恋人」
1974年のキキ・ディーの数少ない大ヒット曲です。ビルボードで12位まで行っておりますが、英国国内では19位どまりということです。日本ではどうだったんでしょうね。あまり売れてはいないと思います。中古盤市場にもほとんど出回っておりません。76年にエルトン・ジョンとのデュエットで「ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート」が英米でNo.1になっていますから、どうしてもそちらで語られることが多いと思います。でも私の場合、こっちが大好きなんですけどね。
どのみち、ライヴでもコンサートというタイプではなく、ディナーショーみたいな活動をしている人でして、イギリス国内では少しは知名度もあるのでしょうが、日本では知っている人は少ないのかも知れません。自分としては、イントロのベースが格好いい、超懐かしい曲といったところです。
実はこの曲だけがキキ・ディーの他の曲と趣きが違うと言った方がよろしいようで、売れた時から大好きだったものでディグしましたが、他にめぼしい曲は見つけられませんでした。ベスト盤には収録されているものの、明らかに他の曲とは異質です。なんでそうなったかというと、このときだけ、バックにTreesのメンバーがついているんです。しかもTreesのBias Boshellが書いた曲なんですね。Rocket Recordからリリースされ、しかもガス・ダッジョンがプロデュースということで、エルトン・ジョンの関係性ばかり語られる人ですが、その切り口では語れない曲なんです。
そんでもって、Treesが何かというと、英国のプログレ・トラッド・フォーク・バンドとでも申しましょうか、ちょいと不思議な音楽をやる連中です。「オン・ザ・ショア」というアルバムが一部で非常に人気でして、何でかと言うと、ジャケットがヒプノシスなんです。これがなかなかの名作というか、いかにもヒプノシスというヤツでして。まあ実に不気味なんです。
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まあ、そんなこんなで、Treesの色が出ちまったキキ・ディー姐さんというわけですね。あ、この水まき少女はキキ・ディー姐さんじゃないので、お間違いなきよう…。しかし、何と申しましょうかねぇ、…エクソシストでも呼びたくなるお顔ですな。
キキ・ディー姐さん、なかなか圧のあるいい声です。