見出し画像

7インチ盤専門店雑記906「ラスト・ネヴァー・スリープス」

ニール・ヤング&クレイジー・ホースの「ラスト・ネヴァー・スリープス」、曲の良さ云々ではなく、歴史語りとしての面白さでは特Aランクの一枚です。ニール・ヤングの場合、「オハイオ」というアメリカの黒歴史を糾弾した曲もありますから、どうしても音楽史上での重要人物となります。曲だけで判断すると見誤りそうなあたりです。ただし全てのアルバムやシングルが一定のレベル以上とは言い難いので、私の場合、数枚のアルバムや7インチ・シングルは大事に持っているという程度です。…全く聴く気にもならないアルバムもありましたからね。

一方で彼を知ったのは、洋楽を聴き始めた時期が時期ですから、1972年のアルバム「Harvest」であり、大ヒット・シングル「孤独の旅路 Heart Of Gold」なんです。鼻声のおじさんという以上の評価もなく、それ以下の評価もなく、ただシンプルにこの曲が好きでした。アルバムを購入したのは少し後のことです。フィードバックするギリギリのギター音も好きでしたが、やはり「孤独の旅路」が好きでしたねぇ。80年代後半、アナログレコードが叩き売りされ始めた頃、かなり早い段階で「孤独の旅路」の7インチ・シングルを意識して探し、状態のいいものを数枚ストックしたほどでした。

その後のニール・ヤングはフォローするまでではなかったのですが、忘れていた頃に「Rust Never Sleeps」が出まして、「やるじゃん」という印象だったのですが、如何せん買うまでには至りませんでした。でも「ラスト・ネヴァー・スリープス」の衝撃は簡単に忘れられるものではなく、当然ながらその後も脳内に常駐してしまったわけです。とりわけ、セックス・ピストルズのジョニー・ロットンを歌った歌詞が気になるでもなく、ただただサウンド・メイキングで「これをやるか…」という部分ですね。…もちろん「Hey Hey, My My (Into The Black)」の方の話です。

他にも「ライク・ア・ハリケーン」とか、「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」とか、いくつか好きな曲はあるのですが、どうも後回しにしてしまったアーティストです。結果として、彼のアナログレコードは意外なほど高値を維持しており、リアルタイムで購入しなかったことを後悔するハメになるんですけどね。

面白いのがアメリカでは「Hey Hey, My My (Into The Black)」がA面で「My My, Hey Hey (Out Of THe Blue)」がB面なのに、日本ではAB面を入れ替えたんですよね。私はこのワーナーの担当者に対して、「何てことをしたんだ」と言いたいわけです。この対を成す曲の価値の中心は「Hey Hey, My My~」の方なわけで、B面ではダメなんですよ。このノイジーでパンキッシュな曲を古い側のニール・ヤングがやるから価値があるわけですからね。


いいなと思ったら応援しよう!