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7インチ盤専門店雑記901「サンプル・カセット」
レコ屋ですからレコードを素材に様々な情報提供を試みているわけですが、レコードに拘る理由もあまりなく、むしろ拘ることで幅が狭まることに対して嫌だなと思う自分がおります。CDも、LDも、YouTubeのようなメディアもアリだと思うわけです。レコードが人生そのものみたいな人間ですが、音楽全般を愛しているわけで、レコードの時代に対する敬意は巨大です。
メディアとしてのレコードの魅力も語り尽くせません。でも、だからといって、同時に使ってきた他の媒体が嫌いなわけではなく、カセットテープなどは当然ながら愛用していたわけです。ただし、自分はMDも使い、CD-Rも使ってきた人間で、カセットテープに対する愛着はさほど強いわけではありません。特にセル・テープは北米大陸でドライヴしていたときに買った数本しか購入経験がありません。
以前に寄贈された箱がありまして、その中には大量のCDに混ざってカセットテープが数本入っておりました。しかもこれがブランク・メディアで買って録音したものではなく、セル・テープなんです。しかも数本サンプル・カセットが含まれておりましてね…。「なんにゃこりゃ」となってしまったわけです。
サンプル・レコード、要するに見本盤は大量に保有しております。LPも7インチ・シングルもいっぱいあるわけです。でも私個人としては、初めて目にするサンプル・カセットなんです。…要はどういう時に使ったものなのかが一瞬理解できなかったわけです。
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まじまじと眺めてみて、まあ直ぐにわかるわけですが、1990年代に活用されたものなんですね。ロッド・スチュワートの「Lady Luck」という曲が直ぐには思い出せなかったというか、…ありましたねぇ…。セル・テープ同様、テープの長さは調整してありますから、妙に短いです。SideBにはオマケですか、大ヒットが2曲入れてありますね。これ、ロッド・ファンなら欲しいかも…ですね。
要は見本盤をプレスする環境が無くなってしまったので、見本盤CDに行かなくて、サンプル・カセットとなったんでしょう。ここで気になるのが、何故CD-Rに行かなかったのかということです。1988年に太陽誘電が開発し、1990年頃からは一般的な規格にはなっていたはずのCD-Rです。おかしいなと思い、CD-RのWikipediaを見たところ、下記のような文面がありました。
1995年頃には既にパソコンにCD-ROMドライブがほぼ標準搭載されるようになり、Windows 95のような大容量のシステムも容易にインストールできる環境が整い、1996年からCD-Rは普及し始めた。当時のCD-Rドライブの価格は40万円、メディアが1枚5千円したのが、1996年初頭にはドライブは10万円を切るようになりメディアは1枚1000円と低価格化した。
1999年頃からは台湾メーカーによるメディアの価格競争もあり、1枚数百円に値下がりし急速に普及した。
1995年頃、つまりWindows95の頃にはCD-ROMドライヴが標準搭載となったわけですが、まだCD-Rドライヴは高かったわけですね。初めて買ったWindows95のPC、まだばりばりフロッピー・ディスク標準でした。90年代後半になって価格がこなれて行ったわけでしたね。…なるほどサンプル・カセットがこの時期までは必要だったわけだ。8cmCDもコスト的に見合わなかったのでしょう。
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この箱、他にも落語のカセットなども入っておりまして、本当はちょいと試しに聴きたいんですけど、カセット・プレイヤーがありません。安いのでも買うか…、悩ましいところですけど、もう少し落ち着いたら考えるとことにして、とりあえずはパスですかね。まあ老後の楽しみは尽きないということで…。