7インチ盤専門店雑記537「語り尽くせないELOの魅力」
イベントの直前になってELOにハマっております。元々大好きなバンドですから、選曲で苦労しそうだという予感はありましたが、二転三転四転しております。初期の音源はロックとクラシックの融合というThe Moveから引き継いだバンドの原点的楽曲が多いわけですが、30周年記念リリースのCDの未発表音源だけでも酒が飲めそうな面白さですから、ネタは尽きません。結構売れてしまうので、7インチ・シングルを切り口とした紹介はハナから諦めておりますが、それでも枚数は相当あります。…触れない、触れない。…そんな時間はありません。
ロックとオペラの融合を思わせる印象的なイントロの「ロッカリア」は大好きな曲です。ELOの場合、他のタイプの音楽と混ぜ合わせる基になるロック部分が格好良いので好きという曲が多く、これなどはその代表です。作曲スタイルとして、受け皿となるシンプルなリフが思いつくだけでも尊敬してしまいます。
ELOの「Rockalia」を聴くと、どうしてもポール・マッカートニー(Wings)の「Rockestra Theme」を思い出してしまいます。「Rockalia」が1976年、「Rockestra」が1979年、ポール・マッカートニーとジェフ・リンってやりたいことが似ていたように感じることがありまして、こういったクラシックとの融合曲に関しては、コンセプト的にELOのレゾン・デートルでしょうから勝ち目はないのですが、そこはポールのやること、先を越された分を取り返すかのように超豪華メンバーを集めてやってしまいます。…さすがです。デヴィッド・ギルモア、ピート・タウンゼント、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナム、ロニー・レイン、ケニー・ジョーンズ、ゲイリー・ブルッカー…無茶苦茶します。
まあ、イベントの選曲は実に楽しい作業ですが、本当に悩ましいものでもあります。トーク部分はよしとしても、かける曲はベタなものになりがちです。それでも「当たり前過ぎてもつまらないので、もう少し何か工夫しないといけないかな」ということがずっと頭から離れません。昨日夜中の3時に「やはりソウル・テイストもかけないとダメだ」という結論に達し、プレイリストを変更しました。
ストリングスは当然ながらクラシックばかりではなく、他のジャンルでも上手く使われております。ソウルでもそこは同じで、ELOの「Showdown」は実にうまくソウルっぽいフレーズを取り入れております。この辺を自分たちの音にしてしまう才能はもう天下一品、ビートルズと肩を並べるワザかもしれません。そこは究極のマルチ・プレイヤー、ロイ・ウッドと活動を共にしていた時期があるだけに、彼から受け継いだもののようにも思われます。
他の曲から推察すると、途中からハード・ロック路線のフレーズが出てきそうですが、そうはなりませんし、ドラムスもベースもギターも、他の曲とは音が違ってこの曲の持ち味を生かすように共闘しております。…さすがです。実はELOの実力を端的に示している曲の一つかもしれないと思います。イベントではかけないといけない曲なのでしょう。
本音ベースでは、1975年の「Face The Music」に収録されていた「Poker」という曲が最も好きなのですが、この曲は他のテーマでも何度かご紹介してしまったので、ちょいがけにしますかね…。如何せん、べブ・ベバンのドラムスがハジケております。重たい音のわりに手数も多い人でして、ELOサウンドの重要な鍵を握る一人です。ブラック・サバスで叩いたこともあるということが頷ける曲でもありますからね。わざとなんでしょうけど、明らかに曲のバランスを崩しているドラムスがサイコーです。
さあ、そろそろイベントの中身を固めないといけませんが、語り尽くせない魅力的な曲が多くて、…嗚呼悩ましい、嗚呼楽しい。