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清澄白河カフェのキッチンから見る風景 : デヴィッド・ボウイのレア音源は…
レコードにはレア盤というものがありまして、それなりのお値段で取引されることになります。ただ、マイナーなアーティストのマイナーな曲なんて、当然レアでしょうけど、面白くもないので、特別に高額を支払って買い取ろうとは思いませんやね。マイナーなアーティストの場合は、何かに使われたとかいった曲で、聞けば「ああ、これか」となるようなものであれば、それなりに…。聞いてもピンとこなければ、当然ながら見向きもされません。ファンなら別ですけど。
人気アーティストの有名曲で、しかもレアというのが最も困りものなわけですね。「そんなのあるんかいな?」と思うでしょ。7インチ・シングルの世界ではフツーにあるんです。世界中にコレクターがいるビートルズなんかは、もう手が出ない価格になっていますから、今さら手に入れようという気も起きないのですが、やはり回収騒ぎなどでレアになってしまったものは、いろいろあるようです。アルバムでは、「ブッチャー・スリーブ」というスプラッターなジャケット写真を使ったものなんか有名ですよね。
さて、デヴィッド・ボウイにもレア盤があります。チャック・ベリーのカヴァー曲「Round And Round」というものなんか比較的有名だったりします。「Drive-In Saturday」のB面でアルバム未収録なんです。その「Round And Round」がどういうわけか私の手元にやってきました。しかし局使用盤か何かのようで、盤質は悪くないのですが、ラベルにベッタリとシールが貼られているので、価値はさほど高くないかもしれません。
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そもそも、デヴィッド・ボウイもアルバムで聴きたいアーティストでして、シングル盤はあまり多くプレスされていないのか、例えば「Starman」や「The Jean Genie」のような有名曲でも結構レアです。日本では「ドライブ・インの土曜日 Drive-In Saturday」(この邦題はちょいといただけませんな…)はローリング・ストーンズのカヴァー「夜をぶっとばせ Let’s Spend The Night Together」のB面としてリリースされており、レアとされている「Round And Round」は存在しません。つまり英国盤のはなしになりますから、もうそれだけで入手困難度は一気に上昇します。
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ちなみに件の「Round And Round」ですが、チャック・ベリーがリリースしたときは「Around & Around」と表記され、「Johnny B. Goode」のB面だったんです。よりによって歴史的な大ヒット曲のB面ですから、まあ認知度は高いわけですな。ボウイさん、この曲がお好きか、ライヴでも何度かやった記録が残っております。特に1973年の録画されたライヴではジェフ・ベックがギターを弾いております。権利関係でしょうか、発売されたフィルムやライヴ音源では外されております。つまりは海賊盤のような音源でないと聴けないわけですな。
ただし1982年にリリースされた「Rare」というコンピレーションには収録されておりますが、この「Rare」というアルバムもその名の通りレアですので、いずれにせよレアです…。しかもその後、「Sound + Vision」というボックスセットや「Ziggy Stardust~」の30周年記念盤なんかにも収録されていますが、シングル盤とは別ミックスだったりします。…やってくれます。
さらにちなみに…ですが、この曲、一度針を通してみましたが、特別面白いものでもありません。レア盤って往々にしてそういうものですね。つまりレア盤にとどまっているのは、レア盤ならではの理由もありということなのでしょうか。まあ、デヴィッド・ボウイほどのアーティストにもなると、全部欲しいファンが大勢いらっしゃいますから、聴いて面白いかどうかなんてどうでもいいのでしょう。…そう考えると、レコードって何のためにあるんですかね?当然聴くためだけではないということにもなるわけで、…コレクターの世界もいろいろですな。…あんまり考えないようにしよ。