7インチ盤専門店雑記520「Kathy Dalton」
先般Karen Daltonについて書いたところ、「Kathy Daltonと勘違いしていて混乱した」ということを複数の方から言われました。…いましたね、Kathy Dalton!こっちの方がマイナーな気もしますが、どちらがマイナーとか、売れなかったかという話題も悲しいのでやめときます。
そもそも私はKathy Daltonのことを完全に忘れておりました。自宅のレコードラックの未整理棚からひょっこり出てきて、「何じゃコレ?」となりまして、クレジットを見たらバックはリトルフィートの面々ではないですか。1973年リリースですから、「ディキシー・チッキン」期ですね。
まあそんなところで買っておいて失念したといったところでしょうが、背割れしておりまして、タイトルやアーティスト名が読めないということもありまして、数十年我が家に隠れ棲んでいたらしいです。…おそろしや。実はKarenに絡めて話題になったから探したわけではなく、たまたま出てきたものですから、「私も忘れないで…」とレコード盤が主張しているように感じて、なかなかに不気味でした。
えーっと、Kathy Dalton、備忘録的に書いておきますが、ヘッダー写真でおわかりのように、DiscReetからの音源リリースですから、フランク・ザッパ人脈です。…もうこれだけでリトル・フィートに繋がってしまいますが、元々はGas Companyというバンドがスタートです。当時はKathy Yesseと名乗っていたようですね。Gas CompanyはDaughters Of Albionにバンド名を変更して1枚アルバムをリリースします。この盤、レオン・ラッセルがプロデュースしているとかで、アーシーな音で筋は通っているかもしれませんね。
1973年にKathy Daltonはソロでヘッダー写真の「Amazing」をリリースします。翌年11月には「Boogie Bands &One Night Stands」というアルバムもリリースされますが、これは「Amazing」から2曲を差し替えてリリースし直したものです。この盤、ヴァン・ダイク・パークスやブリトーズのスニーキー・ピート・クレイノウなどといった面々も参加しております。マニア/コレクター泣かせのレア盤というヤツですね。
キャシー・ダルトンさん、フランク・ザッパのサポート・アクトとして一緒にツアーして回りますが、観客から何をされたか、嫌になってしまったらしく、さっさと音楽界から引退してしまいます。そもそも、フランク・ザッパは彼女を知らなかったようで、ザッパのマネージャーだったハーブ・コーエンという人物が勝手にDiscReetと契約してしまったということらしいのですが、今となっては1973年のリトル・フィートの演奏が収録されている貴重な盤というわけで、何だかもったいない気もします。
音楽活動を続けていたら、案外いいアルバムを作ってくれたような気もします。…実に残念です。ジャケット・デザインも酷いし、売る気がなかったのか知りませんけど、個人的にはDiscReetが許せない気もします。