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7インチ盤専門店雑記798「London Lowdown」

アシッド・ジャズの中心的存在でもあった英国人ギタリストのロニー・ジョーダンですが、90年代は文字通りヒット・アルバムを連発しておりました。私は92年のデビュー曲「So What」で一発ノックアウトといった感じでした。もうその後リリースされる音源は全て買い集め、聴きまくりました。かなり苦労してアナログも集めましたが、どうしても90年代ですから限界はあります。CDで済ませたものもあるわけです。2014年に51歳という若さで亡くなっておりますが、晩年は少々尻すぼみだったのが残念です。

2004年の「アフター8」以降、ほとんど情報が伝わってこなかったですし、新盤リリースも止まってしまいましたからね。何が残念かというと、2004年頃からアナログが復権してくるわけで、この人の音源はアナログで聴きたい典型なんです。ギターの音が間近で鳴っていて、…いいんですよ、ホント。

12インチ・シングルもずっと探し続けてようやく手に入れたものばかりです。

ヘッダー写真は2000年リリースのアルバム「ブライター・デイ A Brighter Day」ですが、ブルーノートへの移籍第1弾でして、グラミー賞のコンテンポラリー・ジャズ・アルバムにもノミネートされ、ジャズ方面からの評価も高かった一枚です。アシッド・ジャズを毛嫌いするジャズ・ファンはいまだに多いでしょうからね。ジャズの間口を広げた功績は、ロバート・グラスパー並みに大きいと思います。タイトル・チューンは当時よくラジオでもかかっておりましたし、12インチ盤もリリースされ、これは中古盤店でも随分見かける一枚です。

このアルバムの収録曲に「London Lowdown」があります。どういうわけかもの凄く好きな曲です。このアルバムの12インチのリミックス盤が存在することを知り、随分探しました。まだウェブ通販でアナログ盤を買うということが躊躇われ、中古盤店を歩き回って探していた頃でした。結局なかなか手に入らなかったものですが、最終的にまだ慣れないオークションで落札することができました。届いてみればジャケットもない2枚組のプロモーショナル・コピーで、不安ではありましたが、音の方は全く問題ありませんでした。

問題がなかったどころか、猛烈にいい音で鳴ります。低音の入り方が自然なのにもの凄くて、大音量で鳴らすことが躊躇われます。もう地響きです。2010年以降の配信前提としたようなミックスの音源のままアナログ盤に刻んだ音源で、酷い地響き盤は何枚かありますが、2000年の音源ですから、アナログであること自体奇跡的なレア盤ですし、リミックスはアナログ前提です。個人的にはもの凄く貴重な盤でして、これを何とか満足のいく音で鳴らしたいんですよね。卓のつまみをいじり倒し、結局のところ通常より少しLOW控えめでベストかと考えております。…気持ちいいです。

1995年に来日公演も観ておりまして、キリン・ザ・クラブと銘打ったライヴだったのですが、赤坂プリンスホテルでお食事付というヤツでした。

これはこれで楽しめましたが、2000年以降のライヴが観たかったんですけどね。なかなか思うようには行きませんでした。彼の訃報は凄く残念で、忘れられないんです。ここのところ、ミュージシャンの訃報がまた続いており、いろいろ残念なのですが、ロニー・ジョーダンは一度整理して、記事にしておきたいですね。忘れている音源もあるようですから、全部聴き直したくなりました。


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