7インチ盤専門店雑記697「Outrider」
ジミー・ペイジのソロ・アルバム「アウトライダー」です。1988年6月リリースですから、アナログ盤は結構レアかと思われます。それでもオークションなどではよく見かけます。お安く買えるのであれば、入手しておくべき盤でしょう。レッド・ツェッペリン関連全般、かなり値上がりしているようで、私はもう手が出ませんね。
このアルバムからのシングル・カットはアルバム冒頭の曲「ウェスティング・マイ・タイム」です。B面は「ライツ・オブ・ウィンター」、アルバムにフツーに収録されている曲ですから、とりわけ珍しい音源ではありません。でも、88年なんですよ。7インチ盤なんぞは、ほぼお店では売ってない時期の盤なんです。結局のところ、出回っているのは、ほとんどが見本盤です。この3枚のうち2枚は見本盤、1枚が通常盤ですが、どれもニアミントです。
どうしても、見本盤は初期盤ということで、音質がよい傾向にありますから、7インチ盤の世界でも高めの値札がついております。…でもこの曲、自分の感覚からして、見本盤の方が一般的で通常盤の方が圧倒的にレアです。だってお店ではもう売り場が無くなってましたよね。新盤が欲しいという人間は注文しなければいけなかったと思います。そこでやはりマトリクスを見ることになるわけですが、見本盤はさすがに「1-A-1」です。一方の通常盤は「1-A-3」になっております。さあ音質にどれだけの差がありますやら…。気持ち的には見本盤の方を少し下げたくなりますね…。
「アウトライダー」、世の中の評価はあまり高くないようですが、個人的には非常に好きな盤でして、The Firmとも違うし、Coverdale-Pageとも違って、やはりジミー・ペイジのソロという音がしております。加えて、メンツも結構面白いと思うんですけどね。ベーシストは3人、The Firmにも参加したTony Franklinが「ウェスティング・マイ・タイム」で弾いております。この曲のヴォーカルはジョン・マイルズ。…「Rebel」とか「Zaragon」とかのあの人ですね。残る曲のベースはFelix KrishとDurban Laverdeという人です。ヴォーカルはジョン・マイルズが2曲、ロバート・プラントが1曲、クリス・ファーロウが3曲で歌っております。ドラムスはバリモア・バーロウが2曲叩いておりますが、それ以外はジェイソン・ボーナムです。1988年のジミー・ペイジの立ち位置を考えるとき、このメンツのクレジットを眺めているのはなかなかに面白いと思います。
そして、何と言っても興味深いのは、レオン・ラッセルの「Hummingbird」をカヴァーしていることではないでしょうか。そもそも、映画「ロサンゼルス Death Wish II」のサントラでフィーチャーしたものの、権利関係でゴタゴタしたクリス・ファーロウがまたここで登場すること自体が面白いのですが、「Hummingbird」を自分の曲だと言わんばかりに歌っております。でもやっぱり、何故ジミー・ペイジがレオン・ラッセルのあの1970年の大名盤ファースト・アルバムの収録曲をカヴァーしますかね?
ちょいと気になって、ウェブで調べてみますと、レオン・ラッセルのファーストの参加ミュージシャンって、Bill Wyman, Steve Winwood, Mick Jagger, Eric Clapton, Delaney & Bonnie, George Harrison, Joe Cocker, Charlie Watts…と書いてあるわけですよ。やっぱり何気に凄いメンツで作られた盤の曲ですからね。ジョー・コッカ―の初期のアルバムでも名演を聴かせているジミー・ペイジが、この辺の曲を演奏するということに関しては、いろいろな観点から面白いという気がしてならないわけです。
レオン・ラッセルのファースト、誰がどの曲に参加しているかは明確に記載がないんですけど、音で分かるやろということになっております。…オリジナルの「Hummingbird」誰がやっているんでしょうね?