7インチ盤専門店雑記749「Mahoney's Last Stand」
1972年頃に制作され、1976年に公開されたカナダの低予算映画「Mahoney's Last Stand」というものがありまして、低予算だと繰り返し書かれているところがおかしくもあるのですが、この映画のサントラの依頼がフェイセズ末期のタイミングでロニー・レインにきます。つきあったのがロン・ウッド、結局大した映画でもないようで、公開後もロクに観ることができないのですが、サントラ盤の方はコレクターズ・アイテムとなってしまいました。
時期的にフェイセズの「Ooh La La」録音時にちょちょっと録音したもののようですが、そこはロニー・レインとロン・ウッドがいるわけで、…ついでに申しますと、ロッド・スチュワートはおりませんけどね、周辺の好き者連中が手伝っております。何と言っても、ピート・タウンゼントがギターを弾いている「Tonight's Number」という曲もあります。しかもこの曲のみ、ドラムスはケニー・ジョーンズです。
まあ、低予算のサントラと考えれば無難なところでしょうか。実はこういうタイプの曲が個人的には結構好きなもので、これは私にとっては大名盤なんです。加えてA面ラストとB面ラストに収録されている「Just For A Moment」という小品がありまして、これが大好きでした。80年代の終わり頃、まだカセットテープ作りに夢中になっていた時期ですが、インタールード的によく使った曲です。重たいブルースやハードロックの好きな曲の合間などにこれが出てくると、妙にいい感じなんですよね。ヘッダー写真をみると分かるように、これはThunder Boltの廉価再発盤ですが、重量盤ですし、オリジナルなんてもの凄いお値段になっているでしょうから、これでも貴重は貴重です。
もう一つ、「Woody's Thing」というブルージーな小品もありまして、これも同様にしょっちゅうカセットテープに入れておりました。ここでピアノを弾いているのがイアン・スチュワートでして、何とも言えないメンツで作っているんですね。…ロン・ウッドはこの後ローリング・ストーンズに行くわけですし、ザ・フーのキース・ムーンの後釜にケニー・ジョーンズが座るということもありますしね。まあ、しょっちゅうつるんでいた連中なんでしょう。
もう少しメンツ的なことを申しますと、ここでほとんどの曲のドラムスを叩いているのがブルース・ロウランドという人間です。フェアポート・コンヴェンションやグリース・バンドのドラマーですね。どちらかというと、他に大書きするほどのキャリアがないので、地味な存在かもしれません。でも、ロニー・レインのスリム・チャンスで叩いていたり、グリース・バンドということはジョー・コッカ―やらの初期音源で叩いているわけで、クレジット好きの自分にとっては「おやっ!」となる名前なんです。…ジャッキー・ロマックスの盤でも出てきますね。英国ロックの深い森がお好きな方々にはやはり気になる名前ではないでしょうか。
まあ、こういった、ローリング・ストーンズやフェイセズあたりのバンドにいたメンバーのソロやらセッション音源は好きなものが多いと分かっているので、ちゃんと整理して聴けるようにしておきたいものです。この盤なんぞは、その代表的なものかもしれません。