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7インチ盤専門店雑記705「Let The Power Fall」

フリッパートロニクスをご存知でしょうか?…というか、憶えていらっしゃいますか?という感じですかねぇ…。ありましたよねぇ、へんなのが。

フリッパートロニクスはテープ・ループのサウンド・デバイスなんですけど、75年頃にイーノのアルバムで聴けるのが初出らしいです。

Frippertronics is a tape looping technique used by English guitarist Robert Fripp. It marked the first real-time tape looping device, evolving from a system developed in the electronic music studios of the early 1960s by composers Terry Riley and Pauline Oliveros and made popular through its use in ambient music by composer Brian Eno, as on his album Discreet Music (1975). The effect is now routinely found in many commercial loop station guitar digital effects boxes such as the Boss RC-3.

Wikipedia

要はディレイ的なサウンド・エフェクトが欲しかったイーノとロバート・フリップが、事後処理的に手を加えてやっていたのをリアルタイムにできないかと考えて作ったデバイスなんですね。

ロバート・フリップは1980年に「God Save The Queen / Under Heavy Manners」というアルバムをリリースしますが、このアルバムの片面、SideAが「God Save The Queen」でフリッパートロニクスのサイド、Side1が「Under Heavy Manners」で、Discotronicsと称してドラムスとベースを追加して踊れるようにしたものなんだとか…。要はフリッパートロニクスを使って即興で遊んだ記録なんです。

この盤のSideA、
1."Red Two Scorer"
2."God Save the Queen"
3."1983"
という収録曲です。

そして翌年リリースされたヘッダー写真の「Let The Power Fall」は、
SideA
1."1984"
2."1985"
SideB
1."1986"
2."1987"
3."1988"
4."1989"
となっております。要は続きなんです。

えー、私はプログレのこういうヘンな音源に対する耐性ができておりますが、一般の方にはかなり厳しいもののようです。お店で流すと嫌がられます。スタッフさんから非難の目を向けられること必至、始まって直ぐに「何なんですか、コレ」と言われ、しばらく無言になり、ボソッと「気持ちわり〜」と聞こえてきたような…。まさかお客様がいらっしゃる時はかけませんよ…。

ちなみに同じような時期、ロバート・フリップはThe League Of Gentlemenというバンドを組んでヨーロッパあたりをツアーして回っております。…一応バンドですし、少しは聴きやすいかと思います。…ジャケットはそれなりのお代を支払って買うのに勇気が要るものですけどね。

配信やサブスクの時代になって、皆さん聴き始めた瞬間、つまらないとか好きじゃないと感じると、もう聴かないでしょう。レコードの時代、一定のお代を支払って買ったレコードは聴くんですよ。どう感じようと、しばらくは聴くんです。耐性が養われるんです。そんな修行のようなリスニング経験を経て得られるものも、実はあるんです。…オススメしませんけどね。フリージャズみたいに生やさしいものじゃないんだから…。


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