甘川文化村 海東龍宮寺 海雲台 すごいぞ韓国!(釜山旅三日目)
釜山旅三日目
今日は釜山の行きたいところへ行こう!という観光デー
「今日はタクシーを使うからね」と夫。
南浦駅の近くでタクシーに乗り甘川文化村へ向かう。
甘川文化村は昨年釜山のガイドブックで見て、訪ねてみたいと思った場所。
釜山のマチュピチュと呼ばれる村だ。
山腹をくねくね少し上ったところでタクシーが止まる。
後日談。
夫はタクシーを降りた瞬間、この入口の光景を見て(典型的な観光地だ、来なけりゃよかった)と思ったらしい。
それは私の想定内。だけどきっとこの村の成り立ちを知れば彼は興味を抱くはずだというのが私の読み。
どんどん急な坂道になり、山腹にはぎっしり小さな家々が立て込んでいて、どの家もカラフルなペンキが塗られている町並みにワクワクしながら、高いところへと上って行く。
韓国にはタルトンネと呼ばれる集落がある。
タルは月という韓国語で、何やらロマンティックな集落を想像するけれど、不便この上ない急な山腹や坂を上り切った土地などの月に届くほど高い場所にある貧しい人たちの集落のことだ。
甘川文化村も、もとは1950年代に太極道という信仰の信者たちや朝鮮戦争(1950~53年)の難民たちのタルトンネだったという歴史がある。
2007年には木村拓哉主演、イ・ビョンホン友情出演の日本映画「HERO」でも映画の最初の釜山ロケ地として登場している。
ただそのころはまだ村の再生プロジェクトはスタートしていない。
2009年からマウル美術プロジェクト事業を推進、学生や釜山のアーティスト、住人たちが積極的に参加して保存や再生のための文化事業を進め、迷路美路路地プロジェクトなどで釜山のマチュピチュと呼ばれるようになり、釜山の一大観光地となっていく。
アジアからの観光客が多いけれど、韓国人の観光客もかなりいて、若い世代に人気なのがよくわかる。
夫は予想通り写真を撮りまくっている。
「さてお茶でも飲もうか。ここがいい」
窓際の席でカフェオレを待つ。
コーヒー豆を挽く音がして、丁寧にコーヒーが淹れられ店にコーヒーの香りが広がる。
(とても丁寧に作ってくれるのね)と先ほど一瞬思ったことを申し訳なく思った。
ミルクを泡立てる音がする。
カフェオレ!
「このギャラリーにあるのは釜山在住のアーティストの作品なのですか?」
初めは英語で会話、そのうち私たちが韓国語で話し始めるとカフェ担当の感じのいい女性は満面の笑みを浮かべ、会話が弾む。
「今もこの村には北朝鮮からの避難民の一族も暮らしているのですか?」
「人数は少ないですがいらっしゃいます。あとは釜山の若いアーティストのアトリエがあって、ここにある作品の作家たちのアトリエもすぐ近くにあるんですよ。私はカフェコーナーを担当しているんです」
どうして韓国語が話せるのかというお決まりの質問に答えながら、色々話す。
「ああ、ここであなたから話を聞けてとても嬉しかったです。とってもおいしいカフェオレごちそう様でした」
とカフェを出た。
帰りを急いでいると!
駐車しているトラックに書かれたハングルが気になって調べてみた。
貧困層にとって練炭とはすなわちご飯と同じという考えからエネルギーを買うことが難しい貧困層が暖かい冬を過ごせるよう、2002年の12月に練炭銀行を設立し、韓国全国の17の市や道・31の地域で練炭を配布する事業を行っていて、個人や企業などの支援を受けて購入した練炭を10月から3月まで配る活動を21年間行っているボランティア組織だった。
ちょっとした光景からその国の抱える実情が垣間見えてくる。
えっ?何々?
(甘川文化村の取り組みについてとてもよくわかるレポートです ↯ )
タクシーを拾って南浦駅前のロッテ百貨店 光復店へ急ぐ。
屋上の展望台へ!絶景!
光復路文化ファッション通りにあるはずの目的の海鮮スンドゥブ屋がなんと閉店!
ストリートにある他のお店で昼食。
このお店でも私たちが日本人だとわかると、すごく好印象の爽やか笑顔の青年が、きれいな発音の日本語で対応してくれた。会話が弾む。東京の日本語学校で学んだそうで「新宿のコンビニで一年間アルバイトをしていたら、さすがに日本語は上達しますよ」と言う、「いやいやそんなことはないって、素晴らしいですね」いい笑顔に出会えてよかったと次の目的地へと急ぐ。
地下鉄で海雲台まで行き、タクシーを拾って海東龍宮寺へ向かう。
タクシーに乗るときの楽しみはドライバーさん(韓国ではギサニムとよぶ、昔はアジョシだったんだけど)との世間話、しっかり韓国語会話の実習をするわけです。
話し好きギサニムと色々な世間話、ギサニムは釜山訛りないですねと言う話から出身地や韓国語の訛りについて、釜山を訪れる観光客の話などで盛り上がり、あら、着きました!
夕方になったので、タクシーで海雲台のフグ料理屋クムスポックッまで行ってもらう。
「さぁ、海を見に行こう」
「えっ?」
「お店の場所を確認しただけで食事はまだあと」
「・・・///」
「注文するよ」
どうぞ、お好きなものを心置きなく。
「もう今年はフグ食べなくていいくらい満足です」
そりゃそうでしょ。
私はフグのトンカツ食べてみたかったわ。
ぐるりと店内観察したら、あらっ!私たち以外のお客さんはほとんどが辛くないフグチリ~マルグンポッタンを頼んでいて、そりゃそうよね、そのほうがフグの旨みはわかるよねと頷いたのだった。
(価格は西面のフグ屋の約二倍でした)
もう八時半!
帰りましょうか。
海雲台市場はすごい人、ちょっと通り抜けてみた。
韓国のパワーに「すごいよね」と驚愕した一日。
地下鉄西面駅で南浦駅行きのホームがわからなくてウロウロしていたら、チャーミングな若いカップルが小走りで駆け寄ってきた。
「ドコヘイキマスカ?」と笑顔いっぱいに日本語で話しかけてくれ
「釜山駅方面です、南浦駅」と答えると、複雑な道順を二人で連れて行ってくれた。
日本語はできないようで、声かけの一言はきっとスマホで検索してくれたのだろう、英語で話そうとするけれど中々単語が出てこない二人。
「韓国語で大丈夫ですよ」と韓国語で言うと、陽だまりに咲く花みたいな笑顔を浮かべて話し始め、こういういい子たちに出会えた今日一日の釜山旅は、忘れられない思い出となったのだった。
*長文note です。
三回とかに分ければいいのでしょうけれど、一日の記録として一気に記録したほうがこのときの熱気が残せる気がしたので長文になりました。