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7インチ盤専門店雑記676「別テイク2:Fox On The Run」

生まれて初めて別テイクで驚いたのはThe Sweetの「Fox On The Run」でした。グラムロック大好き小僧だった自分は、中3の卒業間近の頃に、前年の1974年11月にリリースされたスイートの3rdアルバム「Desoration Boulevard」を購入しました。これが、ラジオで聴いたポップな印象のバンドのアルバムにしてはえらく地味で、しかもお目当ての「フォックス・オン・ザ・ラン」が全然違うヴァージョンでガッカリしたのでした。

それでも、中学生の頃は所有レコードの枚数が少ないので毎日毎日繰り返し聴きます。結局気に入るまで聴くようなもので、徐々にアルバム・ヴァージョンの方がいいのではと思うようになってしまいました。

オビには「ブリティッシュ・ロックの雄スイートがタイトなサウンドで~」などと書かれております。…そんな売り方してましたっけ?何だかポップなアイドル的存在だったような気がするんですけど。グラムロックよりも、さらにポップな、ティーンエイジ・ポップ、バブルガム・ポップ、曲によっては結構ハードな音も出すのでパワーポップと言ってもいいような売り方だったと思うんですけどね。ところが、ご本人たちはハードロックをやりたかったというかやっているつもりだったようなんですけどね。

確かにアルバムで聴くと、印象はもっともっとロック寄りの作りなんです。同じ「フォックス・オン・ザ・ラン」もアルバム・ヴァージョンはギター・ロックなんですよ。ハードなギター・リフをもった曲なんです。YouTubeには「Guardians Of The Galaxy 2」のサントラのような写真の静止画が使われているのがアルバム・ヴァージョンです。

そして、MVのPromo Clipとなっているのが、シングル盤のテイクですね。あらためて聴くと、随分違います。別の曲と言いたいところです。これって、結局アメリカ市場を目指したテイクが、このより一層ポップなシングル・ヴァージョンなんですかね。こちらの方が、はるかにラジオ映えはすると思います。でもハードロック路線からはかなり遠ざかっておりますよね。まあ、どちらがいいかという問題ではなくて、どちらが好きかでしょうけど、今の自分が聴く限りは、アルバム・ヴァージョンの方が好みです。

このアルバム、「Man With The Golden Arm」のカヴァーもやっていて、8分半もある長尺テイクです。ドラマーのテクニックを聴かせるための曲ですから、やはりそういう目的で収録したのでしょう。結局のところ、この人たち、演奏は結構上手いんですよ。だからロック的に売りたかったんでしょう。でもアイドル的人気も出てしまったから、マネジメント先行でポップな売り方になってしまったんですかね。テレビ出演時のような動画も観ることができますが、まあアイドルしてますよね。…ベーシストはちょいと変わったキャラですけどね。

自分が子どもの頃にはこういう音楽があって、アイドルでもテクニック志向の曲をやっていたという捉え方でよろしいかと思います。もう少し後の時代のアイドルはヘタピーでしたからねぇ…。

このビデオなんか、今観ても結構カッコいいですね。

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