7インチ盤専門店雑記718「A Very British Coup」
最近目新しい音源を知るきっかけは、クルマの中で聴くラジオか、流しっ放しにするYouTube動画かといったところです。昔と違って、自分の音楽的な好みが固まっており、好きなアーティストにしか手を伸ばさないようになっておりますから、こういった無作為抽出の手段でないと新しい音源には辿り着けません。
noteで他の方がオススメしているものを聴くこともたまにはありますが、目新しいものは多くないので、どうしてもラジオかYouTubeになってしまいます。お客様に伺うと、音楽配信サービスのオススメは新しいものを知る手段の筆頭という方が多いのですが、自分の場合、そのルートは閉ざされておりますからね…。
結果的にYouTubeで気になる音源はということになるのですが、まあ芋蔓式なオススメがいい加減でいけません。一度しっかり通しで観ると、ほかの誰の動画を観ていてもしばらくは出てきます。そんなわけで、ここしばらくはジャー・ウォブル関連ばかり観ることになっております。デヴィッド・ギルモアを観ていようが、ビートルズを観ていようが、ジャー・ウォブルが出てきます。「A Very British Coup」という曲です。
ジャー・ウォブルといえば、パブリック・イメージ・リミテッド P.I.L.の凶暴なベーシストですよね。このヴィデオにはP.I.L.のギタリストのキース・レヴィンも出てきます。もちろん私が気になるのは彼のギターの音です。相変わらずワン・アンド・オンリーな奏法です。ハーモニクスがもの凄いことになっておりますが、P.I.L.の頃と違って、あまりエキセントリックにならず、随分格好良いフレーズを聴かせております。
ヴォーカルはマーク・スチュワートと出てきますが、ポップ・グループの彼ですかね。顔を知らないので確証はないのですが、まあ昔尖っていた野郎どもがジジイになってもつるんでいて、血気盛んなところを聴かせているといったところでしょうか。…だってcoup ってクーデターのcoup ですよね。政変とかいう意味の言葉だと思うのですが、何だか不穏な曲ですよね。
まあそれでもキース・レヴィンのギターを聴くだけでも観る価値はあります。ヴィデオがしっかり捉えておりますが、何をやっているのか、よく分かりません。多分ギターを弾く人の方が「何これ?」になると思います。もう少し評価されてもいい人です。
ちなみにヴォーカルがあのポップ・グループのマーク・スチュワートなら、2023年4月に亡くなっておりますね。ブリストル・サウンドのゴッドファーザーと言われますが、その意味もよく分かりません。メッセージ色濃い曲が多かったかと思いますが、ノイズ・インダストリアルとかダブ・ファンクなどという、それまで聞いたこともなかった形容で語られるので、面白がってはいたのですが、レコードやCDを買ったことはありません。P.I.L.は一回聴いて即手放しました。今さらにこの連中にハマる理由はないはずなんですけどね。