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7インチ盤専門店雑記707「フォリナーの見本盤は…」

そもそも流通していてはいけないはずの見本盤ですが、中古盤市場ではフツーに売っておりますし、かなり高額で取引きされるものになっております。スタンパー等が初期のものでしょうから、音がいいことがその理由だとは思います。必ず音が良いとなると重宝される現状も分かりますけど、何だかもの凄い高額がつけられてオークションに出品されていたりすると、おいおいとも思います。流通していてはいけないものでしょうからね。

先日、通販サイトのデータ入力をしていて、フォリナーの7インチ盤をいじっていたら、見本盤が気になってしまいましてね。白レーベルでも少しはデザインされていたりするので、これはARの担当者レベルの話なんだろうなと思いつつ、比べてみたりしておりました。

ヘッダー写真は、1979年の3rdアルバム「ヘッド・ゲームス」からの3rdシングル「Women」の見本盤レーベルです。白レーベルと言われるシンプルなものです。Atlanticのロゴが入っているので、どことなしデザインされたようなイメージです。発売日は入っておりません。

同アルバムからの2ndシングルはタイトル・チューンでした。曲名のフォントが少しは考えられているのか、さらにデザインした感がありませんか?バンドのロゴも当時のオリジナル・フォントですしね。

これが「Agent Provocateur」からの3rdシングル「Reaction To Action」になると、発売日とともに通常盤のデザインを使用しております。白レーベルではなくなるわけですね。この曲の場合、長さの情報も加わります。ワーナー・パイオニアのARのご苦労が偲ばれます。…というか、統一感は必要ないとも思いますが、時代とともに変化したものなんですかね?

気になって、以前にも記事にしたジェームス・テイラーの「ファイヤー・アンド・レイン」の見本盤を探し出してきました。 ↓ これはやはり時代を感じさせますよね。スタンプですし、それが少し掠れているところがまたいかにもな感じで、実は好きだったりします。

昭和あたりの近現代史を学び語る中で、戦後の終わり、戦後エラの終焉は何時頃かという話があります。もちろん分野でも違うでしょうし、捉える場面でも全然違いますが、印刷関連を見るとき、1960年代に入った頃から急速にクオリティがあがって行くんです。1950年代までは物資不足もあって、紙質がよろしくなくて、7インチ盤のスリーブもガリ版印刷(死語?)並みにチープなものがあるわけです。カラー印刷の発色もグッとよくなってくるのが1960年代からなんです。

それでも、自分の印象では、1970年代にも戦後の物資不足というものは肌で感じられることがありました。もちろんそれはオイルショック後の極端な時期も経験してのもので、70年代初頭の見本盤のレーベルがスタンプでも当然という気もするんです。80年代のジャパン・アズ・ナンバーワン時代に、レコードのレーベルも含めた印刷物が急速にクオリティを上げていったこともまだよく憶えていますからね。

前職の話ですが、1985年4月に就職したとき、最初の辞令は手書きのコピーでしたし、まだ青焼きの湿式コピーが一般的でしたからね。当時は何でもかんでも「ゼロックス」と呼んだ乾式の手が濡れないコピーをとるには、課長さんのハンコが必要だったんです。…区役所だけかなぁ?コピー紙の紙質は向上しましたが、今度は再生紙を使いなさいという時代になって、紙質に関しては一概に言えなくなってしまいます。案外時代を細かく反映している項目の一つではないかと思います。

…急ぎの文書を作るのにタイプ室のおねえ様にアタマ下げに行ったなぁ…。ワープロだって、最初は3行程度のバックライト無しモノクロ画面でしたよね…。まあ、その前に帳票設計するので線を引くのに、いちいちコボルでやってましたっけ…。わかる人には分かる昔話、死語だらけで申し訳ありません。


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