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7インチ盤専門店雑記764「ロケッツ」
79年の9月頃、デトロイトのロック・バンド、ロケッツの「Oh Well」がヒットしました。ビルボードで30位程度まで行った曲ですが、日本ではほとんど名前を聞くこともありません。ラジオもFENではよく流れておりました。ギター2本の絡みが妙に格好良くて好きな曲でした。今ではフツーに分かるフリートウッド・マック初期のヒット曲をカヴァーしたものですが、そのことを知ったがために、自分にとっては音楽の聴き方が大きく変わった一曲なんです。
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レコードは簡単には手に入れることができませんでしたが、後々見本盤が何とか手に入りました。一発で気に入りましたから、いろいろ調べまくったんです。そこから最近(当時)売れているのとは別物とも言える初期のフリートウッド・マックを知り、作者のピーター・グリーンを知り、このバンドが元はデトロイト・ホイールズと呼ばれていたことなども分かってきました。要はクレジット・オタクとなる原因的な一曲というわけです。
ドラムスのジョン・バダンジェクとギターのジム・マッカーティが中心になったバンドですからデトロイト・ホイールズでいいわけですが、「悪魔とモリー」や「C.C.ライダー」の時代からはしっかりアップデートされた音です。…ノリの良さは相変わらずですけどね。
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その後、エラい苦労しながらレコードは集めて行きますが、日本で人気があるかないかという点で、いろいろ学ぶことにもなります。ヒットが出る前のアルバムはとにかく手に入り難く、このバンドのファーストもやたらと苦労して国内盤の見本盤を手に入れました。結局ロケッツは5枚のアルバムをリリースしておりますが、最後の盤は手に入らないまま、残り4枚もうち3枚が見本盤なんです。早稲田の某レコードショップはやたらと見本盤が売られていたので、日本で人気がなさそうなアーティストを探している時は早稲田へということもやっておりました。
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インターネットがまだない時代、当該アーティストが何枚アルバムを出しているかすら手探りでレコードを集めて行ったわけですが、ライナーノーツや音楽雑誌の広告すら貴重な情報源でした。最初にワープロを買った時だって、レコードのWant Listを打ちたかったからでした。それまでは手書きのメモでしたからね。小さな文字でリストを作り、手に入れば消して行く作業はなかなかに楽しいものでした。Windows95が出た頃には直ぐにノートPCを買って、こんどはデータベースを作り始めましたが、まあ最初のPCは厚さが5cm程度の百科辞典みたいなものでした。それ用のフロッピーディスクをいっぱい作りましたねぇ…。バックアップの大切さも、この時期から教えられました。…何度作り直したことか。
インターネットが普及してきて、ロケッツの全貌が見えてきた頃は嬉しかった反面、日本で得られるものが如何に限られているかを思い知らされもしました。アメリカは都市ごとにローカルなバンドもいっぱいいることが知れ、ロケッツのセカンドにデトロイト・ロックの雄、ボブ・シーガーの提供曲「Long Long Gone」が入っていることが嬉しかったり、そういった目線で全てのレコードを見直してみるかと思い立ち、出身地を調べてみたり…。好き者を育てる一曲でしたね。