見出し画像

7インチ盤専門店雑記813「先行シングル」

アルバム・リリースに先駆けて、先行リリースされるシングルがあります。1〜2週前だと先行シングルとは言わないのでしょうか?言っている場合もありそうですねぇ…。さすがにイーグルスのアルバム「ホテル・カリフォルニア」の発売日が1976年12月8日で、ファースト・シングル「ニュー・キッド・イン・タウン」が12月7日リリースだったのは先行リリースと言わないようです。

以前にも書いているのですが、エルトン・ジョンの「クロコダイル・ロック」や「土曜の夜は僕の生きがい」あたりが典型的な先行リリースでしょう。1973年1月26日リリースのアルバム「ピアニストを撃つな」の先行シングル「クロコダイル・ロック」は、1972年10月27日リリースでしたから、3ヶ月近く前のリリースです。アルバム「黄昏のレンガ路」は1973年10月5日リリースでしたが、先行シングル「土曜の夜は僕の生きがい」は6月29日、やはり3ヶ月以上前に出ています。

何が言いたいかというと、世の中に流通している中古盤の7インチ・シングルの玉数の違いが何故生まれたかの原因に、先行シングルはいっぱいプレスされたんだろうなということがありましてね。ただし一概に言えない例として、エルトン・ジョンの2曲を選んだわけです。何故なら「クロコダイル・ロック」はおそろしく玉数豊富なのですが、「土曜の夜は〜」はあまり多くはないのです。当然ながら、「クロコダイル・ロック」は余剰在庫がいつまでもあるのですが、「土曜のは〜」は状態の良いものが手に入らないことになっております。

先行シングルに関しては、直ぐにアルバムが聴けないから買うという購入動機は理解できます。でもそこまで単純ではないんですかね。「ピアニストを撃つな」からのセカンド・シングル「ダニエル」はアルバムと同月のリリースです。その5ヶ月後にリリースされた次のアルバムからの先行リリースが担う役割もいろいろあるのでしょうか。

「クロコダイル・ロック」の前は、…7月リリースの「ホンキー・キャット」、アルバム「ホンキー・シャトー」からのセカンド・シングルです。ファースト・シングルは「ロケット・マン」、米国6位英国2位の大ヒットですが、「ホンキー・キャット」は米国では8位まで行ったものの英国では31位止まりでした。英国国内での評価がイマイチに終わったら、次のアルバムの完成を待たずに、売れ線の新曲をリリースしたくなるのは理解できますねぇ…。

ただこの辺は英米でのヒット事情でして、日本での人気の傾向などはまた違いますよねぇ…。まあ、日本の都合でリリースされるシングルなんて、よほどの事情があればでしょう。日本独自にリリースされるシングル、例えばビリー・ジョエルの「ストレンジャー」みたいなのは例外ですしね。

両方とも大好きな曲でしてねぇ…。名盤アルバムであることは歴史が語ってくれますが、それに先立つ先行リリースのシングルがこういった曲であることが、ロッカーであるエルトン・ジョンの証でもあり、だからこその名曲・名盤だとも思います。



いいなと思ったら応援しよう!